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【vol.1】私と福山市学校統廃合問題

 私は2年前に今のゼミに入り、そこで広島県福山市で起こっている学校統廃合問題を知りました。今後このnoteで福山市の学校統廃合について投稿するにあたり、今回は福山市の学校統廃合問題に出会ったきっかけやこれまで行ってきた活動について記したいと思います。

◆私のゼミが福山市の学校統廃合問題に取り組むようになったきっかけ

 はじめに私のゼミが福山市の学校統廃合問題に取り組むようになったきっかけをお伝えしたいと思います。

 2017年2月、広島県福山市山野町に住む一人の女性から先生のもとに一通の手紙が届きました。その手紙には、福山市教育委員会が「福山市学校規模・学校配置の適正化計画」を定めて今後学校統廃合を進めようとしているという内容が記されていました。

 そしてその再編計画に山野小中学校が含まれていること、学校が無くなることで地域も崩壊するのではないかと考え、それを阻止するために「山野の未来を考える会」を立ち上げたこと、そして市教育委員会に小規模特認校制度を利用して学校を存続する要望書を提出したにも関わらず市教委の強引な姿勢が崩れないことが書かれていました。

 以前、先生が「季刊地域」という雑誌に学校統廃合の記事を寄稿したことを知り、山野町の学校存続に向けてアドバイスが欲しいと思って手紙を書いたそうです。この手紙をきっかけに先生は福山市の学校統廃合に携わるようになり、現地を訪れて調査や講演を行ったり文部科学省へ学校統廃合に関するヒアリングを行ったりしました。そしてその後2019年度の学部ゼミで福山市の学校統廃合(主に福山市山野町と内海町で起こっている学校統廃合問題)を扱うことになりました。

◆私がゼミに入り学校統廃合問題に取り組むようになったきっかけ

 次に私がこのゼミに入りこの問題に携わるようになったきっかけについて、少しお伝えします。

 私はもともと中学校高校の社会科教員を目指していました。しかし社会科の教員になる前に教育についてだけではなく社会について漠然と学びたいと思ったため、あえて教育学は専攻せず社会学を専攻しました。

 大学2年生の時にゼミに入ろうと思い大学のシラバスを読んでいたところ、今のゼミが学校統廃合を扱うということを知り、社会学を専攻したもののやはり教育に一番興味があった私は「学校」という言葉に惹かれてこのゼミを選びました。

 まさかこの時こんなにも学校統廃合の問題にのめり込むなんて考えてもいなかったですし、この問題がどれだけ深刻かも想像していなかったです。というのも、私は関東圏のどちらかといえば都会の出身であり、小学校は1学年3クラス、中学校は1学年6クラスと比較的大きい学校に通っていたため学校統廃合には縁がなく過ごしてきました。ゼミに入って福山市の学校統廃合問題を扱うようになっても、半年くらいはどこか他人事のような感じがして事態の深刻さや学校と地域の関係性、そして当事者がどのような思いで学校統廃合に反対しているのかについて思いを巡らすことができませんでした。

 しかし、2年生の夏にフィールドワークとして実際に福山市の学校統廃合計画の対象となっている学校やその学区に足を踏み入れ、当事者のお話を伺う中で、地域にとって学校がどれだけ大切なのかを実感し、なにより山野町や内海町の住民の方が学校存続のために本気で取り組んでいる姿を見て福山市の学校統廃合が他人事とは思えなくなりました。

 そしてこの問題について学習することの重大さを自覚し、本気で福山市の学校統廃合について取り組んでみようと思いました。

◆これまでどのような活動をしてきたか

 これまでの2年間、私がゼミでどのような活動をして福山市の学校統廃合問題に携わってきたかを記したいと思います。

 先述の通り、2019年度からゼミでこの問題を扱うようになりました。夏までの半年間は、福山市の地勢や歴史を調べ、また市内小学校の変遷や生徒数などを調べて地図に落し入れることによって理解しました。

 さらに市教育委員会の作成した指針や計画・地図、また文部科学省が2015年に作成した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」などを確認しました。

 2019年の9月には、2泊3日で福山市でのフィールドワークを行いました。

 初日は内海町を訪れ、内海小学校を見学させていただき校長先生にお話を伺いました。その後地域の自治会長をはじめとした地域の方々、内海小中学校に通っている子どもを持つ保護者の方々と座談会を開き、内海町の地域や内海小学校について教えていただき、また学校統廃合について話し合いました。

 2日目は福山市の元教員の方々で結成された「地域の暮らしと学校統廃合を考える福山ネットワーク(統廃合ネット)の方々にインタビューを実施し、その後山野小学校を見学、校長先生をはじめとした教員の方々にお話を伺いました。午後には山野町の公民館長をはじめとした地域の方や山野小中学校に通っている子どもを持つ保護者の方々との座談会を開き、山野町や山野小中学校について教えていただきました。夜には、山野町に移住してきた若い世代の方々にお話を伺うこともできました。

 このフィールドワークをきっかけに、「なぜ福山市でこのような学校統廃合が進んでいるのか」「どうしたら統廃合は止まるのか」という問いを立て、フィールドワーク内でたくさんの方々に伺った話を改めて聞き返し文字に起こすことで整理し直しました。

 また、前期に扱った資料や地図を今一度確認してこれまでの福山市の教育施策を整理するとともに、これまでの学校統廃合に関する論文や新聞記事の整理も行いました。

 さらに、山野町や内海町の住民の方と連絡を取り合って問題を共有し、また学校統廃合に関する説明会の開催など新しい動きがある度にオンライン上で話し合いを重ねました。

 2020年のゼミはコロナ禍の影響によってオンライン上で行われ、福山市だけでなく全国の学校再編の事例を扱いました。その際文部科学省の「少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業」で取り上げられている事例を取り上げ、おもに「学校統廃合を進める原因にはどのようなものがあるのか」ということに対して各自治体の地勢や人口、財政などとの関係を探りました。また鹿児島県錦江町の教育委員会の方と静岡県川根本町にある学校の校長先生にオンライン上でインタビューすることができ、福山市以外の学校統廃合の現状についても知ることができました。

 もちろん福山市の住民の方との連絡も取り続け、状況を共有し続けていました。そして今年、改めて福山市の学校統廃合の問題を整理すべく今の状況に至っています。

◆これから何を書いていくか

 今後このnoteで書いていこうと思っていることを挙げたいと思います。主に以下のことについて書いていければと考えています。

・なぜ今学校統廃合について扱うのか、日本で起こっている学校統廃合について

・福山市で何が起こっているのか(福山市や山野町・内海町について、これまでの学校統廃合計画の経緯や動き)

・市町村合併と学校統廃合について

・イエナプラン教育をはじめとしたオルタナティブ教育について

・学校選択制や小規模特認校について

・小規模校と「主体的・対話的で深い学び」について

・教育委員会制度改革について

◆さいごに

 これまで2年以上福山市の学校統廃合を扱ってきたことで福山市だけでなく全国の学校再編の現状を知り、また教育行政をはじめとした地方行政やオルタナティブ教育などの教育方法など幅広く学習してきました。

 これらの学習を通じて、私は教育行政が児童生徒の学習だけでなく地域にも多大な影響を与えるということをつくづく思い知らされました。

 さらに山野町や内海町の住民の方と関わらせていただいた中で、地域が存続していることがいかに大切であるかということを身に染みて感じました。

 このnoteで福山市の学校統廃合の経緯と現状について書き、市教育委員会がどのように学校統廃合を進めてきたかを知ってもらうことで、学校統廃合をはじめとした教育行政が子どもの教育にだけでなく地域に与える影響の大きさを知ってもらいたいと思っています。

 そして市教委の動きに対して山野町や内海町の住民がどのような反応をしてきたかということも記すことで、読者の方に地域が存続することの大切さを伝えられたらいいなと思います。

 このnoteを読んで地域から学校が失われることの深刻さや地域行政の影響の大きさが伝わり、たとえ人口が増えているような都会に住んでいる人であっても、自分に関係のある話だと思っていただけたら幸いです。

M・Y



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