思考と試行

この記事は、「ボカロP Advent Calendar 2023」の14日目の記事です。

この記事のひとつ前にあたる13日目の記事は、Natさんが書かれています!

この中で書かれている「みんな、どうやって友達増やしてるの!?」という疑問は、僕もこの一年の間ずっと思い続けてきただけに、共感しながら読んでいました。

今回の僕の記事は、それにも関係があるような内容なのかもしれません。

※とつぜん『悪童日記』のようなことを冒頭で書きますが、この記事では僕は、実際に起きたことや考えたこと、取り組んだことだけを書いていこうと思います。そんなこの記事が、もし誰かにとっての道導になれば、それはとても喜ばしいことです。
ただ一方で、この考えが取り組みが読む人全員にとって喜ばしい内容なのかはわからず、もし気を害してしまうことがあれば、すみません。

あくまでこれは僕の、活動の歩みの足元にできた轍の観察記録みたいなものです。

はじめに

はじましての方は、はじめまして!
Sceno Ichiro(瀬乃一郎)です。セノイチロウと読みます。「scenography=舞台美術」という語をもじった活動名で「ワンシーンのみえる音楽」を掲げ、作品づくりをしています。

代表作⇩

ざっくりとした活動歴⇩

2022.10 — ボカコレ2022秋に『メビウスの裏』で参加(初投稿)
2023.03 — ボカコレ2023春に『SCAR/LET』で参加
2023.07 — ニコニコ公式番組 はろみゅ! で『絡る実』が紹介される
2023.08 — ボカコレ2023夏に『BATNA』で参加
2023.12 — 1枚絵動画投稿祭で『シーロンス・フィニィ』が最終ランキング99位
※ちなみにボカコレは直近の過去3回参加し、いずれもランキング100位圏外

僕は2022年10月デビューなので、この2023年は活動一年目の大半でした。
僕という人間は、功名心や人気になりたい欲はそこまで無い方じゃないかな…?と自己分析しています。
それでも、活動するからにはたくさんの人に聴かれたい、多くの人にとって自分の作品が大切なものになったらいいな、という気持ちがずっとありました。
なので、これだけ既に成熟しているボカロ界隈のなかで、自分はどんな活動をしたらその願いがより叶うのだろう?と思い考えながら、この2023年の活動に勤しみました。

思考

「たくさんの人に聴かれるには?」
「誰かにとっての大切な作品になるには?」

上のふたつを考えてみたものの…
この世界の人たちは誰も僕のことを知らないんだから、そりゃ聴かれないよな…
と、まずはじめに思いました。知られるための方法を考えたとき、結論としては作品を発表すること(当たり前)。あとは、何をどこでどう発表するか、を意識しました。

当時の僕が思いつくような、無名な人間が知名度を得られるパターンは、
「ネタ曲を当てる」「抜群に良い曲を一目にふれやすいイベントで出す」でした。
このうち前者に対しては、ネタ曲で爆発的にウケるものを作れるタイプの人間ではないと自分のことを捉えているので、まず失敗するだろう、と。
そして、もし仮にひとつ抜群にウケるネタ曲を作れたとしても、僕の人間性では継続してネタ曲は作れないだろうなという確信がありました(笑) よって断念!

後者については、ネタ曲よりはまだ自分に向いていると思いました。
抜群に良い曲、に自信は大してありませんが、そこについては自分が頑張るしかないので分かりやすく、あとは「一目に触れやすいイベントって?」という点を考えました。

そこで目をつけたのが、投稿祭でした。投稿祭とは、各種大小様々な縛りやレギュレーションに沿った作品群が一斉に発表されるお祭りみたいなイベント。
ボカコレは有名で代表格ですが、そういった比較的名前の知られた投稿祭以外でも、探してみるとどんどん出てきます(たまたま2023年という時代が、ちょうどそんなタイミングだったのかもしれません)。
投稿祭は開催時期も明確に決まっているので、作品の発表時期も自然に決まり制作スケジュールも結果としてある程度定まります。そして、その投稿祭に参加するという目的意識が作品をつくるモチベーションにもなりますし、締め切り意識も生まれるので自分みたいな、ひとつの作品に対し無限に作業をしたくなるような人間にはありがたい(笑)
そして何より…

「皆で同じ祭に向けて曲をつくるなんて、、、楽しそう!!!!」

この気持ちに尽きます。

試行

調べれば調べるほど、とにかく多種多様な投稿祭が存在していたので、その中から自分が楽しめそう・得意そう・時期が良さそうな投稿祭をリストアップして、それに向けて作品をつくっては投稿して、を続けていきました。もちろん、時期が重なっている投稿祭も多いので、その辺りもある程度は見定めながら、参加する投稿祭を選んでいきました。

このとき、リスナーの方々に知ってもらえたらという気持ちもありましたし、それだけでなくボカロPの方々と仲良くなりたいなという気持ちもかなりありました。身近に作曲家仲間みたいな人はほぼほぼ居なかったので、こんなに作曲している人がいる!ということ自体が嬉しくて嬉しくて。僕にとってとても素敵な環境でした。

そんなわけで、各種投稿祭に今年はどんどん作品を投稿しました。

これにあたって、自分のなかで決めていたことがあって、参加作品をつくるときは、投稿祭のレギュレーションを逸脱しないという大前提のもとで、「自分がその投稿祭が仮になかったとしても書きたいもの」を必ず書く、ということに専念しました。
(投稿祭に自分の作家性を振り回されないぞ!手綱は自分で握るぞ!という気持ち)

僕は締切という存在がないと無限に作業するタイプの作家なので、筆を置く理由として締め切りの存在は重要です。投稿祭参加によってスケジュールが定まるというメリットしっかり享受しつつ、作品の質(=形質&品質)はマイペースを心掛けました。

リスナー受け等も出来る限り意識せず、自分のやりたい作品をやる。もしも受けを狙おうとするなら、ボカロP・作り手に響くような作品を狙う、という意識で臨みました。

ちなみに、この「ボカロPに響く作品を書く」という意識はもともと、作曲仲間がほしい!みたいな気持ちから生まれたものでしたが、12月初めの、くりたさんの下のツイートを見てからは、案外知名度を高めようとするうえでひとつの良い発想だったのかもしれない、と最近は思うようになりました。ご紹介します。

2万人ってすごい数ですよね…ボカロシーンの大きさに震えつつも、多すぎて規模感のイメージが全然掴めないや…と思っていたんですが、例えばもし実際にアクティブな(=今も継続して活動している)ボカロPが実際に2万人いるのだと仮定すると、その1%でも200人。投稿祭にもよりますが、投稿祭のタグランキング上位の作品では♡いいねが100〜数百規模で付いたりもします。なので、この200という数字がつい最近は若干頭をよぎります。

おわりに

投稿祭への参加を続けたことで、僕個人はかなり多くの方に聴いていただく機会を得られましたし、僕という作家に対するイメージや世界観みたいなものを感じ取っていただけているんじゃないかと思っています。投稿祭という文化風土がなかったら、たぶん僕の活動は大なり小なり違うものになっていたと思います。
そのありがたみに感謝しつつ、今後は良い意味で投稿祭以外での投稿作品も沢山の方々に聴いてもらえるような存在になることも、目指していきたいなと思っています。
もっと、Sceno Ichiroとしての表現(=シグネチャーな表現)に向き合いたい。です。

最近はニコニコ動画のプラットフォーム側も投稿祭後援に積極的な姿勢を示していることもあり、投稿祭は今後更に盛んになると思います。なので、自分の活動スタンスやコンセプトに合う投稿祭参加を続けていけたらなという気持ちです。
「このテーマ・レギュレーションでそんな曲が浮かぶなんて…!なんて素敵なんだ…!」という出会いが、またこれからもどんどん生まれていくかと思うとワクワクします。こんなにリスナーとしても作曲家としても楽しくワクワクできることは、そうそうありません。
投稿祭を参加者の一人として盛り上げる ⇔ Sceno作品に多くの人に触れてもらう。
この健全な循環というか、健全な共犯関係を続けたいなと思います。

あとがき

上のような流れに乗りながら、たくさんの作品をつくってきたものの、それを振り返る時間をつくってこなかったな、とこうして振り返りながら思っています。
なので、近いうちに自作品の舞台裏をお見せするような解説記事を今後シリーズ化して書いていけたらいいな…と思っています。

シリーズの名前だけはもう決めてあります。
「ケイショウチ」が良いな、と思っています。
(Sceno Ichiroがつくる風景の「景勝地」「継承知」をのこす、という意味を込めて)

もしご興味ありましたら、ぜひ投稿した暁にはお読みいだけたらなと思います。
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僕の次のアドベントカレンダー、次なる15日目の担当はアカヨウチュウさんです!
はたしてどんな記事を書かれるのやら…お楽しみに!!


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