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映画とかのはなし

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観た映画やドラマのはなしを書いたnoteが入ってます。シナリオ創作に役立つ技術よりのはなしを書いているつもりです。
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#シナリオセンター

映像表現に強くなる!逆シナリオのすすめ

祖父新井一の書いた『シナリオの基礎技術』をもとに、脚本家志望の方々に、ちょっとでも役立ちそうな発信をしたり、しなかったりしています。 シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が創立。 ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど600名以上の脚本家、小説家を輩出するの学校です。 URL:https://www.scenario.co.jp/ で、今日は、映像表現に強くなる方法を、世田谷文学館

感情移入するって、そういうことか……『脚本の科学』を読んで妙に納得

フィルムアートさんから出版されている『脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ』を読んで、感情移入について「なるほどな」と思いました。 感情移入は大切だ!シナリオ・センターの講座のなかでも、観客が登場人物に感情移入をすればすれるほど、ドラマに惹きこまれていくというお話をしています。 作家にとって、観客を感情移入させることは大切です。 どうすれば観客が感情移入するのかは、シナリオの表現技術として手に入れることができます。(こっちが気になる方は、一番下

デ・パルマ監督、焦らしますね!映画『アンタッチャブル』主要人物の登場シーン

名作『アンタッチャブル』は、『主人公は、暖簾を分けてサッとでる』 のお手本のような主要人物の登場シーンがにくい作品です。主人公の登場シーンにひと工夫したい方は、参考になること間違いなしです! 『アンタッチャブル』[午前十時の映画祭 公式サイトより] 1930年代、禁酒法時代のシカゴ。財務省から派遣された捜査官エリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)は、シカゴの暗黒街を支配するアル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)率いる犯罪組織撲滅のため特別チームを編成する。ベテラン警官ジミー

ドラマの深度が変わる視点の置きかた。『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』

視点をどこに置くか。 シナリオを書くうえで大切だと、新井一も『シナリオ作法論集』の中で言っています。 人生いろいろな見方があるものです。 よく言うのですが、忠臣蔵を書こうとするとき、大石蔵助の方からのゆき方もありますし、視点を全く変えて、吉良上野介の方から見た「裏返し」もあります。『シナリオ作法論集』p25より 2018年4月公開のチャン・フン監督、ソン・ガンホ主演『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』をいまさらながらAmazonプライムで観ていて、「視点ひとつで、観客を

ハッピーエンドの新・教科書。映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』の秀逸な構成

「ハッピーエンドを書きたい!」と思ったら、ハッピーなエンドまでどう持っていくかが重要。 しかも、ハッピーエンドにしようと思うと、ただのいいお話になってしまいがち。そうならないための教科書的な映画が『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』ではないでしょうか。 『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』の3行ストーリー 劇作家として鳴かず飛ばずのエドモン。自分に自信が持てず、大スランプの中、ひょんなことから、大物俳優コクランの舞台の作品を書くことに。 しかも舞台までの期限はわ

いいセリフを書くには?脚本家鼎談から探ってみた

シナリオ・センター50周年を記念して、唯一それっぽい感じで行った11月23日のイベント『それはセリフのせいだ。~脚本家鼎談&新井一賞授賞式』の脚本家鼎談の部分を、少しだけ公開。 当日の様子は、こちらのブログをご覧くださいまし。 シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が創立。 ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど600名以上の脚本家、小説家を輩出するの学校です。2020年で50周年!

映画プロデューサーの視点。TCP最終審査会から探ってみた2020

2020年も、TSUTAYA CREATORS' PROGRAMの最終審査会に伺ってきました。 TSUTAYA CREATORS' PROGRAMとは…… 『TSUTAYA発の映像クリエイターと作品企画の発掘プログラム。「本当に観たい映画作品企画」をプロ・アマ、年齢、性別、国籍など一切の制限なく募集』公式サイトより https://top.tsite.jp/special/tcp/ で、昨年の模様もnoteでまとめたので、今年の模様も「プロデューサーってどんな視点で企画を

アメリカの絶望と希望が見える『mid90s ミッドナインティーズ』『行き止まりの世界に生まれて』

基本的にアメリカのスケートボードカルチャーには、接点もないのですが、映画『mid90s ミッドナインティーズ』を10月13日に観に行って、「こりゃ、『行き止まりの世界に生まれて』も観なくちゃな」ということで、17日に観てきました。 『mid90s ミッドナインティーズ』は、「『21ジャンプストリート』などの出演でも人気の実力派俳優ジョナ・ヒルが監督としての才能を開花させたデビュー作。ジョナ・ヒル自身の半自伝的な10代の想い出をもとにした珠玉の青春映画」 公式サイトより 「

セリフは少なくても雄弁。映画『ソワレ』にみる会話とセリフの違い

8月の終わりに、映画『ソワレ』を観に行きました。季節感も、この時期にぴったり。なので、いま、観ておくことをお勧めします。 主演は、類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある村上虹郎と、独特の存在感で鮮やかな印象を残す新星、芋生悠。監督は、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭、外山文治。そして、プロデューサーは、この若き才能とともに日本映画の未来を見つめ、手探りで映画初プロデュースに果敢に挑んだ豊原功補と小泉今日子。 映画『ソワレ』公式サイトより そんな

暑くなる日々に要注意。スパイク・リー監督『ドゥ・ザ・ライト・シング』

暑い、とイライラする。けど、暑い夏こそKeep writing! でも、これから暑い暑い8月を迎えるぼくらは、要注意。 なんせ、暑くてイライラしてくると、いままで蓋をされていた潜在的な問題があらわになるから。 そうスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』は教えてくれます。 『ドゥ・ザ・ライト・シング』は、1989年に公開。この映画の根底には、アフリカ系アメリカ人の黒人に対する人種差別問題があるのだそう。 Amazonの作品レビューより ブルックリンの黒人街ス

映画『LEON』の出だし10分の魅力を、800字でまとめてみた

言わずと知れたリュック・ベッソン監督の名作『LEON』。特にすごいのが、出だしの10分。ここだけで「もうこの映画、絶対おもしろいだろう」と観客に思わせちゃいますもんね。 ポイントは、主要人物の登場のさせ方にあり!ですね。 ①最初の2,3分で、天地人の紹介完了!まずは冒頭の2,3分。天(時代)、地(舞台となる場所)、人(登場人物)をさらっと、でもかっこよく紹介。 海辺?の空撮からはじまり、大都市の全景が映り、カメラは街中へ。そしてリトル・イタリーと書かれた通りに入り、とあ

刑事コロンボの『結』が秀逸すぎ。観客を虜にする、いさぎよさ

皆さんご存知の『刑事コロンボ』シリーズ。毎回終わり方がめちゃめちゃ、秀逸です。おしゃれ。というか、無駄がない。まさに『結』の見本市。 映画やドラマのシナリオはもちろん、小説やマンガ、ブログにも使えるかもしれません。毎週水曜日に、BSプレミアムで放送中なので、是非チェックしてみてください。 そもそも起承転結の『結』の機能とは……ズバリ、テーマの『定着』と『余韻』です。 「ラストシーンは、機能としては、ドラマの余韻と定着です。無言のテーマの訴えがあったのち、そのテーマをちゃ

映画を映画館で楽しむ。いままでよりちょっぴり慎重に

『Save the cinema』だなんだといったところで、映画館に行ってお金を落とさなければ意味がない、ということで、6月7日の日曜日に久々に映画に行ってきました! でも、よく考えたら、言ったのは日比谷ミッドタウンの東宝シネマズ……ミニシアターではないという。でもでも、ジム・ジャームッシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』が観たかったのだもの。 で、思ったのは、やっぱり映画館は恐れる場所ではなく、安心して楽しめる場所じゃないの?ってこと。 その理由、まとめてみました。

ミニシアターが好きだったころ、モテなくなかった?という話

日本の映画文化、ピンチ!だから映画好きのみんなで、「ちょっとした支援」をしていこうと、「ミニシアター・エイド基金」が立ち上がりましたね!絶賛、応援していきましょう!! ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金 個人的には、つい最近は『さらば青春の光』を下高井戸シネマで満喫しました。 そして、今のところぼくの中で一番ヒットした映画が、『ヘヴィ・トリップ』!『パラサイト 半地下の家族』よりも、楽しんでしまった……というと失礼だけど、とにかく楽しい映画なわ