見出し画像

#4 チョコレートドーナツ

こんにちは!
今回は9/25を含む一週間がSDGs週間、ということで5つ目のゴール「ジェンダー平等を実現する」にまつわる作品を選びました。

『チョコレートドーナツ』(原題 : Any Day Now)
何度も何度も見ていますが、毎回こころがじんわり温まったり、揺さぶられたりする、大好きで、大切な一作です。涙なしには見れません。

あらすじ
1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。(公式サイトより引用)

しかし、同性愛カップルと障害を持った子が必死に家族になろうと奮闘するなか、周囲からの無理解や差別や法律の壁が道を阻みます。

家族とは、個性が認められる生き方とは

ルディが歌うエンディングが流れるころには、取り返しのつかない虚無感に包まれます。私は何度見ても、「なんでこれが許されないのか、家族じゃん、マルコの幸せ返してよ」と感情が沸きだってしまいます。ルディの魂のこもった歌声に、さらに気持ちが突き動かされる感覚です。
令和になった日本でも幼い子が親から虐待されるという、絶対にあってはならないニュースが耳に入ります。どうしてもマルコ・ルディ・ポールの家族と比較してしまいます。どんな経緯であれ奇跡的に授かった家族と、それぞれが自分の意志で選んだ家族。家族ってなんだろう…。『アイ・アム・サム』や『万引き家族』を見たときにも感じました。

冷静になり1970年代という時代背景を考えれば「仕方がない」と片付けられてしまうかもしれません。
でもこの作品のメッセージは、そんなやるせなさだけではないと思います。不思議とこの家族のやさしさに触れていると「ちぐはぐじゃない人なんていないよ」「どんな人も堂々と生きればいいよ」「それも幸せだよ」と声をかけられているような気持ちになります。

*現在の日本でも、同性カップルの特別養子縁組はほぼ現実的でないと聞きます(自治体が認めるパートナーシップは法律上の配偶者には認められません)。精子提供を受けて子供を授かるケースが多いようです。

日々感じるジェンダーやLGBTqのハテナ

先日仕事で関わる社外の方からこんなことを言われました。
「スカーレットの会社は実力主義の個人プレーだから女性も働きやすいんでしょ?」(業務量も時間も自己管理で完結する働き方です。)
そう投げかけられて私の頭はいったん思考停止しました。不快感とか嫌な気持ちはなかったけど、言葉に変えることのできない「ん・・・・」という感じ。

社内でも女性活躍推進という言葉をよく聞くようになりました。私の会社は現場の9割が男性なのですが、その男性から聞こえるのは「ほかの会社より女性も働きやすいはずだよね」「そんなこと話し合って意味ある?」という声です。うーん。
たしかに働く権利は女性にも与えられているし、機会も用意されているのでしょう。でも社内で私によくかけられる言葉のなかには「毎日ご飯どうしてんの?」「土曜日も仕事して旦那さん拗ねない?」です。はいはいまたか、って思うくらいよく言われます。平等だ、公平に!って言っているわりに、『女性なのに働く』『女性なのに今家庭より仕事を優先している』というフィルターで私を見ているのだと思います。
我が家は二人で苦労して役割分担をして、それぞれがやりたいことが出来るように絶妙な均衡を数年来保てています。なので正直「ほっといてくれよ」っていうのが本音なんですね笑

あと余談ですが、「女性がいると明るくなるね!」っていうのもよくあります。え、私が存在する意味って空気を明るくすることなの?ってげんなりしますね。僻んでいるわけではなくて、その言葉とその他の関わりを天秤にかけてそう思っているわけです。

そんな経験を日々しているので、先述の質問に言葉が詰まったのだと思います。制度も働きやすさの重要なファクターではありますが、それ以上に一人ひとりの考え方や固定概念を取っ払わないと、長い歴史で培われたジェンダー間の不平等は根本的に解決できないと私は思います。

さて、チョコレートドーナツをSDGs週間に取り上げた理由。女性の私がこんなささくれのようなことでハテナを感じて生きているのだから、LGBTq当事者のみなさんはどんなに生きづらいことか、本当の意味の自由や多様性の理解が得られるにはまだまだ時間がかかるのかもしれないと考えました。当事者のみなさんにとっては、女性についての課題と一緒にしないでくれって話かもしれません。でも必要なのは男性/女性/LGBTqとかそんな枠ではなく、一人一人の尊厳だと思います。この映画は、その尊厳がテーマだと感じたので選びました。

さいごに

「ランドセルは女の子が赤、男の子は黒。そういうもんなの!」だったのが、今ではピンクを選ぶ男の子もいるようです。ピンクがカッコいいから、という理由が新鮮です。私が今から小学校に通うならネイビーを選ぶかな~!私っぽいし、どんな服にも合いそうだし…

そうやってしがらみになってしまう枠やグルーピングが無くなると、生きにくさを感じる人も減るかもしれません。もしかしたら新たな生きにくさが出現することもあるかもしれません。
私自身も「○○なのに▲▲▲」という色眼鏡なしにとなりの人と関われるようになりたいと思うし、時代の変化にしなやかについていける人でありたいなあと思います。


今日は繊細で大きなテーマで、個人的に関心が高く仕事やプライベートでもアンテナが立っているテーマだからこそうまく言葉にできなかったです。最後に私が刺激を受けた情報を2つシェアします。

西加奈子さんのラジオ(VOGUE JAPAN 西加奈子の12冊の処方箋)

若宮和男さんのnote


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?