見出し画像

#7 喜望峰の風に乗せて

こんにちは!

今回は、見終わるまでは「これはnoteに書けないなあ、書くの難しいだろうなあ」と思った作品について書いてみようと思います。

1968年、アメリカとロシアが宇宙を目指していた頃、イギリスは海洋冒険ブームに沸いていた。そんな中、ひとりぼっちでヨットに乗って一度も港に寄らず、世界一周を果たすという“ゴールデン・グローブ・レース”が開催され、ビジネスマンのドナルド・クローハーストが名乗りを上げる。アマチュアの果敢な挑戦にスポンサーも現れ、ドナルドは家族の愛を胸に出発する。だが、彼を待っていたのは、厳しい自然と耐え難い孤独だった。さらに、ヨットのあちこちが故障し、日に日に遅れをとる。追い詰められたクローハーストは、嘘の報告をしてしまい、新聞に「新記録だ」と書き立てられ、世界から注目される。クローハーストの真の旅は、そこからが始まりだった──。© STUDIOCANAL S.A.S 2017

※実在の人物を描いた作品です。

書くのを躊躇った理由

まずは、タイトルほど爽やかな映画ではないから。ネタバレをなるべく避けて言葉を選ぶなら、ハッピーエンドではない。
予告を見たときは、嘘の報告をしたあとに何か吹っ切れて、きっといい形で帰還するんだろうな、と思っていました。しかし途中で、おや…その道は絶たれたぞ、どう終わるのこれ。と気づいてしまいました。

そして、爽やかでもなく、スッキリともせず、ドナルドの決断の重みだけが残る形で映画は終わります。

主人公をただ称えるだけでない作品は、以前の記事でも書いた洋画ならではの良さでもあると思っています。
ただ、見終わった後の感想は私も夫も「んー-------」。決して「見なきゃよかった、駄作だった」ということでは全くないと断言します。どう受け止めるか、そこに少し時間がかかりましたし、見る人の価値観によっても違ってくるだろうと思いました。

分かりやすくメッセージ性があったり、誰かを応援するような映画でもない。ドナルドの妻クレアの美貌と子供たちの愛らしさ以外に眼福要素も少なく、友達に「めっちゃいい映画だから見てみて!」と言えるようなタイプの映画でもないので、noteにできる自信がありませんでした。

でもエンドロールで原題を知り、また見終わった後にこの映画の意味を考えて「書いてみようか」、という気持ちになりました。

"The Mercy"という原題

本作の原題は『The Mercy』と言います。つまり慈悲。

余談ですが、見終わってから「この邦題…」って思ってしまう洋画、結構ありますよね。タイトル付けも芸術のエリアだし、興行収入に直結する事なので、どんな題にするのかは配給会社の自由だとは思っています。でも、ファンタビとかね、ハリー・ポッターが好きすぎた故にというのも相まって、あのタイトル(邦題)を見て「こどもっぽ…」と受けとってしまい数年間見ませんでしたからね。今となっては大好きですが。

本作も、やはり原題の方がぴったりだと思いました。

mercy
慈悲,情け,容赦 《生殺与奪の権を握られている罪人などに対して罰しないで許そうとすること》

ドナルドのような境地は、大なり小なり誰にでも起こり得る岐路です。私にもいくつか身に覚えがあります。
そんな時にでも神の慈悲を受けることはできる、という意味なのか、
それともドナルドの決断に対して慈悲あれ、という意味なのか。

少なくとも、私はこれからどうしようもなく逃げたくなったり、追い詰められてしまった時、この映画を自然に思い出すことになると思います。
「この映画で人生が変わった!」みたいな作品ではないけれど、そんなインパクトを残す映画でした。

さいごに

今回は今までレビューしてきた作品とは一味違うものにチャレンジしてみました。

ちなみに、ドナルド・クローハースト氏についてwikipediaに詳しく記載がありますが、本作を見る前には読まないことをオススメします。
私はまだ読んでませんが、隣で夫が読んでました。わりと細かく情報があるようです。

では、最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?