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東野圭吾の世界vol.1

こんにちは!
タイトルを見て「どうした?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。今までの12投稿はすべて映画にまつわる内容でした。自分でも映画のことだけを書くアカウントを作ろうと思っていました。

ですが、ちょっとどうしてもこのテーマについて書きたくなってしまい、思い切ってみました!
結果的に今まででいちばん文字数の多い記事になりました笑
よろしければ読んでみてください^^

私と東野作品

たしか私が初めて東野圭吾の小説を読んだのは高校か大学生の時です。1、2冊読んでこれはおもしろい!!と感じたのを覚えています。年頃的に難しい本も読めるようになったころなんじゃないかと思います。
なので大人が読むような小説を読めた、という嬉しさと、内容の面白さが印象的だったんですね。

で、没頭するきっかけになったのは大学3年生の終わりころ。所属していた学生団体の幹部を引退するとき、私は副委員長だったんですが、委員長の男の子がまあ変わってていいヤツなんです。私が東野圭吾の作品が好きだということを知っていて、そして彼も大ファンで、20冊以上の文庫本を「お疲れ様の品」ということでプレゼントされました(彼のお古です)。驚くよね、そんなプレゼント、持って帰るの重かったし…笑
でも嬉しくて数か月かけて順番に読み切りました。

私は、そこまで活字が得意ではなくて、内容がマッチしないと本当に読み切ることが出来ないんです。ハリーポッターでさえも、しんどいけど大好きだから根詰めて読むという感じでした。
でも東野圭吾の小説は次が気になって仕方ない、早く読み進めたい、なんなら物語が終わってほしくない、ずっとこの世界にいたい!という気持ちになってしまうので、全然苦にならず読むことができました。

そして今。母校の大学の近くに住んでいるのですが、OB/OGは図書館を利用することができます。夫と定期的に通っていて、ふと「この大きな図書館のなかにある東野圭吾を全部読みたい!」と思い立ち、現在挑戦中です。
今までに読んだことのあるものを除いても50冊近くあるので通い甲斐があります。2週間の返却期限がペースメーカーにもなるし。

こんな感じなので、私なんかほんとの東野ファンのみなさんと比べたら、読んだ数やかけた時間、持っている思いの深さなんか全然違うと思いますが、「スカーレットらしく」ワタシ目線の東野さんをアウトプットしてみようと思います。東野さんのWikipediaすら読んだことなくて、ほんとに小説から感じ取ったことだけを書きます。

東野圭吾さんの作品のすごいところ

まずは取材力だと思います。
ほとんどがミステリー小説ですが、それぞれの作品に様々なニッチな世界が描かれているんですね。有名なガリレオシリーズだと湯川先生が物理学の目線から事件を解決するし、『鳥人計画』はスキージャンプ、『眠りの森』はバレエ団。

そのふり幅の広さは、一人の人間が一生で見える世界を遥かに超えています。一冊一冊、別の世界に足を踏み入れたかのようにリアル。
取材をするのは物書きとして当たり前なのかもしれません。でもその当事者の、しかも一作で何人もの人の目線になって正確に描写されています。ある時は犯人の目線、ある時は刑事にさりげなく重要証言をする商店のおばちゃんの目線、といった具合です。

あとでご紹介する『片想い』という作品には、アメフトの元選手たちやジェンダーに悩む人々が登場します。プレー中、ゴール直前でクォーターバックの視界に入るものが生々しく描かれています。ジェンダーに悩む方の親にその話題を振ったらどんな反応をするのか、その違和感もささくれとして表現されています。
あくまでも私の想像ですが、きっと一つの作品を書くためにたくさんの人に取材をしていらっしゃるんだと思います。取材をするということは質問力なんかも重要ですよね。でないと、「本当に居そうな人」をあんなにたくさん登場させることはできないんじゃないでしょうか。


そしてそんな登場人物たちが物語るのは共通して、事件を起こした犯人を庇う身近な存在の人々です。みんなそれぞれに事情がある。
一生自分の身には起こらないかもしれないけど、もし自分の家族が犯罪を犯したら・・・・・?警察に通報する、という単純な話ではなくていろいろな考えを巡らせて、後先のことを考えて、葛藤して、もしかしたら身代わりになるかもしれないし、必死になって匿うかもしれない。

その事情を刑事や関係者が解いていくんですが、至る所に伏線が散りばめられているのも楽しいです。「あれ、これは、もしや…」というひっかかりを頭に置いておいて、とにかく前に読み進める。そうすると「はいキター、やっぱりね」という答えが待っててくれているんですね。

結末が「犯人はお前だ!!!」ではなく、その事実に関係者がどう向き合ったのかが必ず書かれて完結。

そんな人間らしい体温を感じられるのが、東野圭吾作品のすばらしさだと私は思います。

『片想い』

この作品は、今回noteに書きたい!取り上げたい!ときっかけになった一作です。600ページ以上ありましたが、4日ほどで読み終わりました。最後の2章はエンジン全開でしたね、あっという間に終わった感覚です。
2017年にドラマ化もされているようで、paraviで見れます。

「オレ、人を殺したんだ」
と言って、大学アメフト部でマネージャーをしていた同級生の女性が現れて物語がスタートします。
"彼"を匿うことにした同級生の夫婦、そして元アメフト部の部員たち、生前の被害者男性に関わる人々。それぞれの人生に苦悩があり、少しずつ掛け違えたり、噛み合ったりしながら真相に近づいていきます。タイトルのとおり、みんなが片想いをして、それぞれの気持ちに向き合う姿もなんだか潔く感じられました。

そして大きなテーマであるジェンダーの問題。性同一性障害がメディアで取り沙汰されだした2001年の作品です。
性認識とはなんなのか?男とは、女とは?という単純な問いに、登場人物たちがそれぞれの意見を伝えてくれます。20年前に書かれた内容と思えないくらい新鮮に感じました。

まったく想像していなかった終わり方だったし、そこまでの道のりも読めなくて振り回されているようでした。今のところ東野さんの作品で一番おもしろかったです!

さいごに

ということで今回は思い切って映画から離れた内容で書いてみました。
2時間でギュッと旅する映画も大好きですが、少しずつ少しずつ読み進める小説も私には大事な存在だなあと改めて思いました。

vol.1としたのは、大学図書館にある作品をまだまだ読む予定なので、もっと書きたいことが出てくるんじゃないかとバッファを設けました。
気が向いたらまた小説についても書いてみます!

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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