5ページ目 良い所を吸収する

色んなアーティスト・シンガーの、良い所を吸収していきます。
時にはマネして、自分のスタイルを築き上げるのは……ある種必要な事だと僕は思ってます。
「俺は完全に我流だぜ!」っていう人も居ますが、少なからず誰かしらの影響は受けている筈です。

自分のスタイルがあるというのは個性に繋がります。それは「らしさ」であり「味」であり、今後(もし売れていく事を目指すのであれば特に)必要になってくる事だと思います。
勿論、カラオケで歌うだけなら必要ないかもしれませんが。

僕のノートには、高校生の当時よく聞いていたアーティストとして(趣味が100%で)下記の三例が書いてありました。

B'z
AEROSMITH
Garnet Crow

この3つで例えると、B'zはヘッドボイス、それから歌の独特の間(フレーズの終わりをしゃくり上げる等)を参考に。
またAerosmithもそうですが、ダイナミックさや表現力を参考に出来ます。
あと、Aerosmithのボーカル、タイラーの見習わなければならない点として、「例えコンディションが悪くてもステージは全うする」という点が挙げられます。
幼い頃、YouTubeのライブ動画で見たタイラーの声は全然出ていませんでした。だのに、楽しそうに歌うタイラー……プロの意識というものを感じました。
Garnet Crowは純粋に上手さを前面に押し出した歌唱スタイルではないと思いますが、メリハリ(声の強弱)や縦ノリ(弾むように歌う)等、中村さんが意識しているのかはさておき、歌において表現されています。あのストレートな歌い方だからこそ歌詞が届きやすいというのは、良い点ですね。
ちなみに当時通っていた量産型スクールでは、上手い女性シンガーとして「AKINO(アクエリオン歌ってる人)、宇多田ヒカルMISIAなんかを参考にするように!」って言われました。
で、逆に「〇〇は下手くそだから参考にならないよ?」とか……先生が余計な事も言ってましたね。
例え下手くそだったとしても、リスナーに何かを感じさせ、後を追う者に「こうなりたい!」と思わせたのであれば、それは立派な実力ですよ。
それに「〇〇になりたい!」と言うのであれば、じゃあどうしたら良いか、どうしたら近づけるかを教えてあげるべきだと思うんですけどね……。
確かに上記の人達は上手いと思います。でもそれって、10年以上経った今だからこそ上手いと分かる訳で……、耳を養えていない人間に果たしてそこまで教える必要があったのか……と考えてしまいますね。もっとシンプルで良いと思うんです。

さておき、良い所を真似するという話なんですが、実は落とし穴があります。具体例を出すとB'zのように高い声が出したくて、B'zの声真似をしてしまうというのは落とし穴。ダメなんです。
B'zフォロワーで、シンガーを志すと、皆大体あの独特の声を真似し始めるんです。僕もその一人でした。

「高い声を出すには稲葉さん風にすればいいんだ!」って思ってしまうと、以降「喉を締め付けて発声するクセ」が付きます。

稲葉さんの声帯(声)は稲葉さんにしか無いんです。声帯っていうのは人によって形、大きさも違いますからね。(だから皆違う声になる)
簡単な話、声帯の形を稲葉さんの形に無理やり近づける事で、あの声のようになると思って貰えれば分かりやすいかと。

つまり、アレを真似すると、尋常じゃない負荷が声帯に掛かるんですね。
歌い方をマネするのは時として必要ですが、特徴的な声質のアーティストに歌い方を惑わされると、悪い癖がつく場合があるので注意が必要です。

無論、稲葉さんのように歌えるのであれば、それは悪い癖ではありませんが。「惑わされる」ってのは悪い意味で「高い声を出すには、こうやればいいんだ!」って間違って理解しちゃう事です。高い声を出すには、必ずしも稲葉さんの真似をすればいいって訳ではありません。
(モノマネ芸人になるのであれば、それでいいんですけどね)

即ち、良い所は取り込んで、参考にならなさそうな所は保留にしておくと良いと思います。自分の歌唱スタイルってのは想像以上に重要で、
自分の声帯に見合った歌い方をマスターしているって事です。つまり声帯への負担、持久力、聴感上の良さや味、それから歌いたい歌唱スタイルを考慮し、一番良い発声法を模索するという事でもあります。

だから、決して蔑ろには出来ないのです。
タイトルが「良い所を真似する」ではなく「吸収する」になってるのはそういう事です。
決してマネではなく、技を吸収し、自分のスタイルとして確立させることが要訣なんでしょうね。

あ、そうそう。個人的に思う事で、且つよく言われている意見ではありますが、高音の発声を学びたいならハイトーン系のメタルが一番です。

Helloween
Angra
Stratovarius
聖飢魔II

まずこの辺りをたくさん聞くと、高い声というのは地声ではなく、裏声をミックスして(少なからず混ぜて)出しているんだという事が分かってくると思います。
Sonata Arcticaなんかもオススメしたいんですが、ボーカルのトニー・カッコはかなり鼻腔への響きが強く、地声っぽく聞こえる為、もし高音発声の練習中だというであれば……ひとまず上記あたりが参考になるかと思います。