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ニオイのない世界

今年の春は天気が悪い日が多い。
そしてアレルギー反応が著しく出た春でもあった。

私だけでなく息子たちも鼻水やクシャミで朝から大騒ぎ。春休みに入り、3月末頃からとうとうニオイがしなくなった。
病気の話はこちらに書いた。↓

ニオイがしなくなったことがあるだろうか?
ニオイがしないと、まず何もおいしくなくなる。
味はわかるのだ。
しょっぱいとか、甘いとか。

しかし、風味というものがまったくしないため、何を食べてもおいしいかどうかがわからない。
例えばバターを塗ったパン。
塩味とともにバター特有の香りがする。
その香りがないと、バターが塗ってあることにも気がつかないのだ。

ニオイがしない鼻で飴をなめるとよくわかる。
メロン味だろうがイチゴ味だろうが、全部ただの甘い飴。
つまりは私たちがメロンの味と思っているものは、
“メロンの香り”をつけた甘い水ということだ。
ニオイがしなければ、何味なのか皆目わからないということになる。

長期間ニオイがしないことで、香料の怖さに気がつけた。

ただしニオイがしないと危険にも気づけない。
例えばガス臭いとか、焦げ臭いとかがわからないから、ガス漏れや火事に気づけない。
また食べ物のニオイで傷んでいるかどうかがわからない。これも危険だ。

ニオイのない世界は、いつもと変わらないようでいてまったく違う世界。
何か食べようと思っても、どうせ正確な味はしないのだからと、おいしいものを食べようと思わなくなる。

料理はできる。
味はするから。
でも、果たして作った料理がおいしいのかどうかはわかっていない。

ニオイは五感の中で最も記憶に直結しているという。
「香水」って歌でもあったよね、彼女がつけてた香水の香りがするせいで、彼女のことを思い出してしまう……みたいな。

ニオイってニオイそのものを覚えてるし、臭わない時でも「こんなニオイ」と思い出すことはできる。
でも、実際にニオイが伴わない世界は、なんとも味気ない。
生活にそこまで支障はきたさない。
それでもやっぱりニオイのない世界は豊かではないなと感じる。

薬を1週間飲んでも戻ってこず、薬を変えてもらったらバッチリ効いてニオイが戻ってきたけど、アルコールを飲むとあっという間にニオイが消える。
こりゃ、当分アルコール禁止だな。


波瀾万丈のシングルマザーですが、好きなことを仕事にしてやってきました。サポートしていただけたら小躍りして喜びます。次なる夢に向かって羽ばたく力になってください!