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本日、マラドーナが亡くなりました。

私はそれを聞いて、シェイクスピアのマクベスが、夫人の死の知らせを受けたシーンでの独白、「そんなしらせもあるかとは思っていたが。ああ人生は儚い夢、ただの芝居。我々はただの役者だ」を思い出していました。体が悪そうだったので、意外にオドロキはない。ただし儚い。華やかな人だっただけに。

ともあれ人生を「ただの芝居」とみなすならマラドーナほどのスターも他にいません。その昏い部分も含めて。そして若い人たちの印象がもし「なにやら挙動がおもしろオカシイ肥満のサッカー監督」になってしまっているのだとしたら残念なこと。選手としての全盛時代のこの人はまさにオバケでした。巧いだけでなく、劇的な場面での運の良さは異常、何かが取り憑いていた人です(そして、「ここぞ」というときでの、麻薬絡みでの落魄という落差のひどさもこれまた何かが憑いていた)。

アルゼンチンサッカーもなんだかんだ合理的なスポーツ科学とマネジメント次第になってきて、マラドーナのような人はもう出ないかもしれません。

というわけで、もともとオバケのような超絶存在だったマラドーナが、本当にオバケの世界に行ってしまいました。ただ、あちらの世界のサッカーファンは大喜び、あちらの世界のサッカークラブからはオファーが殺到していることでしょう。

私としては、ただただ、合掌。

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