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フランス文学の危険な水域についてひとつ気づいたこと:『さかしま』はとくに私には危険な本だった

フランス文学にときおり登場する「ぶっとんでる怪書」というもの。

サド侯爵とかアルトーとか。

そういう有名どころの本は、あらかじめ「読んで感化されるとアブナイ!」とわかっているものなのでまだよいのですが、

まったくの不意打ちでした。

ユイスマンスの『さかしま』という小説。

地味に、もっとも危険なフランス文学なのではないでしょうか。少なくとも私は読んでから数日、心がなんか、おかしい。。。

人生に倦んだ貴族のお兄さん(おっさん?)が、引きこもって、財力を傾けて「自分だけの世界」をお屋敷の中に構築していくというだけの話なのですが、おそろしいことを言うようですがこの「究極の引きこもり用お屋敷を作りたい(しかも自分の考える「美」しいものがさんざんコレクションされてる)」ってわかる気持ちのする欲望なんですね。私だって凄まじい財力があればやってみたい、、、。ゾゾゾ。

こんな本に感化されて、仕事で嫌なことがあっても、「まあいいや、人生に倦んだら、有り金ぜんぶを使って究極の引きこもりになって消滅していくまでのことだからなー」なんて思うようになると、たしかに何も怖いものはない気になってくる。でもこの「感化」はアブナイ!

アブナイとわかっているのですが、

『さかしま』の影響力は凄まじく、昨夜はこの小説の舞台っぽい屋敷の中にいる夢を見るほどになってしまったのでした。

フランス文学はおそろしい。

しかし、サド侯爵あたりなんぞに感化されて「闇の欲望」に目覚めるよりは、ユイスマンスに感化されて「究極の退廃趣味」に浸るほうが、社会に対して無害ということでは後者のほうがマシか。いや、どっちもどっちか。

フランス文学はおそろしい。

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!