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Scalesのものがたり料理教室

料理研究家のスケイル(Scales)の料理を、詳しくレシピ解説付きでたっぷり紹介いたします。季節の旬を存分に感じられる身近でありながらちょっと特別な料理、またお酒のこと、テーブル…
Scalesの語り口で、素材の意外な組み合わせの発見、読んで美味しい、作って美味しい。 ワクワクす…
¥666 / 月 初月無料
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#scales

薑糖蕃茄 (台湾の甘いトマトデザート)

そう簡単に海外に行けなくなって三年目に突入した。 「そうだ、旅に出よう」なんてふと思い立った気持ちも瞬時に消える、を何度も繰り返し燻り続けているこのパンデミックな二年である。飛行機の乗り方さえ忘れそうだ。 幸い日本(東京)には、イタリア料理やフランス料理からレバノン料理やマルタ料理まで、異国のお店さんがたくさんあって、簡単に海外の料理がいただける。だけども現地の食材、水、人が作ってくれ、その場で食べるものは、土地、風土そのものをいただくことに等しい。 空港に降り立った時か

金柑のあまい粕漬け(金柑を余すことなく味わいたいレシピ2)もうすぐやってくる金柑ロスに備えて🍊

先ほども語ったように金柑が大好きで、金柑ロスを意識するこの時期になるとしばしの別れを惜しむように金柑ばかり食べるようになる。でも、金柑はビタミンやミネラルなど栄養価も高いので食べておいて良いのだ。 先ほどのオランジェットとともに、金柑おすすめレシピに粕漬けがある、これもうとっておき。漬けることによって金柑の果皮がまるで果実かと弾けるように瑞々しくなる不思議。お茶請けにもぴったりで、白茶などの中国茶にも合いますし、緑茶もいい。お酒なら白ワインに、もちろん日本酒にも。まぁ、白っ

金柑のオランジェット、カルダモンの香り(金柑を余すことなく味わいたいレシピ)

果肉はほぼ無しで、果皮がほとんどな不思議な果実。そしてオレンジにも、みかんにもない独特のシトラス風味。今だけの季節の金柑がとても好きだ。柚子の次に世界中でブレイクする日も近いと思っている、そんな金柑を旬のうちに余すところなく味わっておきたい。 カルダモン風味の金柑のオランジェットはチョコレートの代わりにカカオニブを使って大人な味わいに、サクサクした歯ごたえも良い。オレンジで作るオランジェットよりこちらの金柑ほうがかなり好みである。なんというかそれ独特の爽やかな苦味のおかげでさ

すこしキャラメリゼした、独活(うど)のグラッセ 〜春の味、”うど”を簡単においしくいただきましょう〜

この頃を過ぎてくると、春の山菜が出回ってくる。山菜の独特のえぐみにはデトックス効果があって代謝が低くなった冬のあいだ中、身体に溜め込んだ毒素を排出してくれる役割があるのだという。 それに、春になって目を醒した冬眠明けの熊は、すぐには何も食べることができず、目が覚めたらまず最初に ”蕗のとう” を食べて体の毒素や腸内に溜まったフンを出してから覚醒するらしい。(ゴールデンカムイでもそんなシーンがあった。) 自然はすごい。ほんとうにすばらしい。 だから、春の山菜のえぐみは天からの

バジルのジェラート(長い冬、そろそろハーブな風味が欲しくなる、キリッと爽やかなバジルのジェラート)

遅ればせ(?)ながら、先日ロボット掃除機を購入しました。最近は機能もよく安価なものがあるので、まずは自分のライフスタイルに合っているかをお試しするつもりで。結果、買って大正解。いえ、もっと早く買えばよかった。部屋に放った当初は戸惑いながらヘンテコな動きをしているのですが(え?そこからそっちいくの?で、途中で戻るの?)そのうちキッチンにも廊下にも迷わずスイスイと入っていく後ろ姿や、毎度同じ場所で引っかかって動けなくなり助けを呼んでくれるのもかわいい、ダイニングテーブルで仕事をし

冬瓜と茗荷のサラダ、鰹のタタキに添えて(旬の冬瓜は煮物以外にもおいしいサラダに)

まだまだ昼間は夏のようですが、わたし毎朝5時半頃ゴミ出しに一瞬、外に外に出るのですが、1日、1日と空気が変わっている気がします。今日と昨日はほんの少しだけ、少しだけ気温と湿度と風が違う。早朝はそれが顕著なんです。この僅かな季節の移り変わりを感じるのが好きで、この早朝のゴミ出しタイム(雨でなければ)かなり好きな時間。そう、安心ください。ほんの少しずつでも秋になっています。といいますかこれから暑さが引いたとき、気温差で体調注意ですよね。 さて、今もおいしい冬瓜、どう料理していま

ゴーヤの蜂蜜フリット(苦いのに甘いのを重ねると旨味が増える)新感覚なおいしさ

夏の食べ物は楽しい。ゴーヤというと、まずはやっぱりゴーヤチャンプルーかもしれないけれど、私は「凪のお暇」という漫画を思い出す(レシピじゃないじゃん)。いや、熟したゴーヤの種が赤くなって甘くて美味しくなるんだよ、という話だった(気がする)。ゴーヤを育てていないので、赤い種はまだ試した事はないのだけどね、どんな味なんだろうな。 台湾の夜市では「蜂蜜苦瓜汁」なるドリンクが売っていて、白ゴーヤの爽やかな苦味を蜂蜜の甘みがほんのり包んでくれて、どれだけでも飲めてしまう大好きなやつ、寧

赤紫蘇と茗荷の紅ずし(鮮やかな赤紫蘇のごはんが香るさっぱり寿司)

この時期は、食材の旬のラッシュなので、まあ色々と忙しい。作りたい物と食べたいものが渋滞気味。うかうかしているとあっという間に終わっているのが旬。心をおちつけて(笑)、まず旬の短い食材から楽しみましょう。今だけの、彩り鮮やかな赤紫蘇と茗荷のすし。 高知のほうに田舎寿司という郷土料理があるのですが、それがヒント。そちらは酢飯に柚子酢を使ってあり、茗荷やたけのこ、しいたけなどをのせていただくもの。柚子の酢飯だなんてすきなものを考えるなぁ、日本人の感性ってやっぱりすごいのよ。 さ

ミョウガと烏賊のマリネ(茗荷好きにはたまらない。おいしく、たくさん食べれるレシピ。)

ほぼ一年中みかける茗荷(ミョウガ)、ちなみに食用でいただだくのは日本のみらしい。 とくにこの時期のものは色濃く鮮やかで綺麗。うすい萌黄色から蘇芳色というのか、その異なるグラデーションの美しさ。表面もつやつやと、これも何ともうつくしい野菜である。 茗荷をはじめ薬味というものが好きになると、自分も大人になったなぁと思うし、私の場合はちょっとした思い出も添加されている。父親が茗荷好きで、それもよっぽど好きだったのだろう食べるたびにいちいちと賛辞に触れていた。うちは庭の一角でこれを

セロリとオレンジのサラダ、金桔醬風味

先月と今月、2回台湾に行っていたせいもあり(再来月もまた行く予定)台湾の調味料を使った料理が作りたい気分。金桔醬は金柑のソースのことですが日本でも中華食材店やネットで手に入ります、台湾では鶏肉につけていただいたりするようですが、ほかにも柑橘の爽やかな風味がスペアリブなんかにも合うしドレッシングにしたりと、とっても楽しい調味料。柑橘の香りが何とも良いのですよ。(あとは照り焼きのたれに足したり、魚のマリネや煮物やカレーの隠し味なんかにも良いのではないかな、ドリンクも楽しそう。これ

ヤングコーンのコーンブレッド(食感の異なるダブルコーンの味わい)

お店で焼肉とか、カレーうどんとか食べる時にもらう紙エプロン、あれが食べた後まったく汚れていなかったとき、申し訳ないような残念な気持ちになって、すこしでも汚れていると「よし!」って感じにうれしくなるんですよね、紙を一枚、無駄にしなくてよかった安堵感か。きっと紙の存在意義を残すよう妙なプレッシャーを感じながら食べているんだよね、笑。 と脈絡のない話ですが、ところで、コーンブレッドはお好きですか。コーンの風味がやさしく香って幸せな気分になれるパン。朝ご飯にもぴったりですが、ブラン

梅雨の時期をさわやかに、赤紫蘇トマトマリネ

初夏って色々な食材が出てきて一年で最も楽しい季節、赤紫蘇が出てきたらいよいよ夏という感じ。しかし、その前の梅雨の時期を少しでも快適に過ごすのが、夏のあいだの体調に大いに関係ある気がする。  出来ることは、良い汗を上手にかけるようにゆっくりお風呂に浸かる。(良い汗とは、塩分の少ないサラサラな汗)。冷たいものを飲んだり食べたりしすぎない。あと、除湿器で除湿をしっかりしてそのかわりエアコンの温度を下げすぎない(設定は28度前後、真夏でも低くて27.5。湿気が続くと「湿邪」という体調

オレンジ・クレームブリュレ(オレンジを特別なデザートに昇華) 【コラム】グラスのお手入れの話

【コラム】春のグラスのお手入れやっと春めいてきた!と思ったら家の掃除をしたくなる。模様替えも。 最近ずっと、家中のグラスや花瓶などのガラス製品のオキシ漬けをしていた。これがなかなか綺麗になって気持ちがよい。グラスというのは何故だかしばらく使っていないとうっすら表面が白く曇ってくる。使っていても水垢もついてくる。時間がかかるのでなかなかキッチンのシンクでは出来なかったけれど、今はこういう大きな折りたたみのバケツがあるから便利。大きな花瓶、中が洗いにくいオイル瓶や、ガラスのポット

白子のオイスター炒めピリ辛風味(旬の白子をおいしく。ポイントは白子の選び方にあり。)

白子、ああ白子。寒い季節の楽しみのひとつ。 だいたい旬は12月から3月くらいなので今季ももうすぐラストスパート感がある。美味しく食べるのは、ふたつのポイントを押さえればOK。 もちろんスーパーの割引シールは私も大好きだけれど(笑)、白子に限ってはできるだけ新鮮なほうを選びましょう。新鮮さ=味わい、に等しいニアリーイコール。ぷりっと形がしっかりして、みずみずしくて濁りのないもの。白く濁りのある汁が出てしまっていると、ちょっと鮮度が落ちている証拠。 さて、今日はさっと作れる白