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SOCIAL WORKER'S 3 FACES #1 横山北斗さん

こんにちは、NPO法人Social Change Agencyです。
今回、新たな試みとして、SOCIAL WORKER'S 3FACESをはじめます!

SOCIAL WORKER'S 3FACESとは?

 ここでのソーシャルワーカーの定義を  ”資格の有無を問わず、地域社会で暮らす人々が生活していく中で直面する課題を解決するために、制度や仕組みを変えていこうと働きかける人"  と設定。

 なかなかつかみどころがないソーシャルワーカー。それは、制度と制度のはざまで、時にはプライベートを含めた制度外の環境で、いろいろな”顔”を持って、活動しているからなのではないか? 

 制度と制度、所属と所属、人と人といった、”間の人”。

 そんな”間の人”に、3つの顔すなわち3FACESを伺うといった多面的なインタビューをさせて頂くことで、共通するソーシャルワーク性が浮かび上がるのではないか?

 …そんな想いからこの試みは生まれました。

Presented by Social Change Agency研修プログラムチーム , オンラインプラットホーム「swallow

第1回目は、横山北斗さんです。
インタビューをご自身により合った方法で見て頂けたらと、Youtube動画も作成しています。宜しければこちらもご覧下さい。

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横山 北斗(Yokoyama Hokuto)
社会福祉士 / NPO法人Social Change Agency 代表理事
3 FACES:「ソーシャルワーカー」「患者」「書く人」


1. 「ソーシャルワーカー」としての顔

ーーーこれまで様々な活動をされてきた中で、ご自身がソーシャルワーカーだなと特に実感するのはどんな時でしょうか?

 もともと医療ソーシャルワーカー(MSW)として勤めていた病院を退職して、本法人を設立した一番大きなきっかけが、申請主義の問題だったんです。なので、関連するプロジェクトや事業を担っている時は、病院にいた時の自分ができていなかったことに少し手をつけられているのかな、と感じています。

ーーーなぜ申請主義に問題意識を持たれたのでしょうか?

 病院に勤めていた時、ネットカフェに居住されている方が体調不良で緊急搬送されて…ということが多くありまして。その後、退院に向けた未来の話をしていくにあたって過去の話をお伺いさせて頂くと、社会保障制度を使えていたかもしれないタイミングがいくつか考えられたんです。
 大学で社会保障制度はセーフティーネットだと学んできましたが、実際との違いに疑問を抱きました。私自身が幼少期の難病で、医療制度に助けてもらった経験もありまして、”制度を活用できた自分”と”制度はあるけれども活用できなかった目の前の方”とのギャップをどう捉えたらよいのか。そこから問題意識として焦点化されていきました。

ーーー話が少し変わるのですが、”ソーシャルワーカーっていいな”と心が踊る瞬間はどんな時でしょうか?

 その人が力強く問題解決の一歩をご自身で踏み出していけること、そこに伴走…伴走といいますか、その場に居合わせることができる時。また、そこに自分が作用したいというよりは、人間が持っている力が取り戻されたり、リカバリーのプロセスに居合わせることができる時、ですかね。ただ、最近はソーシャルワーカーという職業を主語にして考えることが減ったなと感じているんです。それはどういう変化かまだ分からないのですが、今の問いを差し向けて頂いて思った正直なところです。

ーーーでは、最近は何を主語にされていることが多いですかね?

 そうですね…もしかしたら主語自体が後景化されているのかもしれないです。

ーーー確かに、先程のお話の中で、”伴走”を”居合わせる”という言葉に変えていたり、”自分が作用したいというよりは”という枕詞だったりとか、”人間の力が取り戻される”とか。なんて言うんでしょう…自然とそうなる、という表現が多いと感じたのは、そういった変化が現れているのかもしれないですね。

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2. 「患者」としての顔

 ーーー事前に3つの顔を伺った時に印象的だったのが、この「患者」としての顔なのですが、選んだ理由を教えて頂きたいです。

 やはりこの職業に就くきっかけ、患者としての顔がなれけばおそらくなかっただろうなと思うんです。この職業に偶然出会って、偶然就いたというこの偶然性を高めたのが自分が患者であることだと思うので、3つの顔の1つとして選びました。

ーーー気になるところが、「患者」という顔を選んでいるにも関わらず、現在は当事者性に依拠した活動がそんなに多いわけではないと感じていまして。それには何か理由があるのでしょうか?

 私が就職する前、お世話になった自助グループのソーシャルワーカーの方に、患者経験を話す場をセットして頂いたんです。そこで、患者経験を整理して、言語化して、整理したボックスに入れて…。自分の当事者性を持って何かを欲する状況には至らない程、整理し切ったという経験が大きな理由になっているのだと思います。

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ーーー”整理し切った”と言い切れる程に言語化する活動を多くされたのでしょうか?

 そうですね。口に出すこともですし、”書く”ことを含めてかなりの時間や量をかけました。また、”闘病経験自体は過去のことなので変わらないとしても、過去と未来が掛け合わさって自分をおびやかす出来事が今後起こるかもしれない。でも、今は整理し切ったので、これはこれでよし。”と捉えているところです。


3. 「書く人」としての顔

ーーー「患者」としての顔でも”書く”ことに関してお話して下さったのですが、それでも3つの顔としてあげる方は珍しいなと。あくまで行為の1つである”書く”を選んだのは何故なのでしょうか?

 やはり、自分のリカバリーのプロセスにおいて”書く”ということが自分を助けてくれたんですよね。言葉を自分の生き延びる術として活用してきたというか。口にするというよりは、ノートやパソコンを使用して闘病経験への意味付けを中心に”書く”ことが圧倒的に多かったので「書く人」を選びました。

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ーーーちなみに、最近はどんなことを書いているのでしょうか?

 最近だと、過去に内省を目的にして書いてきたものから得たことを土台に、それを使って何かをする、社会的に果たすべき役割のために使っていることが多いですね。

ーーーでは、これから書きたいものは何でしょうか?

 昔のように自分を助けるための”書く”は良い意味で枯渇しているような気がして。やはり冒頭でもお話した、申請主義に関してですかね。制度はあるけれどもそれが届かない構造を体系立てて、それを世の人に知ってもらうことで、社会実装していく人を増やすきっかけの一助になればと思います。

ーーー横山さん、ありがとうございました!


編集後記

初めてお会いした時から、”言葉”をとても大切に扱われているところが印象的な横山さん。
横山さんの”言葉”を支える物語を垣間見させて頂いたような、そんなひと時でした。

偶然性が高まって、この職業に就いたこと
居合わせることができた時に心が踊ること
主語が後景化してきていること

これらのエピソードやその表現の仕方から、”間の人”を感じました。

今回からはじめた、SOCIAL WORKER'S 3FACES、いかがでしたでしょうか?

私自身、とてもワクワクする試みだなぁと思いました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!

Written by 永田久実 / Social Change Agency研修プログラムチーム事務局


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オンラインでの開催で、「一般」と「実践者ゼミ」の2種類のコースがあります。それぞれの締め切りは下記の通りです。
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「実践者ゼミ」:エントリーシートの提出 2022年9月30日(金)23:59まで

皆さまのご参加をお待ちしております!

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