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性教育をアップデート!④~日本の性教育は遅れてる?~

『もやもやラボ キミのお悩み攻略BOOK!』
著者:シオリーヌ(大貫詩織) 発売日:2021/6/23
発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館


思春期を迎えた小学校高学年の子どもにむけた性教育本ができました!身体や心の成長に関する悩みから、友だち関係、恋愛、SNSの使い方まで、子どもたちの悩みや不安に答えます。
この本を作るにあたり、大人も「性教育」についてアップデートしていかなきゃいけない、と強く感じました。
そこで、編集担当が最近の性教育事情や意外と知らない性の話などをお届けしたいと思います!

これまでの記事はコチラ
第1回 生理用品の種類
第2回 ジェンダー
第3回 性的同意

日本の性教育って遅れているの?

いつ、どこまで教えるべきか・・・性教育を考えるときには、必ず議論される問題です。

日本では「寝た子を起こすな」という考えの人が少なくないのが現状。教育現場では必要以上に教えなくてよいという声もあります。

2021年度から実施されている中学校の学習指導要領(保健体育)では、生殖の機能や妊娠、性感染症は扱われるが、「妊娠の経緯(妊娠に至る経緯)は取り扱わないものとする」としています。
つまり性行為や避妊については、学ばなくてよいことになっているんです。

指導要領はあくまでも基準なので、もっと具体的な内容が必要だと判断して、独自の講座やカリキュラムを組む学校も、もちろんあります。

でも性教育は、計算や字の読み書きと同じように、生きてくうえで必要なスキルを学ぶものだと思います。
「まだ早い」と言われていたのに、いつの間にか大人扱いされて何か問題が起きたら「自己責任」なんて言われてしまうことも・・・

性のことは自然に身に付く知識ではありません。大人が幼少期から少しずつ伝えていかないといけないんです。

世界の性教育事情

性教育に関する国際的な指標があることを知っていますか?

2009年にユネスコ(国連教育科学文化機関)が、ユニセフやWHOなどと共同で「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を発表し、2018年には改訂版が発行されています。

このガイダンスは、5~18歳を4段階に分けて、各段階での学習目標や内容が示されています。
たとえば「生殖」に関する項目では、

5~8歳:卵子と精子が結合して妊娠することを知る
9~12歳:妊娠のリスクを知る、避妊方法を確認する
12~15歳:避妊具の使い方を学ぶ、出産のリスクを知る
15~18歳:意図しない妊娠の対応を知る

という内容が書かれています。
ほかにも「人間関係」「価値観」「人権」「文化」「セクシャリティ」「性的行動」「ジェンダー」「暴力と安全」「健康と幸福」「からだの発達」の項目があり、いわゆる性行為だけではない包括的な性教育を目標としています。

これをみて、「この年齢では早いのでは?」と感じる人もいるかもしれません。でも、これらの教育を行っても性交年齢が早まることはなく、むしろ慎重に行動する子どもが増えたという研究結果が出ています。

このガイダンスを元に、ヨーロッパ各国や中国・韓国・台湾でも性教育がすすめらているんです。
欧米が進んでいるのではなく、アジアでも採用する国が増えているので、やはり日本が慎重な姿勢をとっているといえるのではないでしょうか。

家庭での性教育はどうする?

最近は、性の話を積極的に発信する人が増えたり、小さなころからおうちで性教育をしようという本もたくさん出ています。

でも、性の話をオープンにするのは恥ずかしいという気持ちも、とてもよくわかります。とくに、思春期を迎えた子どもと真正面から話し合うのは、ハードルが高いですよね。

そんな方のために『もやもやラボ』を作りました。
「性教育」とうたっていないので、子どもに「読んでみたら?」と気軽に渡せます。

著者は、助産師や思春期保健相談士の資格をもち、精神科思春期病棟での勤務経験があるシオリーヌさん。

病棟勤務中に感じた子どもたちの不安やYouTubeに寄せられる相談をもとに、思春期に抱える悩みを55個選びました。
Q&A方式で友だちや親との関係、身体の成長に関する疑問、人には聞きづらい悩みなどを扱い、またジェンダーや生理のしくみなど「これは大事!」というポイントはコラムでしっかりと解説します。

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「もやもやラボ」目次

子ども自身が自分で読めるのはもちろん、子どもに相談されたときの参考にもなります。思春期の性教育は難しいと感じている方に、手に取っていただきたい一冊です。

担当:市村

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