見出し画像

社長のひとりごと(43)

引き続きデジタル・トランスフォーメーション(DX)により世の中をどのように変えていくか、どのように変わっていくかという話です。

DXとは、「ITの浸透が、人々の生活や事業経営などあらゆる面で、より良い方向に変化させる」という仮説です。

先日のコラムでは、「DXの思想」について、台湾デジタル担当大臣であるオードリー・タンさんの話をまとめさせていただきました。

今回は、「DXの具体的な取り組み」とその未来予想図について、ソフトバンク主催のイベントにおける孫正義さんの基調講演の内容を、

私の理解した範囲でまとめてみました。


かつてソフトバンクが日本におけるiphoneの販売を決めた際には、周囲の多くの人たちに反対され批判を受けたとのことでした。

日本のガラケーは優れており、iphoneにはワンセグ(テレビ閲覧)機能もお財布携帯(電子決済)機能もついていないじゃないか、と。

ところが、このスティーブ・ジョブズの発明したiphoneというスマホの普及によって、

あらゆる場面においてこれまでの生活が一瞬で変わりました。


ここで、現在孫さんが注目している、次の変革を生み出し、

労働人口の減っている日本において「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていたかつての時代のように競争力を復活させるカギが「スマボ」にあるというお話。

「スマボ」とは孫さんの造語で、「スマート・ロボット」のこと。

これまでのロボットを「ガラボ(ガラパゴス・ロボット)」とすると、スマボとの違いは以下のとおり。


・ ガラボ - 人によるプログラム、決まった動作しかできない、よって一部の産業において導入


・ スマボ - 自ら学ぶAI学習、臨機応変な対応、よって全産業での導入が可能となる

        1日8時間しか働けない人間に対して、ロボットは24時間。その差は3倍。


また、長時間働いても効率は一切落ちることなく、更には自ら学んでより効率の良い方法を取り入れていくことからも、生産性は3.5倍に。

労働時間と生産性を掛け合わせると、これまでの約10倍の競争力を生み出すこととなり、


日本においてスマボ1億台を導入できれば、結果10億人分の労働力を生み出すことにつながります。

また、スマボは何も人間に姿かたちを似せる必要はありませんから、それぞれの業務に最適化させたロボットにすることが可能です。

個別用途に特化させることができれば、大量生産も可能となり、結果ロボット1台あたりの導入コストも削減できます。


どんな場面や業態での導入が想定できるか、既に導入済みの事例を沢山挙げられていました。


・ 製造 - 製造ラインに生じたズレでさえ、自ら修正可能なことから不良品も削減。

       衝突を感知し学ぶことで、機械に巻き込まれる現場事故の防止も図れる。ロボットとの共存。


・ 荷物の搬送 - ランダムな並びのものも、学んでピッキング(持ち運び)が可能


・ 在庫管理、物流 - 倉庫も人間用の通路は不要となり、ジャングルジムのような3D構造で 

            建物を満たすことでスペースをフルに活用でき、荷物の出し入れは自動化できる


・ 医療 - 手術用のロボットアーム、開腹手術の穴も大きくとる必要なく、また熟練医師の技術を学ばせることで、

       誰もが同じような施術が可能となる


・ 移動 - 自動運転


・ 農業、配送 - ドローン導入による農薬散布や荷物の配送


・ 飲食 - ケータリング、フロア業務


・ 清掃 - オフィス、学校、街、ショッピングセンター


ざっと挙げただけでも、これだけ多面的に現在の人間の労働力にロボットが取って代わるとなると、

果たして人間はこれから何をすればいいのでしょうか。


興味がある方は、是非ネット上で検索してみて、直接講演を聴いてみてはいかがでしょうか。