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“自分を知り、相手を知り、自分の良いところを相手にどう伝えて、相手がどう受け取るか”という教え

新緑が綺麗な5月。

家の前の紫陽花の黄緑色の蕾が、ぐんぐん大きくなっています。これが毎年楽しみで楽しみで。小さな蕾が大きくなっていく健気な様子を眺めていると、今日も一日がんばろうって思うわけです。

そんなフレッシュなこの季節に相応しく、新卒の採用活動が盛り上がっています。

株式会社おいかぜでも、まさに選考真っ只中。先週は書類選考をしていました。100人近くの人たちがエントリーシートを送ってくださって感無量。おいかぜ働きたいって思ってくださる方がこんなにたくさんいるなんて嬉しい限りです。

本当にありがとうございます。

そんなエントリーシートやポートフォリオを拝見していると、画面から伝わる熱量とパワーに圧倒されます。これがもしデジタルの書類ではなくて、手書きの書類だったら、もっと体力を使っただろうなと想像しながら、無事に選考を終えることができました。これからリモートでの面接ラッシュが始まりそうです。がんばらねば。です!

就職活動が盛り上がりを見せるこの時期、ボクは自分が大学生時代の就職活動の時にキャリアセンターのある方から言われた言葉たちを思い出します。

ある方とは五島さんという、当時おそらく30代か40代の男性職員さん。ボクの学んでいた大学は福井県にある公立大学だったので、彼は県の職員さん、もしかすると公務員の方だったのかもしれません。大学卒業以来全く交流が無いので、いまどこでどうされているかもわかりませんが、ボクの人生を変えた人です。

五島さんとの出会い。ある日、大学の掲示板の「限定〇組で就職活動のサポートを受けられる連続講座を実施します」と書かれた貼り紙を友達の誰かが見つけたことが始まりでした。当時所属していた硬式テニス部の友達たちに誘われ、5人?6人?1組の中の1人として、ボクも参加することにしました。その連続講座の担当をしてくれたのが、五島さんだったわけです。

就職活動、ましてや働くことなんて想像もできていなかったあの頃、この講座で本当にいろりいろなことを教わりました。「自己分析」「企業分析」「グループディスカッションや面接の練習」などなど。細かいことは忘れてしまったのですが、この連続講座で受け取った、ボクの頭の中でリフレインし続けている2つの言葉たちがあります。

1、「きみたちは就職活動を何か特別なことだと勘違いしていないだろうか?」

ある日、何かのタイミングで五島さんが就職活動に悩むボクたちに向けて、こんな話を始めました。

「きみたちは就職活動を何か特別なことだと勘違いしていないだろうか?いまこうやって特別にセミナーを受けているけれど、実は就活というのは今まで自分たちがやってきたことと変わらないよ。」

周辺の記憶は全くと言って無いけれど、こう切り出しました。

「就活を恋愛や友情に置き換えて考えてみなよ。じゃあ恋愛だとしてみよう。恋愛は、まず自分を知る、そして好きになった人を知ること。自分が知っている自分の良いところを、好きな人にどうやって伝えるか、そしてそれを好きな人がどう受け取るかという話なんだ。」

ほうほう。突然このおじさんは何を言い出したんだろうとボクは驚きました

「恋愛の場合、自分で自分の良いところだと思っているところを、好きになった人が受け取って、相手が好きになってくれなければうまくいかないよね。それを就職活動に置き換えればいいんだよ。」

ポカンとしているボクたちに五島さんは話し続けました。

「就職活動とは、自己分析をして企業分析をして、自分のアピールポイントを企業にとってのメリットと感じてもらう、その企業でどういう活躍ができるか、人材として将来性があるか、ということを伝えないとうまくいかない。そう考えたら、何のために自己分析をして、企業分析をして、エントリーシートの書き方や面接のやり方を練習するかわかるよね。なんで選考を受ける会社の社長の名前を覚えなきゃいけないか。恋愛に置き換えてみたら、そんなの当たり前だって思わない?」

目から鱗です。なるほど。そういうことか。このセミナーで五島さんに出会って、就職活動で自分がやるべきこと、そしてこれからやろうとしていることの意味が理解できたのです。ボクの就職活動はこの日を境にして一変しました。もちろん就職活動はうまくいったし、そしてこの一連の言葉たちはボクのその後の人生で、ボクの頭の中に何度も登場することになります。

五島さんは就活を恋愛に置き換えてわかりやすく話してくれたけれど、この話は実は営業にも経営にも、そしてあらゆる対人関係において有効な法則でした。特に起業してから、経営者として営業として16年以上、いまでもお客さんとの交渉や話し合いなどのコミュニケーションの場面で大事にしていることの1つです。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」よろしく「自分を知り、相手を知り、自分の良いところを相手にどうやって届けて、相手がどう受け取るか」を考えればうまくいくし、うまくいかなかったとしても、どのポイントでうまくいかなったかがわかる、ボクがあらゆる対人関係の場面で大切にしている原理原則です。

2、「このメンバーでコンパに行ったと思ってやってみたらどうだろう」

またある日、ボクたちはグループディスカッションの模擬練習をしていました。

どういうディスカッションのテーマだったかは忘れてしまったけれど、口々に自分の意見を言い合ったボクらの様子を見ていた五島さんが話し始めました。

「ずっとディスカッションを聞いていたけれど、このメンバーでコンパに行ったと思ってやってみたらどうだろう。」

そのときのボクたちもポカンとしていたと思います。

「もしコンパで全員が自分の話をするメンバーばかりだったら、女の子たちは楽しいかな。コンパの場合、何をしてうまくいったとするかは難しいけれど、料理やドリンクに気遣う人がモテるかもしれないし、盛り上げ役や聞き役の人がモテるかもしれない。」

ほうほう。たしかに。

「グループディスカッションも同じ。自分の意見を言うことが正しいと思っているかもしれないけれど面接官って”集団の中での役割“と“役割としての行動“を見ているんだよね。例えばディスカッション中にほとんど話してなくても鋭い一言を言う人が評価されたり、他にもタイムキープしている人とか、ディスカッション自体の進行をしている人なんかも評価される。要はその人が役割に適した言動を取っているかが大事なわけだ。」

なるほど。これも目から鱗でした。ボクは小さい頃から集団の中での自分の立ち位置を意識しながら生きてきたタイプなのですが、それでも就職活動、そしてグループディスカッションという言葉の定義の呪縛に囚われていました。何かリーダーシップを発揮したり自分の意見を言ったり目立たなければいけないと。

つまりどんな場面でも役割とその役割に対する行動が評価されるということです。自分の得意なところを役割に転化して、相応しい行動ができている人は評価される。その人”らしい”見え方、そして妥当な評価がもらえるということだと受け取りました。対個人なのか対集団なのかの違いはあれど、先ほどの「自分を知り、相手を知り、自分の良いところを相手にどうやって届けて、相手がどう受け取るか」という話と通づるところです。つまり「自分を知り、その集団の中での役割を知り、集団の中でどう機能して、その集団をドライブさせるか」ということを考えろということです。

仕事をする上で、社会生活を営む上で、この言葉の有効性は計り知れません。ボクのおいかぜでのチームビルディングや組織運営で大切にしている原理原則です。

3、ボクが「だれかのおいかぜになる」ために伝える言葉たち

あの頃の、大学生のボクからは想像もできなかったけれど、ボクはいま誰かに何かを伝える場面が多くあります。会社のみんなや、おいかぜに入りたいって言ってくれる人たちに言葉を届けることがあります。

いつも、まるで自分で思い付いたみたいな顔をして話しているけれど、五島さんが伝えてくれた、ボクの頭に残り続ける言葉たちを、次の誰かに伝えています。

ボクを支えてきた言葉たちが、みんながみんなに役に立つわけではないけれど、その言葉たちが誰かの頭の片隅に残って、シナプスが繋がるみたいに何かのタイミングでその人にとっての気付きに繋がったとき、また次の誰かに伝える言葉になっていけばいいなって思うのです。

もし五島さんといつかどこかで再会する日が来たら、きちんとお礼が言いたいなと、そんな気持ちです。素敵な言葉たちを授けてくださって、本当にありがとうございます、と。

そしていま、ボクが五島さんから受け取った言葉たちが、いつかの「だれかのおいかぜ」になるように、ここに書き留めています。

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