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出産の医療保険化について⑤

SBSK自然分娩推進協会では、代表の荒堀憲二(産婦人科医師)よりメルマガを配信しています。今回は、メルマガ94号(2023.06.15)の配信内容です。

産婦人科医会と助産師会の関係について

前号でインドネシアの医療保険化の状況をお知らせしました。

そのことを参考に、今回は日本の話に戻ります。

日本では(も)、クリニックも含めて病院分娩が増えたことにより、安全重視のお産とはいえ満足度の低いお産が増えました。

その理由は、SBSKで販売している動画「自然なお産の再発見」を観ていただければ分かりますが、病院分娩では産婦が自らの内因性オキシトシンを分泌させることが難しくなって満足度が低くなり、またオキシトシン分泌量が少ないため自立的なお産が難しくなり、結果医療介入が増えざるを得ない、という構造になっているからです。

医療施設での分娩が増えるとともに、母乳育児率の低下虐待産後うつが増加することは過去の統計から明らかです。また途上国でも出産の医療化が始まると、母乳育児率は低下し虐待件数は増加します(うつはしっかりした統計を見ていないので今のところは不明ですが)ので、両者には直接的または間接的に相関のあることは確かです。

だから助産所や家庭での分娩のような、内因性オキシトシン分泌の多い、満足度の高いお産を日本産婦人科医会と日本助産師会が協力して求めよう、というのであれば、素晴らしい方針転換だと私は思います。

そのための具体的な協力体制はまだ明らかにされていませんが、私としては以下のような項目を制度化していく必要があると思います。

  • 自力で行える自然なお産が、母親である女性の幸福に寄与することを医療・保険関係者だけでなく社会に浸透させる。

  • 自然分娩は万能ではなく、帝王切開や誘発等の医療介入が必要であることも同時にバランスよく社会に伝える。

  • 産婦人科医(会)と助産師(会)は上下関係ではなく対等のパートナーであることを確認する。
    ただし異常分娩時の医療対応の指揮命令系統は病院のそれに準ずる。

  • 産婦人科医(会)は助産所の嘱託医を積極的に引き受け、互いに良好なコミュニケーションを図る。

  • 病院でもクリニックでも、正常な分娩は助産師の継続管理に任せる。
    (医師は見守るか呼ばれるまで関与しない)

  • 産前・産後・分娩時の助産師の介助・ケアに対して、それが継続的であれば保険点数を加算する。

  • 地域での1次分娩施設を存続させるために、分娩をやめたクリニックを助産師主体の分娩施設として再開する方法や、クリニック併設の助産所として開放する方法などを積極的に推進する。

  • 厚労省、医会、助産師会は地域の2次・3次病院に対して嘱託医療機関を引き受けるよう指導・要請する。
    (現実には緊急時の受け入れさえあれば問題ないのだが、嘱託医療機関を必須とする現行法制度のため)

  • 前条が達成困難な場合は、現行の嘱託医療機関の制度を廃止する。

  • 助産所の医療事故保険(損害賠償保険)に関して、助産所が入り易すくなる制度を設計する。

  • プライベート出産の増加に鑑み、国・地方自治体は、助産所が緊急避難的に分娩の介助ができるよう制度を整える。

次回は分娩の保険点数に関する情報をお知らせします。
↓次号に続く↓


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