真摯なBボーイ
東京へ弾丸出張に行った際に東京砂漠なはずなのに
素敵な紳士に出会った話をしよう。
地方都市から東京へ出ると「人多いなー」の一言がまず出るんだけど、相変わらずの人混みで混み合う山手線。品川から目黒へちょろっと出るだけなんだけど、もうパンパンなのだ。
なぜか凄いラッキーで僕の前の席があいた。隣にはゴリゴリのBボーイ。
指にはごつい指輪とタトゥーがチラ見えしている。イカツイなーと思いながら隣に座る。品川を出た電車は五反田で人をたくさん吐き出し、また人を吸い込む。
ブブっと携帯がなって仕事の急ぎメール。
サクッと対応してしまおうと黙々と打ち返していると隣のBボーイが「席どうぞ!」とスッと立ち上がる。僕もつられて目線を上げると赤ちゃんを抱っこしながら、3、4歳の男の子手を引いたお母さん。
こっちもどうぞ!と僕も立ち上がり、もう目黒もすぐだしねと思いながら空き地を探して外を眺める。すると隣から「なんかすいませんでした」と声をかけられる。そう、さっきのBボーイ。
最初、意味がわからず(なんでだろう?)とキョトンとしている、自分のせいで、あなたも席を譲ることになってすいませんということだと理解した。
いやいやいや、お前かっこよすぎだろう。
もう僕は全然!と謝るようなことじゃないっすよ!と即レス。
ちょうど目黒に電車はつき、一言二言しか話さなかったBボーイと会釈。
Bボーイは帽子をスッと上げる感じで挨拶。頭もゴリゴリタトゥーが入ってて、イカツイなー!と思いながらも、思いがけない東京の優しさに少し心が暖かくなる。
とても真摯なBボーイよ、ありがとう。
君はかっこいい。
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。