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旅する松倉泥酔紀行

どんどんと重たくなるバックパックをズシンと下ろし、ひとり長野から金沢を目指している。新幹線は割りと満杯で今日が週末だと思い出す。仕事の気配の人あまりいない。
一昨日に京都からスタートしたリサーチツアーは昨夜18時に終了し、メンバーは翌日つまり今日に様々な予定があり強行で日帰りをした。一人だけ残る決断をし、今に至る。

長野の前は福井だった。今回の視察は福井の鯖江、そして長野。
なんの調査かは業務上いえないが、鯖江のTSUGI新山くん、長野のHuuuuの柿次郎くんのホーム。同時代、異なる地でファイティングポーズを決め込む二人の待ちを巡り、日中は仕事のリサーチ、夜は会社的な話でインプット過多な有意義な時間を過ごした。

新山くんは恐らく鯖江で一番汚いけど恐ろしくうまいホルモン焼きの店に連れていってくれた。柿さんは長野にできたばかりのおしゃれで美味しいお店からのスナック夜風の流れで謎のクラフトポーションを授けてくれた。二人とも忙しいのにありがとう。

むくりと長野駅前ドーミーインにて目を覚まし、このパジャマ売ってないかなとボーッとする。ドーミーインの寝巻きが好き。わかるひといるはずだ。
ささっと身支度をして、今回はなにもものをなくさなかった自分を誉める。
前回、新宿で全てを無くして以降、運ぶアイテムの全部にGPSがつけられている。徘徊老人に近い存在になってきている。

オススメされたラーメン屋があくまで待ちを散策する。古びれてはいるが生命力を感じる町並み。新旧入り交じる辺り、待ち全体が呼吸しているんだなと感じる。とある町ではコロナ以降、呼吸が止まってしまった風景を目の当たりにした。呼吸をしないと新陳代謝が起きない。結果、細胞は死んでいき朽ちてしまう。僕らが日々死んだ細胞を落としながらも次の細胞を生んでいるように町もひとつの大きな人体のようなものだと思う。

そんなこんなで長野からどう買えるか考える。
来たをぐるっとめぐるか、東京まで出て京都に戻るか、名古屋に出て京都に戻るか。
駅員さんに相談したら時間的に大差はないので上回りが良いかもですねってアドバイス。
どうして?って聞くと「天気が良いから」めちゃくちゃ良いアンサーだなと思って金沢経由で買えるかと切符を買う。

次の電車が来るまで改札にて待つ。移動してる時間が唯一の休憩時間かもしれない。
ぼうっと考え事しながら、本を読んだり、気ままに移動したり。
じっとしていることが苦手な僕にはとても大切な時間だ。
となりに座ったお婆ちゃんがミカンの皮を向いてモグモグしている。かわいらしいのうと眺めていると蜜柑をくれた。どこまでいくの?と聞かれて切符を見せながら金沢経由で京都ですというと「それ、富山行きよ」と教えてくれた。
ほんまや。まぁそれでもいいでしょう。なんとかなるさ。

ペラペラと本をめくり、時折そとを眺める。
知らない町や知らない風景で過ごすことが自分にとっての最高の幸せだなと再確認する。自分の住む町を盛り上げていく友人たちの姿を眺めて、果たして自分はどこにいくのだろうと考えていた。もしかしたら、ずっと移動しているのかもしれない。

それはそれで豊かなことかもしれない。
おもむろにとってた写真を貼っておく。



いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。