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君は君の死に方しかできない。

10代の頃は薄らとある興味の羅針盤みたいなものを頼りに不安の方が大きくて自身の巣みたいなところをうろついては戻りを繰り返し、そこで出会う人や本や言葉を継ぎ接ぎの地図を足してくように生きていた。

20代の頃には、うろついていた中である程度広がった地図を広げて、羅針盤の示す方向にお守り程度の自信を持って突き進んでいった。周りには同じような、でも微量な角度で目的地が違う仲間を横目に歩んできた。

30代の頃には、あの時いた仲間も遠い別の場所にいて、背負うものも大きく重くなり、なかなか到達しない目的地に焦り不安になった。足を止めることはないが、その一歩一歩を踏み出す力が必要になった。

40代の頭にいまいる。ふと、過去を振り返ると真っ白な雪の上の足跡が見える感覚があった。10代のウロウロした足跡は遠くには行けない分、自分という土台となるように踏み固められていた。20代のころには放射状に、だけどある程度の方角は合っているかを確認し、その道を踏み抜いてしまっていないかを確認しながら確かな道を見つけ出していた。30代の頃にはもう1本道で責任という重荷を背負った分、その歩みは力強いものになっていた。

そうか、これは平面ではなく螺旋で上空に広がる道だったのかと思う。収束されていくスパイラルのように何か正解の目的地なんてものはなく、それを正解とする強い槍なのだ。私は私の生きるを貫く1本の槍なのだ、と感じた。

先日、知人の会社の周年パーティーに参加した。会の最後にお坊さんが海辺の焚き火に登場し、お経を唱え終了となった。なんだこれと思いながらも、その会社のボスであり戦友である男は、静かに目を閉じて南無阿弥陀仏と唱えていた。あぁ、ものすごく成長するなこの会社と思った。過去を振り返ったんだろう。成仏させてやりてぇなという思い、とてもわかると思った。スッとその場を離れて、その背中をタバコを吸って眺めてた。

過去の栄光も失敗も何もかもを感謝も込めてお焚き上げしているのだろう。成仏されないことも色々あるだろう。それらを上空に飛ばして、次の10年を進んでいくんだろう。頑張ったもんなぁ、簡単じゃないもんなぁ。生きることも大変なのに、あんだけ社員もいて、記憶飛ばすまで酒を交わせる今日に来れたこと。めっちゃすごいことだと思う。みんな笑顔だった。

勝手ながら、他社のお焚き上げで、自分の過去を振り返り、パチパチと上空に舞い上がる火の粉を見ながら、今日の日記のようなことを思った。いろんな世代の人が、僕にざっくり人生のことを相談してくる。今の若い子に僕の若い時代の話なんてしても意味ないってことを感じながら。

本当、ありがたいことだけれど、僕のようになりたいという相談だらけだ。でも、それは目的地ではないし、僕は君になれないし、君も僕になれない。心の羅針盤の磁力を強くするヒントはあると思うけど、僕を目的地にしないことを約束させる。でも、その気持ちわかる。その時、僕もそうだった。そして、これは僕の言葉じゃない。君と同じように相談した時に言われた言葉だ。

君は君の生き方しかできないし、
君は君の死に方しかできない。
その宝物みたいな時間を親とか祖父母の顔を思い出して帰り道帰ってみてくれ。それぞれがそれぞれしか生きれない時間の中で学んだこと出会ったことのバトンが君に渡っている。この世界に生きているすべての人が同じではないバラバラの何かを持って生きている。

君も僕もそれを預かって、さらには自分でも足して、場合によっては不要だと思うものは捨てて、より良いものを抱きしめて生きている。その視点で見るとみんな宝物を抱えて次の時代へ自分の命の器を抱えて運ぶ運び屋みたいなものだ。良いもの運んでいこう。

夜の琵琶湖の焚き火を眺めて、美味い酒を飲み、人生を思った。
みんなの命に悲しみをかき消すほどの、喜びが溢れることを祈って。
人生に、乾杯。

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