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君がやっている仕事に意味はあるのか?

机の上にどかんと日本酒がある。
酒飲みなので、お前デスクでも飲むのかと言われがちだが仕事である。
仕事なので飲んでみないとなんともいえない。故に飲む。結果、酔う。
これ以外にも100、200年前のアンティークの鍵も置かれている。
これも仕事だ。

いろんなものに携わってきた。
歳を重ねるにつれて「僕はどんな体験を生み出したいのか」これに執着しているのだと気づいてきた。いや、すごい今更だけど。
そういう今更気づいてきたってこと誰にだってあるよね。

一人になった事務所でタスクの整理をしながら、そんなことを思ったのだ。
体験が作りたいんだから、アウトプットはバラバラに決まってるわ。
なので僕の会社はとても説明が難しい。そういう仕事だって世界にはあるのだ。体験を作るとは行動を作る。うまくいけば感情が動く。感情が動くと最高の場合、人生が動く。そう信じている。

君がやっている仕事に意味はあるのか?
実はこれ一人でぶらっとバーで酒を飲んでいるときに出会った老人に言われた言葉である。昔はなかった仕事だ。僕らの仕事内容を理解するにはシルクロードほどの距離がある。でも、僕はこの質問にイラっとしなかった。
老人も悪意があって行っているのではなく本当にわからないこそのピュアな質問だった。

例えばテトリス。僕が人生で最も時間を使っているゲームと言える。
このテトリスに出会ったのは小学校低学年。ゲームボーイ。まだホールドルールなんてなかったときだ。そこから僕は30年近くずっとテトリスをしている。テトリスは僕の人生を大きく変えた。変えたと言い切るのが難しいくらい暮らしの中に当たり前にあった。食事を食べる前にいただきますをいうことに疑問をいだかないくらいの当たり前さだ。

しかし、老人にとってテトリスは拠り所ではない。
もしかしたら本かもしれない。酒かもしれない。人それぞれだ。その先に本を書いた人や酒を作った人、ゲームを作った人がいる。
意味のない仕事なんてない!と言い切れそうだけど、それは万人が受け入れて行ったから言えることでもある。

老人の質問に「今はまだわかんないなぁ」と正直に答えた。
意味があったと言わしめていくことが僕らの仕事なので、今はわかんないです。そう答えると老人はニタっと笑って「良い答えだねぇ」と酒をおごってくれた。

僕らのようなあらゆる仕事がそうだと思う。
意味があるかと言われたら今はないだろう。
意味があったと言わしめていくことが大切なのだ。

では老人は何の仕事でどんな意味が?と質問すると
「秘密」とニコニコ笑っていた。ずるいなぁ大人は。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。