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いつもと違う街、いつもと同じ街

京都でどうやってこの高層ビルを作ったのか不思議な場所で飯を食う。あまりにお利口さんな空気でいつもワイワイガヤガヤ下ネタの殴り合いな面々も翼をもがれたように静か。

静香は静かなりの笑いがあって、結果たくさん笑った。眼下に広がるのは、いつも歩く街。この高さで見ると全く違う街に見える。あの通りなんすかね?と言いながら、おじさんたち8人で夜景を眺める。

この愉快なおじさんずの秘密の会合は毎度面白く、年齢もそれなりに離れてはいるものの高校の同級生や大学時代の誰かの部屋で麻雀やら目的もなくコタツを囲んでいた男たちの空気がある。

男たちの空気、と自分で言って腑に落ちてるんだが、なにかそういう居心地のいい空気があるのだ。2年ほど飲み続けた結果なのかもしれない。仕事以外でもふらっと飲みに誘いたいやつなのに以外と連絡先を知らない。

2軒目で、ちょっと飲んだことないシリーズでカクテルを頼んでみた。再度伝えるがテーブルを囲むのはみんなおじさんだ。キャッキャと盛り上がる様は他の客にどう見えていたのか。仲良いな、あのおじさんたち。となっていそうだ。

その中で僕が頼んだカクテルが何度飲んでも正露丸の味しかしない。それがツボってしまって何度も正露丸と連呼してしまう。一杯2500円のカクテル。結果が正露丸しか言えない状況がツボッテしまった。だって20歳くらいでいく飲み屋で飲み食い放題できる料金が、この一杯の正露丸にあるのだ。

アイリッシュウィスキーはスモーキーで匂いが正露丸に似ている。匂いは一緒だが効果はない。なんか損した気がするな!と2500円のカクテルをディスる。あー面白かった。

いつもは数軒ハシゴするのだが翌日相当早い時間から仕事だったので早めに帰宅。慌ただしい中の至福の一時。

いつも歩く街は違う視点で見ると、より理解できる気がした。この愉快なおじさんずも仕事のプロの顔と学生のように馬鹿騒ぎする顔と違う視点で見ているからこそ、好きなんだなと思いながら家路を辿る。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。