盲目な世界

なんだか悲しいものを見た。仕事で京都から大阪へ向かう電車。
時間帯がちょうど朝のラッシュからズレたあたり。
座れないけど、ぎゅーぎゅーでもない、そんな時間。

ギリギリ滑り込んだ僕はもちろん座れず、天気もいいし外の風景でも眺めていようとぼーっとしていた。次の駅で鈴の音が聞こえて、視覚障害者の女性が白杖をついて入ってきた。白杖についた鈴の音が綺麗な音だなと目を向ける。

ちょうど僕は入り口にいたので隙間大丈夫かなと思い声をかける。ありがとうございます。と、そのまま優先席まで連れて行く。

優先席は満席で、老人や怪我人、妊婦さんはわかるが、若い人もサラリーマンも寝たふりをしている。プランナー/リサーチしてる僕からすると数秒前まで携帯をいじってたのを見ている。これ誰だってギョッとする風景だと思うけど、座ってる人が全員寝たふりして見ようともしない。席を譲る気がないのだ。

とても嫌なものをみた。仕事で疲れてるのかもしれないし、うっかり寝ていました!でもない。鈴の音が聞こえていたはずだ。さっきまで携帯触ってただろう。この人たちは自分のことしか考えてない。行き場のない怒りを感じる。

すいませんー。と声をかけるも寝たふりをしている。
ごめん、ちょっと席いっぱいやったわ。といって手すりを掴んでもらう。
ご丁寧にありがとうございます、と、いやいやそちらが丁寧の鏡だなと思うほど人ができた対応をする。その会話を聞いていても、座ってる人は動こうとしなかった。

僕も大阪まで時間があったので色々と会話する。
強度な視覚障害なこと、美味しいと噂のレストランにいけないこと(点字メニューがない)、僕が点字新聞を初めて見て感動したこと、なんか盛り上がって色々話した。

その方は高槻で降りるので20分くらい。ワイワイ話した。気をつけてねと降り場で別れて一人になる。一度たりとも席を譲らなかった人たちが寝ているのか合計8席が全員が俯いて目を閉じている。

ろくでもない世界だなと心底思った。
視覚障害のある彼女が盲目なのではない。
この世界が盲目なのだ。

なんか今日はプンプンした日記になってしまった。
でも、うちの子供でも知ってる。困ってる人に席を譲ること。困ってる人を助けること。そんな些細で当たり前な人を人たらしめることすらできないのであれば、親が泣くぞ。常に優しくあってほしい。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。