ベルマーレのフォワードに必要なものって何だろうって、少し前の時代から考えてみる。(チョウさん時代2018年編)

気が滅入りそうだけど、この連載記事もあと2回!

頑張って続けましょ!

・2018シーズン(J1)
基本布陣:1-3-4-2-1(3トップ)

前のシーズンでチョウさん体制2度目のJ2リーグ優勝を成し遂げて、2014-2015シーズンの時と同様にすぐさまJ1リーグへの舞台に帰還することに成功したベルマーレ。


前年のチーム得点王のジネイ、年間を通してフルに活躍してくれた山田直輝という、攻撃の2枚看板はチームから去ってしまったが、ジネイの次に得点を量産した菊地俊介を始め、野田隆之介、端戸仁の実力者コンビは残留。
膝の大怪我を負った高山薫も、昨年の終盤には試合に出れる状態にまで回復していた。

さらに、前年に特別指定選手としてチームに合流していて、既にJリーグデビューを飾っていた鹿屋体育大学の松田天馬、天皇杯の試合でベルマーレと対戦したのがキッカケで入団内定を勝ち取った国士舘大学の山口和樹、ホームタウン小田原市出身でベルマーレアカデミー育ちという経歴を持つ桐蔭横浜大学の鈴木国友、この3人の大卒アタッカーがベルマーレに入団。

また、浦和レッズで10年間プレーしていた梅崎司が山田直輝と入れ替わる形でベルマーレに加入。
インテル・ミラノ(イタリア・セリエA)でのプレー経験を持つ元セルビア代表ドリブラー、アレン・ステバノヴィッチを助っ人アタッカーとして補強。

キャンプ直前には新しい"9番"として、韓国代表歴を持つ大型フォワードのイ・ジョンヒョプが緊急加入。
フォワードの人数も実力もバランスが取れており、近年のベルマーレ史上最高ともいうべき陣容でリーグ開幕を迎えることとなった。


公式戦が開幕してからは、ワントップの位置にジョンヒョプと野田が主に入り、シャドーの位置には松田、アレン、梅崎の新加入組と、菊地、端戸の残留組、アウトサイドの位置もこなす高山、表原玄太を組み換えながら、リーグ戦・カップ戦の闘いをこなしていく。


チームに色々と転機が訪れたのは5月を過ぎてからだった。
リーグ3連敗目を喫した5月12日の清水エスパルス戦で、ジョンヒョプが試合中に負傷交代するアクシデントに見舞われてしまう。
(後に足首の骨折であることが判明した。)

開幕からワントップの位置で奮闘を続けていたジョンヒョプの離脱は痛かったのだが、それまでジョンヒョプの後塵を踏み続けていた野田隆之介がこのタイミングで奮起。

清水戦から1週間後のジュビロ磐田戦で連敗を止める決勝点を挙げるだけでなく、ホームアンドアウェー方式で行われたルヴァンカップのプレーオフステージのベガルタ仙台戦では、アウェー仙台の地でプライムステージ(決勝トーナメント)進出を決定づけるアウェイゴールを叩き込む大仕事をやってのけた。

とは言ったものの、ロシアワールドカップ開幕までのフォワードの状況がどうだったかというと、菊地俊介と梅崎司は好調を維持できてはいたが、ジョンヒョプは負傷離脱中、高山薫はコンディションが思うように上がらず、野田隆之介と松田天馬は調子の波が激しく、アレンは日本の環境に上手く適応できずにいた。


ジョンヒョプの抜けたワントップの人員を確保すべく、ベルマーレは前年のJ2リーグから徳島ヴォルティスの主力フォワードとして高い評価を得ていた山﨑凌吾を完全移籍で獲得。

さらに、シャドーの位置にはヴィッセル神戸で定位置を失くしかけていたスピードスター、小川慶治朗を期限付き移籍でチームに引き入れ、前線の活性化を行った。


187センチ、80キロという恵まれた体格を持ちながら、体力もあって運動量も多く、左利きでボール扱いの技術にも長けてる山﨑の加入はまさしく効果的面だった。
空中戦にも強く、ポストプレーの精度も高かった山﨑はサポーターからの受け入れられ度もすこぶる速く、ベルマーレデビューから3試合で3得点を挙げたこともあって、チームの中で急速に存在感を高めていった。

一方の小川慶治朗はというと、山﨑ほどの大きな存在感はなくとも、ベルマーレ屈指のスピードスター、高山薫ばりの足の速さとスプリント回数の多さでサポーターにその存在をアピールした。

夏場になると、わずか2ゴールしか挙げられなかったアレンが契約解除でチームを退団、主にカップ戦で躍動した表原玄太も山﨑と入れ替わる形で徳島に期限付き移籍(後に完全移籍)。

天皇杯はベスト16で敗退してしまったが、リーグ戦では8月上旬から5試合連続勝ちなしという時期はあったものの、ルヴァンカップのプライムステージでは松田天馬、梅崎司、ボランチの金子大毅の大活躍もあってベスト8でセレッソ大阪を、準決勝では菊地俊介の貴重なアウェイゴールやPK戦にまで持つれた死闘を制して柏レイソルを撃破。

文字通り、"総動員"の全員サッカーを展開して、クラブ史上初のリーグカップ優勝に王手をかけた。

迎えたルヴァンカップ決勝、相手は今季のリーグ戦で1分け1敗の横浜F・マリノス。

この試合はワントップに山﨑凌吾、シャドーに梅崎司と、相手の攻撃対策の為に石川俊輝を起用。
鋭いプレスバックや献身的な守備はもちろんのこと、山﨑は広範囲に動くポストプレーで、梅崎は持ち前の技術の高さと経験の豊富さで攻撃を牽引。

普段はボランチの石川だが、この試合では前線の"バランサー"として、周囲の選手たちの強みをを上手く引き立たせる役割に徹しながら、攻守で惜しみなく輝いていた。

試合開始からエンジン全開で攻め続けたベルマーレが前半39分に杉岡大暉の強烈なミドルシュートがマリノスゴールに突き刺さって先制点は挙げたが、後半はマリノスにボールを支配される時間が長かった。

しかしそれでも、前線から最終ラインまで一貫して湘南スタイルを徹底し続けたベルマーレの防御網が破られることは最後までなかった。
試合に上手く入れなかった松田天馬が途中出場途中交代という屈辱は受けても、梅崎に変わって入った高山薫、松田に変わって入った菊地俊介が試合を終わらせた。

クラブ史上初のリーグカップ優勝という偉業を成し遂げたベルマーレは、タイトルホルダーであるが故に組み込まれてしまう過密日程に苦しむ時期はあったが、ホーム最終戦となった浦和レッズ戦では梅崎司が古巣相手に見事なカウンターシュートを決めてみせ、この年もシャドーの位置で高い決定力を誇った菊地俊介が追加点となるシュートを決めて2-1の勝利。

引き分け以上でJ1リーグ残留が決まる最終節の名古屋グランパス戦、ベルマーレは前半に菊地俊介のゴールで先制すると、前半終了間際には梅崎司がPKを決めて2-0とリード。
後半に名古屋のジョーにPKで2得点を決められて危ない場面に陥りそうにはなったが、全員で集中を切らさずに3失点目を許さなかったベルマーレは、2-2のスコアのまま試合を終わらせてJ1残留をその手に掴み取ってみせた。

また、この試合では次のシーズンからの加入内定が決まっていた中央大学4年の大橋祐紀がJリーグデビュー。
とんでもなくプレッシャーのかかる状況でのデビュー戦となったが、終始まったく動じずにプレーを行い、大器の片鱗を見せた。

この年のリーグのチーム得点ランキングはというと、菊地俊介がトップの7得点を叩き出し、移籍加入の梅崎司、山﨑凌吾が4得点と続いた。

梅崎司はルヴァンカップだとチームトップの4得点を記録。
浦和在籍時には度重なる大怪我で本領を発揮できなかった優良プレーヤーが、湘南の地で再生し、クラブに勝者のメンタリティを植え付けさせた選手の1人となった。

改めて思うけど、フォワードだけでシーズンを振り返るって難しい。笑

難しいけど、誰もやらなそうだから楽しいんだけどね。

残り1シーズン。
記憶にも新しい2019シーズンの結末と、この連載記事の結末やいかに…


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