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傷つく気配

19時半から22時すぎまで映画を観たあと、iPhoneの機内モードを解除してLINEをチェックしたけれど、彼からのメッセージは届いていなかった。

ふたりで暮らすために毎月いくら貯めようとか、収入の不安定な彼が転職するとかしないとか、具体的な将来の話を進めはじめてから様子がおかしくなったのは明らかだった。
2ヶ月前までは毎日とっていた連絡も、1週間以上途絶えるようになってしまった。

鳴らない通知に支配された頭を切り替えたかった。
不穏な空気と傷つく気配から目をそらすように、日比谷のTOHOシネマズに駆け込んだ。

忘れたいことがあるときは映画館に来る。
少なくとも2〜3時間、目の前にあるスクリーンに映るもの以外、すべての情報を遮断できる。
でも終映後のトイレでFilmarksに投稿するレビューを打ち終えたら、心は再び彼のほうに引きずられてしまった。

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一瞬で通り過ぎていく景色、記憶の断片、ふっと浮かんでは消えていく感情。夢のような日々は、シャンパンの泡のように儚く。お酒を一杯注文するよう…

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