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【読書録】『中学校社会科地図』帝国書院

今日ご紹介する本は、帝国書院の「中学校社会科地図」

教科書の一種だが、私の通っていた中学校では、「地図帳」と呼んでいた。義務教育の一環として、学校の授業で使用するために、中学生に無料で支給される学習教材だ。この教材で社会を学んだ方も多いのではないだろうか。

ご存じのない方もいらっしゃるかもしれないが、この教科書は、誰でも購入することができる。大きな書店でも売っているし、Amazonでも買える。

冒頭の写真は、私が現在持っている、2010年版ものもだ。かなり古くなってしまったので、また近々、最近のものを買い直そうと思っている。

現在アラフィフの私が中学生だったのは、はるか遠い昔のことだ。当時は、この地図帳の価値について、何とも思っていなかったし、学習目的以外で参照することはなかった。

しかし、その後大人になって、世界中を旅したり、日本国内の寺社や城郭や温泉などを巡ったりする経験を経て、ふとこの地図帳を改めて手に取ってみると、情報源として大変優れていることに気づいた。

まず、地図としての精度だ。国土地理院長の承認を受けた、同院発行の地方図、地勢図、地形図を使用しており、その正確性は折り紙つきだ。国境線や国の名前なども、世の中の変化に応じて、版を重ねる毎にアップデートされる。

そして、オールカラーで、地形を立体的に表現していること。山地や平野、海の深さを色分けや色の濃淡で区別しており、二次元であるにもかかわらず、山の高さや、海の深さなどが、3Dでイメージできる。

ヨーロッパ中央部

また、その土地ごとの主要都市、鉄道路線や、主要道路、歴史上の場所や特色のある風物や文化など、中学生がひととおり押さえておくべき歴史的、地理的に重要なポイントを、わかりやすく地図上に盛り込んでいる。地域ごとに知っておくべき一般常識がスッと頭に入る。

中部地方の地図。「川中島の戦い」や「湯田中温泉」などまでも地図上に表示されている。

さらに、所々で、独特の切り口で作成した地図も載せている。たとえば、元禄時代や江戸時代の地図まで載っていたりする。現在の地図と比べてみるのも面白い。

嘉永年間の江戸
元禄時代の大阪

そのほか、人口分布、農産物の輸出入など、世の中の動きの前提となる基礎データも盛りだくさんだ。

世界と日本の人口状況
鉱工業の輸出入とその変化
統計資料の一部

要するに、この1冊で、日本や世界の地理や歴史や社会的一般常識について、ベーシックな知識や情報をひととおり得ることができる。ここに書かれていることは、つまり、中学生レベルの情報や知識だということなのだが、よく読んでみると、知らなかったことや、理解が不十分であったことがいかに多いかと気づき、愕然とさせられる。そして、とても良い、頭の体操の機会となる。

一家に1冊、これをリビングに置いておくと、ニュースや新聞の内容を理解したり、家族だんらんの場で、世の中の出来事について話したりするのに役立つだろう。

それより、何より、世界や日本の地図を眺めながら、次にどこに行こうか、何を見に行こうか、と考えるのが、シンプルに楽しく、わくわくするのだ。私は、この1冊を眺めながら、何時間でも妄想しながら脳内旅行ができる。旅好きの人には、特におすすめだ。

ご参考になれば幸いです!

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