【せっかくだから】
旅先では、「せっかくだから」という言葉をついつい使ってしまう。
「せっかくだから」は、困難を越えた事や、滅多に得られない機会を大切にするという時に用いられる様だ。
「せっかく京都の金閣寺に来たので、茶室でお抹茶とお茶菓子でも頂きましょう。」と言いながら、暑さのせいもあり、クーラーの効いた茶室でお茶を頂く。
「せっかくだから、こういうところで休まないと。」と私は言う。
京都に来たのは人生で3回目、金閣寺に来たのは2度目だった。
昔、修学旅行で初めてこの地を訪れた時は、「金のお城を見てみたい!」の一心だったのか、池の前に鎮座する金の建物以外は何も覚えていなかった。
金閣寺や清水寺が、うる覚でも色褪せず、イメージと実際があまり変わらないのは、何かと雑誌やネットでも見る機会が多いからだろう。
池の上に浮かぶ様に佇むその姿は、何十年も前に来た時と変わらず眩しく輝く。。。
、、、と物思いにふけていると、つい最近、改修工事を終えて金を綺麗に塗り直した事を知る。
せっかくだから、ぐるっと一周回りながら、御朱印も頂き、金閣寺の御守りを買い、お茶を頂く。
とても暑い夏の昼下がりであったが、暑いと言いながらも、見て回るのが旅。
疲れや、暑さに立ち向かって、ちょっと背中を押してくれる言葉。
「せっかくだから」が元気をくれて、期待値を高めてくれる。
魔法の言葉。
【口癖】
時に言葉は、変な癖となって、無意識に誤用、乱用されている。
このブログを書きながらお店に向かうバスの中、時計を見ると「ちょうど18時23分でした。」
「意外と私、誤字脱字が多いんです。」
「この時間だとお店に着くのはギリギリの時間ですね、逆に。」
「ちょうど」でもないし、「意外」じゃないし、「逆に」の意味がわからない。。
「案外」今日は一日天気が良かったから、、、
いや、天気予報でそう言っていたし、、、、
注意して人の会話を聞いていると、至る所でこういう事は起きている。
「その情景が浮かんでくる様な気がしますよねー♪」
とハガキを読んだラジオパーソナリティが話す。
え?この人何も言って無くない?、「様な?気がする?」この人の口癖なのかな。
逆にリスナーに寄り添ってないコメント。。
「せっかくだから、餃子もお代わりお願いします。ビールももう一杯。」と。
乱用するともう本来の意味を無くし、言い訳じみたニュアンスを纏う「せっかくだから。」
もちろんこれは、言葉遊びで使うのであれば、乱用する時は思い切って使えば良い。
せっかくだから。
【暑い夏だから】
真夏の昼の祇園の街を散策し、その途中で暑過ぎるので立ち寄っては、「せっかくだから」と一杯のビールを頂く。
やがて夕日が鴨川の川下を染めてゆく頃の、涼しげな流れの上に設置された「川床」。
地元の人は「ゆか」と呼び、夏の風物詩として楽しむ事もあると言う。
しかしながら、今回は「せっかくだったけれど」暑過ぎて外での食事は遠慮させていただいた。
絵的に見える「涼しげ」は、昨今の暑さでは、遠く昔の出来事の様で。
清水寺の舞台袖で吹いた突風と、それに呼応して鳴る、数多の風鈴もまた夢の様な時間。
テキーラの原産国メキシコの生産者は、「楽しい時にテキーラを飲み、悲しい時にテキーラを飲むんだ。」と語る。
人は理由をつけて「せっかくだから」と、お酒を飲む。ただ飲んでも良いのだけれど、理由があると尚良い。
今回のブログを書くきっかけになったのも、夏休みの出来事をお客様に話していた際、何かにつけて私が口癖の様に、「せっかくだから」と言っていたのが、面白くて、「せっかくだから」をテーマに書いてみたら?と言われたので、「せっかくだから」書いてみました。
せっかくだから。