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神島のタコ飯

食べ物に関しては執着心がないので、行列のできる店に並ぶというような行為はしたことがない。

そんな私なのだが noteで、あるコラムを読んでから「タコ飯」が頭の片隅から離れなくなってしまった。

タコ好きの、タコ好きによる、タコ好きのための「タコ飯」というタイトルがついていた。タコ好きな人によるタコ飯のレシピがついた話だった。

タコ以外の具材は入れない方がいいという。薬味もいらない。米とタコだけが旨いのだと力説している。

何年か前に三重県の神島を訪れたことがあって、そこで食べたタコ飯がよみがえって来た。子供達に海好きになってもらう事を目的とした活動のお手伝いをしていて、小学生90名あまりと船で神島に渡り、島の人の生活や自然観察などをした時の昼ごはんがタコ飯だった。

神島

そのタコ飯がとても旨かった。私だけでなく他の大人もあとになって、「あの時のタコ飯おしいかったね」などと話が出る位だから間違いない。

何が、どのように旨かったのかよく分からないけれど、タコの味がよくしみ込んだご飯なのである。タコ以外のものは何も入っていませんというタコ味のご飯。

そんなタコ飯が頭から離れなかった。オリンピック期間中も閉会式後も。
こらえきれずに先日、スーパーマーケットに走ってタコを買ってきた。そしてタコ好きのためのレシピに従ってタコ飯を炊いた。

炊きあがったタコ飯は旨かった。しかしあの神島で食べたタコ飯とはちょっと違うようにも思えた。神島で食べたから旨かったのだろうか?  坂道を歩いて腹が空いていたからだろうか? みんなで楽しく食べたからだろうか?

タコの家

神島のタコ飯が旨かった理由について思いついたのは、あの時のタコ飯は冷たかった。100人分以上の昼食を頼んでいたので早いタイミングで炊いたのだろう。炊き立てのホカホカした感じではなかったのだ。しっかり冷たくなっていて、タコの旨味がさらにご飯にしっかりしみ込んだのではないか。

きっとそうに違いない 。

翌日、カミさんにタコ飯の残り、昼ごはんにおにぎりにして食べよう。そう言ってお昼になった。

おにぎりの形をしたタコ飯が2個出てきた。冷めたタコ飯はもっと旨いに違いないとニンマリしながら手に取ると、それはラップに包んで電子レンジで温められたタコ飯おにぎりだった。 

とてもふっくらとしていて昨夜食べた炊き立てのタコ飯とまったく変わらない味だった。

私の中でのタコ飯は、まだ不完全燃焼である。あのタコ飯の味は神島でしか味わえないのかもしれない。

この文章を書くにあたってnoteのタコ好きの、タコ好きによる、タコ好きのための「タコ飯」のコラムを読み返してみたら掲載日は8月8日だった。
どこまでもタコ好き。



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