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Netflixさん。次のオリジナルのテーマ「西武グループ」でどう?【note創作大賞】

本作は、毎月実施している山門文治ゼミで実際におこなった講義内容をもとに、知識を補足したり内容をまとめる目的で執筆しました。
そのため、じっさいのゼミの臨場感や余分な雑談などはカットしてあります。
ビール片手に聞いて楽しむラジオ感覚の教養ラジオ「山門文治ゼミ」が気になる人は、毎月恒例の山門文治ゼミのあなたも参加してみませんか?
それでは、本編をお楽しみください。

Netflixオリジナルといえば、Netflix社がその国の映像チームに何億ドルという予算を投資して、文化や風土はそのまま「おまかせ」して、お金だけ渡してくれるという、神パトロンで有名である。
クリエイティビティというのは、自由さとひじょうに相性がいいみたいで、世界中から最高に面白いNetflixオリジナルができあがっている。
「イカゲーム」「愛の不時着」「ブラック・ミラー」「今際の国のアリス」「全裸監督」「ナルコス」など枚挙にいとまがない。傑作中の傑作が、毎年のように各国から輩出されているのだ。だから、ぼくはNetflixが大

そんな親愛なるNetflixさんに提案があります。
どうかいつかのNetflixオリジナルシリーズで・・・


01:「西武グループ」を
Netflixで映像化してほしい

「西武グループ」をNetflixオリジナルシリーズで映像化してほしい。ぼくらの山門文治ゼミは、こんな山門文治の妄想からスタートする。
というのも、「西武グループ」が本当に尋常じゃないくらい面白い。
なにが面白いって、出てくる人物のキャラクター、そのエピソード、歴史的背景、スケールの大きさ。これらの要素がパンパンに凝縮されているのだ。

ところで、こういう話をすると、
「ああ、歴史ね」「歴史やってないからな〜」みたいに距離を置かれてしまうことがある。とてもさみしい。
たしかに、歴史と聞くとついみがまえてしまう気持ちはぼくにもよくわかる。
だから、安心してほしい。
高校生も読んで楽しめる読み物を目指しているので、むずかしそうな部分には注釈をいれるし、背景知識もそのツド補足する。そして、数冊の本も紹介する。もし本作を読み終わってすこしでも「楽しめた」なら、さらにあなたの好奇心のとびらを開いてみて、どれか1冊だけでも読んでみてほしい。
ぼくは、こんなふうに好奇心おもむくままに漂う読書をしていたら、いつの間に読解力が身につき、その習慣がある前と以前のじぶんと比べてあきらかに「頭がよくなった」という経歴がある。1000冊読むと景色が変わるのは本当。

あなたは西武グループを知っているだろうか。一番イメージとして強いのは「西武ライオンズ」かもしれない。でも、西武グループは、球団を持っているだけでなく、森岡毅が手掛けてV字回復した昭和レトロな雰囲気ただよう西武遊園地などのレジャー事業。東京と埼玉を中心に住宅地を開拓する不動産事業。プリンスホテルを中心とするホテル事業。西友か西武デパートなど小売事業。後述することになるが、パルコに無印良品やロフト、クレディセゾンなどももともとはセゾングループという西武グループの「一派」だった。このように、固有名詞をならべてみても、現代の日本社会にとってなじみ深い企業ばかりだ。特に関東近郊に住んでいる人にとっては、生活とは切り離すことができないのが西武グループである。
さあ山門文治といっしょに、この企業のはじまりを覗いてみよう。

02:堤康次郎と
堤清二親子が物語の主人公

ここからは山門文治の妄想が大いに含まれるので、チャンネルを合わせて読み進めてください。

■シーズン1主人公:堤康次郎


写真掲載元:時事通信社

生年月日: 1889年3月7日
没年月日: 1964年4月26日
出身地: 滋賀県愛知郡八木荘村(現・愛荘町)
学歴: 早稲田大学政治経済学部政治学科卒業
職歴: 西武グループ(旧コクド及び旧セゾングループ)の創業者、衆議院議員、第44代衆議院議長
業績: 西武グループの創設、西武鉄道や西武百貨店の発展に貢献
別名: 「ピストル堤」
家族構成: 妻は堤コト、堤文、堤操。子供は長男・堤清、次男・堤清二、三男・堤義明、四男・堤康弘、五男・堤猶二

▶理想の配役:鈴木亮平、でんでん
「柔道」「ピストル」などこの人のまわりにはパンチがある言葉が多いので、でかくて強そうで男って感じのイメージ。老齢期の狂気の感じをでんでんに表現してもらいたい。

■シーズン2主人公:堤清二


写真掲載元:時事通信社

生年月日: 1927年3月30日
没年月日: 2013年11月25日
出身地: 東京都
学歴: 東京大学経済学部卒業
職歴: 西武百貨店取締役店長、西武鉄道取締役、セゾングループ代表
業績: 西友の発展、パルコの全国展開、池袋や渋谷の西武百貨店の成功
受賞歴: 室生犀星詩人賞
著作: 詩集『不確かな朝』、小説『彷徨の季節の中で』
筆名: 詩人経営者、辻井喬(つじい たかし)
家族構成: 父は堤康次郎、母は青山操

▶理想の配役:中村倫也
逆にこっちはなよっとしたインテリのイメージ。ポイントは東大卒や父への反発心で共産党に入ってしまうのがぼくのイメージとしては、かなりしっくりくる。

03:堤康次郎
男の中の「漢」な経営者

このコワモテのおじさんが西武グループの創業者堤康次郎である。
この眼光の鋭さ、スーツの上からでもわかる恰幅のよい体つき。
風体から「ピストル堤」というニックネームがつくのもうなづけるだろう。

さて、この人の魅力を語るうえで絶対に押さえておくべきポイントがある。
それは、①人たらし(女たらし)②土地である。

■究極の人たらし


究極の人たらし。それはどんな人だろうか。
ぼくは長い日本の歴史の中で最強の人たらしは、この人なんじゃないかと思っている。堤康次郎は人たらしだ。
いきなり余談で恐縮だが、「ああ〜この人、マジで人たらしなんだろうなぁ」って人には人生で1回だけ会ったことがある。
京都で知り合った若き青年実業家だ。
同志社大学在学中にAO入試の専門塾の創業者である彼が、まさしくそれだった。ひょいっと相手のこころに入り込めちゃう人である。だからぼくは、堤康次郎の人たらしエピソードを読んでるうちに彼のことを思い出さないわけにはいられなかった。
その彼とも共通しているエピソードなのだが、堤康次郎は幼少期に両親を失っている。幼少期に壮絶な悲しみを経験すると、人は生存本能からか人たらしになるのだとぼくは思う。
あと、意外な共通点だがふたりとも柔道をやっている。柔道という競技は性格が悪くないとできない理詰め的な要素をもつ格闘技だと聞いたことがあるが、それがビジネス的思考と相性がいいのだろうか。科学的根拠はないけれど。
もしかしたら柔道という競技は、ビジネスに役立つという打算から子どもに柔道を習わせてみるのもいいかもしれない。
さて、話を戻そう。
幼少期の両親に「捨てられる」のような経験があるとその子どもは大人になってから性的に奔放に傾向が生涯発達心理学の知見により認められているみたいで、堤康次郎にはたくさんの愛人がいた
そのため、次章のテーマの堤清二を語るうえでは異母兄弟がキーワードになるのでポイントとして押さえておいていただきたい。
ところで、究極の人たらしなんて言っているのに、女たらし程度の次元の話しか出てこないから不思議に思った読者がいたら、あなたは鋭い。
なんと、堤康次郎が口説き落とした相手は宮家である。

宮家・・宮家(みやけ)とは、日本において、宮号を賜った皇族男子(親王又は諸王)を祖とする、皇族の一家のことである。

康次郎は皇族からほぼタダ同然の値段でグランドプリンスホテル高輪迎賓館の敷地を譲り受けることになる
究極の人たらしっぷり。

グランドプリンスホテル新高輪

贅沢が零れ落ちそうなほどたわわにみのる絢爛な写真をご覧いただきたい。
こんな立派な建物の土地をタダ同然で譲り受けちゃう手腕とは・・・

■「土地の堤」


堤康次郎には「ピストル堤」のほかに、もうひとつのあだ名がある。「土地の堤」だ。
太平洋戦争の直後、焼け野原の東京から土地という土地を買い漁って、住宅を販売したり、鉄道を通して野山を切り開き住宅地化して販売したり、東京の郊外をつくったのは、この男なのだ。
それ以外にも、大学を誘致したり、開墾した土地に遊園地とかつくってレジャーランド化したり、とにかく康次郎の成功には「土地」がつきまとう。国立・箱根・軽井沢・伊豆。どれも今となっては高級なイメージがあるこれらの土地を開発して、今のイメージに変えていったのはこの男の影響にほかならない。

■ハッタリの達人?足りない資金は新聞紙


ぼくが堤康次郎を好きになったエピソードがあるので紹介させてほしい。
康次郎がまだ早稲田大学を卒業したばかりの30歳にも満たない時代。なんとしても軽井沢の100万坪の土地がほしかった。そのためには、当時のお金が三百円(※)ほど必要だ。しかし、三百円は当時かなり高額で、30歳の青年実業家に用意できる金額ではない。そこでの用立て方が強烈で、ぼくは一発で好きになった。そして、このエピソードこそがNetflix映えするのだ。

まず、軽井沢陣営から「若造」と軽視される障害は、ハッタリによって乗り切った。「俺は大隈重信の秘書だ」※1。こうして軽井沢町長に取り入ろうとした。この時に、お金は用意できることを約束した。
康次郎は、奥さんの実家のツテをつかい、なんとか半分の百五十万円を用立てることができた。しかし、もう半分は銀行行こうが誰に頭を下げようが、どうしても集金できなかった。
そこで、康次郎がとった手段は、新聞紙など古紙を札束に見立てるというパフォーマンスだった。足りない百五十円は、なんと、ビジネス系インフルエンサーのような乗り切り方をしているのだ。
奇策であるにもかかわらず、人を疑うことを知らない軽井沢町長は、そのパフォーマンスにすっかり堤康次郎という男を惚れ込んだ。そして、康次郎青年に、土地開発の許可を与えて沓掛(中軽井沢)の開発が始まり、今の避暑地やリゾート地としての軽井沢のイメージにつながる。

ぼくは康次郎のハッタリによって苦難を乗り越える姿勢がとても気に入っている。
日本人にとっての避暑地軽井沢のイメージは、康次郎のハッタリから始まったのかぁ、と感慨深い気持ちになる。
ビバ・ハッタリ。

注釈
※1 堤康次郎は、早稲田大学卒業しているため大隈重信と関係がなかったわけではないが、秘書はさすがにハッタリ。

■康次郎最大のライバル、五島慶太


堤康次郎には、永遠のライバルがいる。
その名も、五島慶太(ごとうけいた)。

写真掲載元:東急グループ

生年月日: 1882年4月18日
没年月日: 1959年8月14日
出身地: 長野県小県郡殿戸村(現・青木村)
学歴: 東京高等師範学校卒業、東京帝国大学政治学科卒業
職歴:教員(英語教師として三重県四日市市立商業学校に赴任)
農商務省および鉄道院に勤務
武蔵電気鉄道常務(後の東京横浜電鉄)
東急グループの総帥
業績:東急グループの創設と発展に尽力し、特に東京横浜電鉄(現在の東急電鉄)の拡大に寄与。
田園都市株式会社を設立し、田園調布や洗足などの開発を推進。
目黒蒲田電鉄の立ち上げ、後の東急電鉄となる。
家族構成: 五島家の詳細な家族構成については記載されていないが、東急グループを通じて経済界に広く影響を与えた。

五島慶太にも「ピストル堤」のような異名がある。
その名も”強盗慶太”。
この強盗は、「東急グループ」の創業者。東急と言えば、東急田園都市線や東横線など高級なイメージを確立している。渋谷を中心に「東京」をつくった人間のひとりだ。
「池袋」を中心に「東京」をつくった堤は、五島慶太と箱根の土地をめぐって争うことになる。
両者は、当時の日本の新進気鋭のデベロッパー会社を率いて、箱根の土地の買い占め合戦を行った。後に、両者の陣取りゲームを「箱根山戦争」と言われるようにまでなった。小田急グループのバックについて支援する形で、五島慶太が代理戦争的に資金提供をする形だったが、これは堤をライバル視した五島の個人的な私怨による支援なのではないかと個人的には思っている。(根拠なし)
ちなみに、これ以外にも伊豆半島の土地の買い占めを行う「伊豆戦争」がある。
箱根も伊豆も今の日本の主要なリゾート地であるが、ピストルvs強盗のような歴史があるということを知って、その土地を尋ねると感慨深い。※加えて、関西の阪急グループにも小林一三という個性豊かな創業者がいる。マジでこいつら集めたスマブラ出してほしい。おれは買う。
西武グループの攻防を描くNetflixオリジナルシリーズをつくったら、このような私鉄群雄割拠の戦国時代としてのストーリーを楽しむことができるのではないかとぼくは期待している。

【参考文献】

04:堤清二
昼は天才経営者で夜は天才作家

このベジータみたいなハゲ方してるのが、堤清二。
堤清二は、父親(康次郎)と打って変わって病弱で、若いときは結核でかなり苦労したり、東京大学に入ったり、共産党に入ったり、父とは完全に対照的なキャラクター。
そして何よりあふれるばかりの文才がみなぎって、詩人として受賞してしまう。それも昼は大会社を経営しながら……
さて、この人の魅力を語るうえで絶対に押さえておくべきポイントがある。
それは「文化」と「文才」。

■50年先の未来を見通す千里眼


堤清二は、未来を見通す千里眼を持っている。
いくつかの点で革新的な貢献をしているが、その中でもひとつ選ぶならば、日本の経営史においてはじめて経営に文化を持ち込んだということだ。彼が売ったのは、商品のようであってじつは生き方なのだ。どういうことか。
この話が、よくわかる具体例を紹介する。
堤清二がつくった無印良品という会社がある。
この会社のコンセプトは、「『これがいい』より『これでいい』」。
この無印良品が掲げる理念を紐解くことで、セゾングループの堤清二がいかにすごいかわかってもらえるだろう。
「これでいい」は一見するとネガティブな言葉に聞こえるかもしれない。
しかし、「これでいい」と国民がうなずく普遍的なニーズに応える企業という角度から見てみると少し様子が変わってこないだろうか。
いまのところそのポジションは、ユニクロのような気もするが、それでも無印良品は、しっかり現代に息衝いている。
とても自然に生えた街路樹のように街に溶け込んでいる。
「あ、〇〇足りない!無印でいいや」。あなたにとって、無印良品はそんな存在じゃないだろうか。
ぼくにとっての無印良品はまさしくそんな存在だ。この存在になるためには、地味なようでけっこうハードルが高い。だって、「〇〇でいいや」には、いつも「安物買いの銭失い」というアンチテーゼが常に待ち構えているからだ。
ぼくたちはよく、「ああ、やっぱりしょせん安物だったな」安さに惹かれて買った商品に対して、と思ってしまうことがある。しかし、無印良品でそうした経験が、少なくともぼくにはない。
安くて高品質という印象がずっとぼくの中にはあるのだ。
これがぼくが考える「無印でいい」のすごさの正体である。
「無印でいい」すごいでしょ。
ぼくはこれが文化を売っているということだと思う。無印良品という生き方を売っているのである。

「これでいい」に行き着くまでのハードルの高さを想像してほしい。「サザエさんでいい」「タモリでいい」「ドラゴンボールでいい」「本田圭佑でいい」。「で」に到達するのはすごくむずかしいのだ。

この無印良品のエピソードから見て分かるとおり、堤清二はとにかく新しい。
50年前の人間の言葉とは思えないほど現代的だ。堤清二は、モダンを超えたポストモダンを見据えて経営していたというが、まさしくこういうことだろう。堤清二は、50年前に大量生産・大量消費の終焉を見据えてサステナブルな経営を目指していたのである。
というのも、堤清二は大の読書家で陰キャ。ガンガン人と会って人脈を築くカリスマタイプの父親とは大反対。あれだけ膨大な読書をこなしていたら、そりゃあんな経営哲学も生まれるだろう。
いま(現代)となっては常識になっている考え方を50年前から率先していたのだから。50年先を見通す千里眼。

■作家としても超一流


天は二物を与えぬなんて嘘っぱちだ。
天は二物も三物も与える。堤清二は作家としても一流だったのだ。
三島由紀夫と交流をもっている。また、詩人として賞に入選するなど、類稀なる文才。
ばくも実際に読んでみたけど、ほんとに美文だった。言葉選びが本当に繊細で美しい。ピアノのような繊細な文体を味わっていただきたい。興味がある人は、『父の肖像』だけでも読んでほしい。

■意外と子どもっぽいところでしくじる


完全無欠の万能人かのように紹介しているが、堤清二には、かわいいところもあるのだ。Netflix映えポイントを強調したい。
堤親子の確執。それを紐解くならば、父康次郎の女癖の悪さに起因する「異母兄弟」というキーワードに行き着く。

堤三兄弟。堤康次郎の三人の息子たちだ。
ひとり目は、清
ふたり目は、清ニ
さんにん目は、義明
清は、めっちゃ期待されて育てられる。しかし、問題発言が多いという理由で早期に失脚(なんだそりゃw)。その後、だれもくわしい人生を知られていない謎の多い人物。
清二は、東大行くし頭いいから期待したけど、父親の反抗心燃やすし、共産党はいったり、病弱だ。
義明は、その期待に応えるお父さんを尊敬してるし、清二ほどじゃないものの頭もいいし、なによりじぶんを慕ってくれる康次郎にとっては一番可愛かったに違いない。
この三兄弟のキャラクターとか、「愛の不時着」に出てくる財閥みたいで、Netflix味がある。
そして、兄弟の仲の悪さが実際の経営に表れてしまっているのだから面白い。それこそ「こち亀」に出てきそうなギャグ要素が出てくる。

父の康次郎は、次男の清二と三男の義明にそれぞれ
西武鉄道グループを義明に、流通グループを清二に
相続した。
これが後の西武グループとセゾングループの分裂である。
するとこんなことが起こる。
次男の清二がセゾンカードという革新的なクレジットカードでバズると、三男の義明は日本全国のプリンスホテルでセゾンカードを使えなくしたりと私怨むき出しの方針を打ち立てる。
このように兄弟で異常に仲が悪い。
そして、次男の清二はそんな三男の大人気ない攻撃に対して静観しているのかと思いきや、がっつりやり返していた。
清二はすぐに対抗策を講じ、セゾングループの他のホテルチェーンや提携店舗においてセゾンカードの特典を大幅に強化する施策を打ち出した。これにより、セゾンカードの利用者はプリンスホテルを避け、他の提携ホテルや店舗を積極的に利用するようになった。
一方で、義明はこの状況に対して更なる対抗策を考案していた。彼はプリンスホテルのサービスや設備を強化し、他のカード会社との提携を進めることで、セゾンカードの影響力を排除しようと試みた。しかし、清二の攻撃はそれだけに留まらなかった。清二はまた、メディアを通じて義明の方針を批判し、プリンスホテルの顧客サービスに疑問を投げかける発言を行った。これにより、義明はさらに困難な立場に追い込まれることとなった。清二と義明の対立は、ビジネスの場を越えて個人的な恨みへと発展し、家族内の緊張は一層深まっていった。
最終的には、両者の対立が経営陣全体に波及し、セゾングループ全体の経営に影響を及ぼすまでになった。

要するに、これは単なるドラ息子たちの兄弟喧嘩だ。
こんな「こち亀」顔負けの展開と堤清二の抜け感が目立つ。50年先を見通す千里眼なのに、こんなあっけなくセゾングループは解体してしまうことになる。

【参考文献】

05:日本の中流層を
つくった親子

歴史を楽しむコツは、「今」に起点を合わせること。そういう意味では、「すべての歴史は現代史である」とは誰の名言だっただろうか。
その時代の固有名詞を切り取って呪文のように唱えて暗記して一問一答形式に正解を獲得するテストとはちがって、「生きた歴史」を学びじぶんなりの仮説や考えをもつことこそが、真にゆたかな歴史の学びなのだ。
「今のわたし」とどうつながるのか。たとえば、ぼくは今回「西武グループ」を取り上げたのは、ぼくのルーツとひじょうに近いところにあるからである。
ぼくの出身地は東京の郊外の出身(多摩地区)で、まさしく西武グループを前身とする土地会社が開拓したエリアなのだ。
この2人の親子の功績を日本社会における影響として抽出するならば、わが国の中流階級の創出に大きく貢献したことがあげられる。わが国では、現在、中流層がごっそりと空洞化して、完膚なきまでの格差社会が進行中である。IT系長者の新自由主義的口車に乗せられて、こうした格差の出現には、「仕方ない」という姥捨て山的な発想の切り捨てが起こっている。
ぼくには、どうしてもこの親子がつくりあげた中流層というものが解体されていく、すごく切ない歴史に思えてならない。
急速に変わっていく時代の中で、ぼくたちができることはなんだろうか。
こんなことを考えて西武線に乗る。ただの退屈で空疎な通勤時間も好奇心に満ちたカラフルな時間になる。
こんな風に、歴史とは大きな時代の流れを「今の解釈」に合わせて読むことで楽しむことができるのだ。

以上。山門文治ゼミでした

06:山門文治ゼミ
へようこそ

山門文治ゼミをたのしんでいただけただろうか。
ぼくの好奇心をプッシュしすぎてしまい、読者を置き去りにしながら書き進めていやしないか、終始不安だったが、どうだっただろう。あなたの感想や質問のメッセージなどは、コメント欄で待っている。

ところで、「ぼくの歴史の楽しみ方」と最後に結んだのには理由がある。
それは、ぼく同様にあなたにも歴史を楽しんでもらいたいからだ。
山門文治ゼミの目的が教養を吸収することで、この話が「今のわたし」にどう影響するのかという考え方を学んでいただきたい。
「西武グループ」の歴史を学びを通して、今度はあなたの好奇心を膨らませていただきたいのである。ぼくにとっては、「Netflixでオリジナルシリーズで映像化してほしい」という楽しみ方をしたけど、あなたなりの楽しみ方を見つけて楽しんでほしいのだ。
そして、内発的に好奇心を膨らまる、その一歩手前まで案内する。そして、あなたの好奇心の育て方を教えている。
つまり、山門文治ゼミはあなたの教養や好奇心を刺激することで、あなたの街や土地への見方がかわってより人生が楽しくなる、そんな考え方を教えているのだ。ちなみに、ぼくの実体験としてすごく頭がよくなった(気がする)。

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