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3月2日(2013年)前年からの変化を示す、アウェイ開幕戦初勝

 2013年3月2日(土)。浦和レッズはアウェイでサンフレッチェ広島と対戦した。Jリーグの開幕戦だった。

 まったくJリーグもよくやってくれるぜ。

 前年、2012年の開幕戦も同じ顔合わせでアウェイのエディオンスタジアムだった。それはまだわかる。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が広島を辞めてすぐにレッズがオファー。言わば“ミシャダービー”だったのだから、そういう“因縁カード”を開幕戦に持ってくるのが好きなJリーグの手法に則ったものだった。ただし5年半ミシャが指揮を執り、後任の森保一監督も基本的にそれを踏襲した広島と、ミシャが指導を開始して2か月足らずのレッズとでは、サッカーの完成度に大きな違いがあった。スコアは0-1の僅差だったが、レッズがほとんど良い場面を見せられずに負けたことに不思議はなかった。

 けど、もういんじゃね?
 と、軽く言ってみたくなった。

 去年は広島にホームで2-0と、借りを返している。このカードに新鮮味はもうないし、前年J1リーグ初優勝の広島と3位のレッズを当てる意味がどこにある? 広島には甲府とか湘南の昇格組を当てればいいだろう。大相撲の初日はそんな取組が多いぞ。たぶん。

 文句も言いたくなるが、その半面、2年連続同じ場所で同じ相手と対戦するのは、レッズにとってプラスの面もある。1年経って、自分たちがどう変化、成長したか絶好の指標になるだろう。決して試合自体が有利になるわけではないが、これによって得られるものはある。
 Jリーグがそんな配慮をしてくれたとは決して思わないが、そう考えれば試合に向かう気持ちも高まる。

 レッズの先発11人は前年と比べて4人が替わっていた。その中にこの年広島から移籍した森脇良太がいて、前年は柏木陽介や槙野智章に対して多少なりともあったヤジとブーイングを一手に引き受けてくれた。
 試合は森脇へのブーイングとは裏腹にレッズサポーターが歓声を上げる場面が多かった。1年かけてサッカーのスタイルを定着させたことに加え、ミシャサッカーの特徴の一つである1トップ+2シャドーが、興梠慎三の加入により「興梠+柏木・原口元気」という形で落ち着いたことが大きかった。前半37分に、柏木が原口のパスを右足で決めて先制すると後半6分には柏木の速いリスタートから原口がゴール。シュートは勢いがなかったが、それがかえってタイミングを狂わせたのか、相手GK西川周作の手をかすめてゴールに転がり込んだ。

 その4分後に1点を返されたが、その後は失点なく2-1で勝ちを収めた。
 前年王者にアウェイで勝利し、1年の成長ぶりを示した。このカードを組んだJリーグに感謝、はしなかったが、気持ち良く帰路に就いたのはたしかだ。これがレッズにとってアウェイ開幕戦初勝利だというのは、試合後サポーターのダンマクを見て知った。

 そうか。そう言えばレッズはアウェイで開幕を迎えることが多いが、勝った記憶はなかったな。この年は、このJリーグ開幕戦の前に5年ぶりのACLで広州恒大に0-3で敗れており、それもプラスに作用したのかもしれない。

 さて、みなさんは2013年3月2日、何をして何を感じていましたか?

※【浦和レッズ30年 あの日のわたしたち】は、レッズの過去30年の中で清尾が印象深かった年の「あの日」を毎日挙げていきます。その日に関する思い出をレッズサポーターのみなさんからいただくことで、その日をより深く歴史に刻んでいこうというプロジェクトです。ぜひ「note」のアカウントを取得の上、投稿をお寄せください。なるべく写真を付けた方がにぎやかなので、直接関係のない写真でもキャッチに使ってくれるとありがたいです。また「自分は違う年の3月2日について言いたい」という投稿も歓迎します。清尾へのお問い合わせやご意見は、サイトの一番下にある「クリエーターへのお問い合わせ」をご利用ください。
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