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6月10日(2000年) イライラ募り自滅、1-6の大敗にサポーターの怒り爆発

 2000年6月10日(土)、浦和レッズは新潟市営陸上競技場に乗り込んで、アルビレックス新潟とJ2リーグ第18節を行い、1-6で敗れた。2000シーズンのリーグ戦3敗目で、記録的と言っていい大敗だった。憤ったレッズサポーターが試合後チームバスを囲み、傷を付けるなどの暴力的行為を行った。

 J2では勝って当然。コンサドーレ札幌以外のチームには完勝がノルマ、と信じているサポーターもまだ少なくなかっただろう。特に前節、6月4日、ホームで札幌に負けて首位の座が危うくなった後だから、この新潟戦は「口直し」的に考えていてもおかしくなかった。4月16日にホームで行われた新潟戦は5-1で圧勝していたのだ。

レフェリーのジャッジにイライラ

 試合は立ち上がりからうまくいかなかった。
 一つには新潟の選手たちが走って戦ってきたことがあるだろう。手を焼いた、という言い方では失礼だ。新潟の選手たちは、2か月前の雪辱を胸に誓っていたに違いない。17分にレッズは先制される。

0-1の前半22分に永井が退場

 その勢いにレフェリーも押されてしまっていないか、という試合だった。前半20分までにレッズは3枚の警告を受けていた。新潟にも出ておかしくない場面があったがスルー。試合運びがうまくいかないことに加えて、このレフェリングがレッズの選手たちのイライラに拍車を掛けた。クビツァがファウルを受けて倒された際、そのボールを拾った永井雄一郎がクビツァを倒した新潟の寺川能人にぶつけるように投げつけてしまった。
 強く戦ったが故のレッドカードなどではなく、する必要のない行為によって、22分という早い時間に10人になってしまった。しかも1点ビハインドの状況で。

自滅と言える1-6の大敗

 数的不利だと絶対に負けると決まったわけではない。この状況なら、とりあえず前半は0-1のまま耐えきるのが定石の一つだった。
 だが、レッズはその後前半だけで3失点してしまう。反撃に行ってカウンターでやられたというよりは、選手の気持ちがバラバラになっていたと言う方が合っていると思う。
 一人少なくて0-4。後半を迎えたサポーターは辛かったと思う。しかも54分に5点目を食らう。決めたのは現在、レッズの強化部に在籍している鈴木慎吾だ。74分に西野努が1点を返した。その後得たPKで2点目を挙げていれば反撃の雰囲気も盛り上がったかと思うが決まらず、試合終盤にピクンも2回目の警告で退場に。さらに6点目を失うなど、最悪の結果に終わった。自滅と言っていい試合だった。

チームバスのミラーが折られた

 サポーターの不満は試合後のブーイングでは済まなかった。チームに直接、声をぶつけるためにスタジアムの出口やバスの周りに集まるなどの行動に出た。
 賛否両論あるだろうが、ふがいない試合をしてしまったときの、サポーターの“喝”が、チームに“活”を入れることもあると思う。
 あるいは実際の事例で、試合が始まるというのに、ダンマクが一切なく、大旗の竿だけが手すりに立てかけられているという光景を見た選手たちが衝撃を受け、その後プラスに働くこともあると思う。
 しかし、動き出したバスの前に飛び出したり、カラーコーンをバスに投げつけたり、バスのサイドミラーを折ったりすることで、選手に大きな衝撃を与えることはできるだろうが、それによって得られるのは奮起の気持ちだろうか、それとも心のダメージだろうか。少なくともチームとサポーターの一体感が、そしてサポーターの中での一体感が強まるとは思えなかった。

 2試合の出場停止処分を受けた永井は、自分の行為を反省し、言葉だけではなく結果で示したいと語った。実際、この少し後の試合でゴールを固め取りしたり、終盤のヤマ場となったアウェイ大分戦でゴールを決めるなど有言実行した。

 サポーターの行動、行為の直接の引き金になったのはもちろん1-6という大敗だが、その背景には勝って当たり前だと思っていたJ2リーグでまさかの苦戦を強いられているということがあったと思う。それに関しては、YouTube「清尾淳のレッズ話」本編で詳しく語る機会がもうすぐあると思う。

 さて、みなさんは2000年6月10日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。
https://note.com/saywhoand/m/m39e3a21a481a


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