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日本の母乳神話について思うこと

日本のお母さんの特徴としていつも驚いてしまうのが、完全母乳率の高さ。日本中でアンケートを取ったら、結構な確率で完全母乳なんじゃないか?と思うほどには、完全母乳の人が多い気がします。

理由については聞いてみたことがあまりないのですが、免疫がつくとか自然なものが良いからとかミルクは太るとかなのかなと思います。

完全母乳のほうが楽だよ、という友人もいました。母乳はすぐにその場であげられるし、うちの子は母乳だけでもお腹いっぱいになってくれるから自然とミルクを足さなくなったという話でした(でも後から、ゼロ歳で保育園に入れたときに、最初は哺乳瓶から飲めなくて苦労したとも言っていました)。

確かに母乳は楽なんですよね。ミルクは少しだけどやっぱり作る手間がある。たとえるなら、ミルクはインスタントラーメン、母乳はいつでもその場ですぐに食べられる無添加の味の薄いラーメンって感じでしょうか(そんなのできないけど)。

完全母乳のほうが楽という話は、私には目からうろこでした。母乳だけだと腹持ちが悪いとか、自分の体を酷使するとか、母乳のメリットよりもデメリットの方が多いと感じていた私は、ミルクのほうが楽だと思い込んでいたからです。

この理由を聞いて、やっぱりやり方や考え方は千差万別で、他の人が口出しすることではなく、その母子にとって最適の方法を一緒に作っていくものなんだなと思いました。健診やママ友との会話の中などで、完全母乳・混合・完全ミルクのどれに当てはまるか、ことあるごとに聞かれますよね。単純に興味があるだけならいいと思うのですが、そこで話している中で「やっぱり母乳が良いなら、大変だけど完全母乳で頑張ろう」などと無理をするようになってはいけないと思うんです。

結果的にお母さんを苦しめるだけの会話や確認事項なら、それは情報交換ではなくて押し付けです。

海外では完全ミルクのほうが普通

日本では完全ミルクのほうが珍しいという印象がありますが、私の知る限り、欧米ではミルクしかあげたことがないという人のほうが多い気がします。アメリカでも(地域によりますが)ミルクが主流、ブラジルでもミルクが主流でした。

フランスにいたっては、胸の形が崩れるから母乳をあげたくないという考えが一般的なようです。日本人からすると「なんと自分勝手な!」と思いたくもなりますが、母親だけの人生ではないという考え方の象徴のような感じがします。

日本ではなぜか、まだまだ「うちは完全ミルクです」と堂々と言えるような雰囲気ではない気がします。私は全然言ってしまうのですが、なぜかミルクをあげることに罪悪感を感じる日本人が一定数いる印象です。

母乳神話とは

仮に、無理して母乳だけにしているなら、その理由は何なのか?想像でしかないのですが、案外「そのほうが良いと聞いたから」という漠然とした理由なのかもしれません。

出産した病院や助産院の方針などもあると思います。初めての出産が母乳育児推奨のところだとしたら、右も左も分からない初めての育児ならなおさら母乳こそ正義と思わざるを得ません。

その昔、日本の粉ミルクに毒が混入されていたというミルク事件も有名ですが、おばあちゃん世代なんかは特に「粉ミルクは信用ならん」みたいなイメージもあるのかもしれません。それが現代に至るまで「母乳は安全」といった考えが広まっている可能性も。

あとは母乳は免疫力が高いみたいなことも聞きますが、それが確実に言えるのは最初の初乳だけなのでは?と思います。むしろミルクのほうが栄養が一定です。

また、母乳のメリットとして、母子が密着することで信頼関係が高まるということも聞きます。これは大いにあると思います。実際私は、余裕が出てからの授乳タイムは幸せなひと時だったし(長男のときの最初の頃はカオスすぎて苦い思い出)、愛情ホルモンのオキシトシンもたくさん分泌されたのではないかと。

じゃあ最初からミルクしか飲まずに育った子はお母さんと信頼関係を築けないのかというとそんなわけはありません。日本では、ここを履き違えて「母乳では信頼関係が高まるなら、ミルクでは信頼関係が高まらない」という謎の理論が出来上がっている気もします。

ミルク育児のメリット

わが子たちは、生後5か月ごろまで混合育児、それ以降は完全ミルクで育ちました。ミルクを飲んでいる期間のほうが長いので、私の思うミルク育児のメリットをざっくり紹介します。

栄養が常に一定

母乳の質は母の体調や日々の食事で摂取する栄養によって変わると思うのですが、ミルクでは成分表示通りの栄養素を常に与えることができます。

母が体調悪くても関係ない

自分が体調悪いときの授乳はキツかった思い出があります。自分のほうが栄養欲しいのに、赤子に吸い取られるとは。そういうときは無理しないでミルクを多めにあげるようにしていました。

これは友人から聞いたエピソードですが、体調を崩したので授乳中でも飲める薬があるのかと調べてみたところ、ある記事が出てきたそうなのですが、その記事の締めくくりに「体調を崩したときこそ、授乳という赤ちゃんとの幸せな時間で癒されてくださいね☆(ドヤッ)」みたいなことが書いてあったとのこと。友人は、このことについてライターを小一時間問い詰めたいと言っていました。笑

腹持ちが良い(気がする)

母乳だけよりも、ミルクを足した方が授乳と授乳の間隔が空きます(実証済み)。夜間も、わが子たちは生後3か月ごろから4~5時間空くようになりました。授乳って何気に時間取られるので、間隔が空くのはこっちが助かります。

母じゃなくてもあげられる

これは言わずもがなですが、母以外の人でもあげられます。母乳を冷凍することもできるようですが、私はやったことがありません(面倒だったから)。授乳期でも授乳の時間を気にせず預かってもらうことができます。

自分のおっぱいの心配をする必要がなくなる

これは完全ミルクに移行してからですが、今張ってるからあげないと・搾乳しないと、とか、たくさん栄養のあるものを食べないと・乳腺炎が心配なものは食べないようにしないと、などと食事の心配をすることもありません。

わが子たちの場合

うちの子たちは二人とも生後5カ月から完全ミルクで育っています。それまでは母乳とミルクの混合でした。最初は特に理由はなく、長男を出産した病院で何となく混合を勧められたからです。

授乳にもスタイルがあるなんて、初めての子育てにもかかわらず育児書を一つも読んだことがなかった私には、想像できない分野でした。私がそんなに(というか全く)こだわりがないのを察してか、助産師さんが「じゃあ混合でやってみましょうか」と言ったのでその通りにした、というのが正直なところです。

次男の時には、長男と同じ方法がやりやすいかなと思って最初から混合にしました。偶然にも、次男も5か月ごろには完全ミルクになっていたという感じです。

母乳拒否が発動した生後5か月

長男が生後5か月の頃、母乳をあげようとすると嫌がって泣くようになりました。最初はむせているのかなと思ったのですが、よくよく観察していると「おっぱいめんどくさい」という主張のようでした。俗にいう「乳頭混乱」ってやつです。

これは経験者ならわかると思うのですが、母乳の場合は赤子が吸い始めてから少し経たないと出てきません。吸う力も哺乳瓶に比べて強く吸わないと出ないそうです。

一方、哺乳瓶は吸えばすぐに出てきます。この微妙な違いで、赤ちゃんは「こっちはすぐに出ないし疲れるのにこっちはすぐ出て飲みやすいのなんで?」と混乱するのだとか。

長男は、完全にこれでした。哺乳瓶からは飲むのに、母乳は飲もうとしない。これに気付くまでは、なにがいけないのか全然分からなず、半ば強制的に母乳を飲ませようとしてしまったのですが、私が長男の気持ちを理解できてからは「そうか、あなたはめんどくさがりなのね」と思えるように。無理をせず、ミルクだけに切り替えました。

でも正直、最初はすごく悲しかったです。私のおっぱいの何がいけないの?どうして飲んでくれないの?と私のほうが混乱を起こしていました。長男の主張を分かったときには切なくなり、ギャン泣きしている長男と一緒に私もギャン泣き。

今となっては、あのとき完全ミルクに切り替えてよかったと思っています。ミルクのメリットをたくさん知ることができたし、世間での一般論に無理して付き合う必要がないという、今の私の育児を支えるポリシーのようなものも、ここで確立されたような気がします。

次男でも全く同じ現象が起きてもはや笑えた

次男は、長男よりも甘えん坊なので、何となく母乳を飲む期間がもっと長くなるのでは、と思っていました。でもふたを開けてみると、お兄ちゃんの真似をするかのように5か月ごろで乳頭混乱を発動。

長男ですでに経験している私は、強く拒否されるまで無理に母乳をあげようとせず、すぐに完全ミルクへの移行準備を始めました。

このときは寂しいとかは特になく、もはや笑えました。うちの子たち、とんだめんどくさがりのようです。

完全におっぱいを卒業した時には、今までお疲れ様、今日でお役御免。もはや戦友と化していた相棒に労いの言葉をかけていた私です。

自分に合った方法を信じること

どのような育て方をするのか、すべてのメリットデメリットを考えたうえで、「なぜそうするのか・したいのか?」という本質を見極め、自分なりの答えを出すことで、「他の人に何か言われようと自分はこのやり方で行く」と思うことができるはずです。

周りに左右されず、自分に合った方法を実行することで、ママの迷いや葛藤も減り、結果として赤ちゃんも安心することができます。

やっていく中で、やっぱり変えてみようかな、という臨機応変さも大切です。私の場合は「私の負担が一番少ないやり方」ということを軸としてきました。それに合ったやり方で、日々実践しながら育児を楽しんでいます。

100人居たら100通りのやり方がある。自分に合った方法を信じることです。

sayu

お読みいただきありがとうございます!近い将来、sayuの育児エッセイを出版したいと考えています。サポートしていただけると大変励みになります!!今後ともよろしくお願い致します♡