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『テツケン』発売に寄せて:書籍版のコンセプトとか

今日は待ちに待った『テツケン』発売日!!書籍化を告知してから、いや、書籍化が決まってからどれだけこの日を待ったことか…!

不安や緊張でお腹を痛めた時もありましたが、たくさんの人から温かい言葉をかけていただき、とっても励まされました。書籍化をきっかけに「ずっと好きだった」「影ながら応援していた」と言ってくださる方も多く(※エゴサした)、「作品を応援してくれている人がこんなにいたんだな……!」と実感できてよかったです。改めて、書籍化というかたちで皆さんの応援にこたえることができたことをとてもうれしく思います。

というわけで……

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焼肉じゃ~~~~~~~い!!!!!!!!!!!!

初の1人焼肉、満喫しました。「今日はお祝いだから好きなだけ食べるぞ~!!」と調子こいて肉を頼みまくり、いやこれまじ無限に食えるなとニコニコしていましたけど普通にお腹いっぱいになりました。胃袋、有限だったな。最初は贅沢して食べ放題に行こうかと思ったけど、食いしん坊の私といえども胃袋を過信するのは良くないと思いとどまっておいてよかった。正しい判断でしたね。


閑話休題。

告知の時にもチラッと触れましたが、書籍版はかなり古典の解釈研究にフォーカスした構成になっています。哲学の古典を自分で読み解いていく楽しさがどこにあるのかがなんとなくイメージできるようストーリーを再構成。本編読んで「私も古典にチャレンジしたいかも」と思った人をスムーズに沼に誘導できるようにコラムやカットの内容も考えました。古典解釈沼にはまりしオタクの必死の布教……!!届け……!!

そんなオタクの下心を抜きにしても、私は解釈を通して哲学していく研究スタイルが気に入っています。世の中では色々言われることもありますけども、解釈研究には解釈研究なりのいいところがありますし、自分の考えたいことを考えるにも役に立つと思うんですよね。どういう風に思想を深めていくかは人それぞれですけど、どうしたらいいか分からず悩んでいる人が『テツケン』読んで「こんな方法もあるのか!」と思ってくれればいいな~。

ていうか、純粋に私は解釈研究が好き!!性癖!!広まってほしい!!!本を通して他人の思想に触れて、「きっと相手が正しくて、自分の方が間違っているのだな」と可能な限り好意的に相手の話を受け取ろうと努力する、そういう解釈において求められる「聞く」姿勢、めちゃくちゃカッケーなって思うんですよ。私もそんな風に「聞ける」人になりたいと思うし、そこから相手の考えていることをより美しく再構成して、「あなたが言いたかったのはこういうことですよね?」と提示できるような人にすげー憧れる。ので、そういう意味での解釈の良さも随所に込めました。解釈~~好きじゃ~~~!!!

『テツケン』が読者の皆さんにどう受け止められるかはわかりませんけど、私としては「哲学研究」を描いた漫画を世に送り出すこと自体に意義があると思っています。ひとまず役目は果たせたんじゃないかと。哲学研究というか、解釈しながら古典を読み深めるという方法を知るひとつのきっかけとして、本書が役立っていけばよいなと思います。


それともうひとつ、書籍版の構成を決める時に考えていたことがあります。それは、この本を通して、哲学に興味がある人、哲学を楽しんでいる人、勉強を頑張っている人を少しでもハッピーにできればいいなってことです。

私、哲学を楽しんでいる人の存在がとても好きなのですよね。自分の考えたいことに真剣に向き合ってうんうん頭を悩ますのことに青春を感じてしまうのよねえ。だから、私が自分の慰めのためだけでなく、より多くの人に対して本を作るとしたら、哲学する人に対して「わかる、哲学楽しいよな」と言えるような本を作りたいと思ってました。原稿しんどくて無になってる時も、このこと思い出してヨシ…ガンバルか……となった思い出があります。

こういうこと考えるようになったのは、やっぱり同人版の『デンケン』に対してうれしい感想を何度もいただけたことが大きいですね。「かばねさんの本を読んで哲学科入りました!」「哲学楽しくなりました!」みたいなありがたいメッセージをいただけるたびに、「私の本が哲学を楽しむひとつのきっかけになってとてもよかった…光栄……」と感動しまくって、私のやりたいことってこれかもなって気持ちが固まってきたんですよね。デンケンを楽しんでくれたみんな、感想くれた人たち、本当にありがとう。書籍版も楽しんでくれるといいな………………!(不安)


私は、たとえどんなに小さなことでも、自分の考えたいことを真剣に考えるのはすばらしいことだと思います。私は疑問に真正面から向き合おうとしている人のことをカッコいいと思うし応援したいなと思ってます。

とはいえ、自分にとって何が大事で、何が問題なのか分からないこともありますよね。そんな時はもしかしたら、哲学の古典が力になってくれるかもしれません。少なくとも、私にとってキルケゴールはそういうものでした。私はキルケゴールを読んで自分がどんなことを考えたいか分かった気がしたし、自分で考えるだけでは見えない世界があるんだってめちゃくちゃ感動したんですよ…。そういう出会いが、もしかしたらみんなにもあるかもしれない………………まあ、ないかもしれないけど………………(しっくりくる古典を見つけるのメチャムズ問題があるので……)。ともあれ、困った時に話を聞いてもらう友人みたいに、古典に親しんでもいいんじゃないかなって思うわけです。

そうはいっても正直、古典を読むのは骨が折れますし、時間もめちゃかかります。人生のリソースは限られているので無理にとは言いません。でも、少しでも興味があるなら、古典を自分で開いて、立ち止まって、時間の許す限り、ゆっくり読んでみてほしいです。

ありがたいことに、哲学書はあらゆる読者に開かれています。研究者でなくても、哲学に詳しくなくても、外国語が出来なくても、自由に対話することが出来ます。それは、著作家が本を通して自らの思想を人々に開き、研究者が語り継ぎ、翻訳者が門戸を広げてくれたからです。そのおかげで、私たちは何百年、何千年も前の思想と出会うことが出来るし、そこに反射する自分の考えを見つめなおすことが出来るんですよ。めちゃくちゃすごいことだと思いませんか?!

私はそういう哲学研究の営みを、解釈という思想の交わりを喜びたい。できれば、共感してくれる人びとと共に。哲学を楽しもうと思っている人、思索を深めるために古典を訪ねる人を歓迎したい。自分の考えたいことを本気で考えようとしたことはきっとすばらしいことだと言いたい。そういう祈りを込めつつ、『テツケン』を描きました。色々至らないところもあるかもしれませんが、今の自分にできるだけのことはしたつもりです。

私の本が今後どうなっていくかはわかりませんけど、誰かが私の本を読んで考えることが楽しくなったり、ちょっとでもハッピーな気持ちになったらいいですねえ。この小さな本が、良き読者に出会えるように願っています。


………………はい!!!!

真面目な話終わり!!!!!!!!!!!!!


色々ゴチャゴチャ考えつつ書いてましたけど、オタクとしては普通に自分のお気に入りのキャラと自ジャンル(哲学)の良さが伝わればそれでよし!!!!!!!!!!!みんな!!!!!!好きなキャラがいたら教えてくれ!!!!!!感想もくれると嬉しい!!!!!なぜならオタクは人が自ジャンルの話してるのを見るのが好きだから!!!!!!

感想やファンアートは#テツケンをつけたり、作品名を入れてくれたりすると私が見つけやすいのでうれしい!!!!!!!急にいいね飛ばしても許してください!!!!!お祝いなんですから、ねえ?!!!!よろしくおねがいします!!!!

あ、感想を送ると原稿が送られている企画もやってるからよろしくな!!!!!!!!!!!

これからも『テツケン』並びに『デンケン』を、そして古典解釈沼でおぼれ続けるひとりのオタクのことをよろしく頼む!!!!!!!!!

頼んだぞ!!!!!!!!!!!!!

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