マシュマロのお返事:大学で哲学を勉強するとどんないいことがあるの~!
こんにちは。宇治かばねです。
最近『愛の思想史』を読んだんですけど、ギリシャのエロースとキリスト教のアガペーが時代と共に混ざり合ったり分離したりする様子がしっかりまとめられていてめちゃ面白かったです。細かい研究もいいけど、視野を広く持って知見を深めることも必要だわね…としみじみ思いました。
さて、またしても、割と真面目に答えた方がいいマシュマロをいただいたので、noteでお返事していきたいと思います!いただいたマロがこちら!
noteもツイートも漫画も楽しんでいただけて嬉しいですね~~!!今日のキルケゴールは大半が『セーレン・キェルケゴール伝』を借りて読んでた時の感想絵なので、内容的に気になる部分があればそっちの本もチェックしてみてください!(蛇足:著作名忘れてたけどちゃんと絵と一緒にメモを残していたので思い出せたぜ……ありがとう過去の私)
さて、本題です。大学に行って哲学を学ぶのがよいか、独学で自由に思索するのが良いのかという問題については、私自身いろいろと思うところがあるのですよねえ。とりあえず、大学および大学院に行ってよかったところをまとめようと思います。
①広範な情報を得ることができる
独学でも本や論文を読むことができますし、専門家とのコネクションがあればアカデミックのアレコレについて教えてもらうこともできるでしょう。そんな中で大学に行くとしては、自分の興味関心に直接かかわらない情報も広く得られるという点があげられるかと思います。単位のためにさまざまな授業に出るうちに、「当初は〇〇に興味があったけど、××も面白いな…」という感じで思索の幅が広がっていくというのは、ある程度受け身で情報を得られるがゆえのメリットではないでしょうか。独学は通販で目当ての本を探して買うような感じで、大学は図書館でぷら~っと本を探すようなイメージです。もちろん、大学も積極的に学ぼうと行動した方が得られる情報は増えますが、身を置いているだけでなんとなく情報が入ってくるというのは割とアドバンテージになるんじゃないかと思います。
私は大学院にいるわけですが、授業がなくなって家で黙々と研究をしていると、まあ環境的にはほぼ独学(?)みたいな状態になるんですよね。それはそれで気楽でよい反面、目先の研究に関わる情報を優先的に仕入れるようになるので、徐々に煮詰まってくるときがあるのです。そういう時に、外部の研究会や勉強会に行くと、参加するだけで刺激があって、意外と研究が進むということがあって。学部時代を思い出すと、単位のために出た授業でいろいろ見聞きしたのが楽しかったなとか、そういうのって絶対自分からはアクセスしなかった情報だなとか思うので、アイデアを膨らませていろいろ視点から物事を考える環境としては大学(というか専門の授業がある場)って大事だな~と思いました。
②研究仲間が増える、視野が広がる
問題が煮詰まった時、思考が凝り固まった時、超長くてムズい本に挫折しそうになった時、必要なのは一緒に語り合い哲学してくれる仲間です!!!もちろん、インターネットのコネクションや哲学カフェなどを通じて専門家との交友を深めるというのも手ですが、「大学に行けば間違いなく哲学をやっている同志がいる」というのはメリットかなと思います。
私が哲学沼に落ちたのは、授業の内容を楽しく語り合ってくれる先輩がいたからですし、院試の勉強頑張れたのは、同輩たちが勉強会を開いてくれたからですし、研究に関係ないけど読んだ方がいい長い本を読めたのは、読書会に付き合ってくれる後輩がいたからです。ほかにも、研究会の先輩に論文を見てもらったり、相談に乗ってもらったり……、持つべき者は優しい先輩・同輩・後輩だとしみじみ感じる日々です。専門が違っても、読書会を通していろいろと語り合うことで「そういう考えもあるのか~!」と視野が広がったり、「ここは〇〇的にはどうなの?」と解説や意見をもらうこともできたりと、思索の幅を広げることにもつながります。哲学研究は究極的には己との闘いになりますが、その過程でいろんな人の視点を取り込む機会を得られる大学という場所は大事だなと思います。
③半強制的にアウトプットさせられる
独学との決定的な違い、それは修了するために論文を書かねばならないということです。これは人によってはデメリットになるかもしれませんが、私は大学のいいところだと感じています。いろいろな本を読んだり、講座を聞いたりして、自由に思索を広げるのはとても楽しいけれど、いざそれを何らかの形でアウトプットしようと思うとめちゃくちゃしんどいですよね。少なくとも私はそうです。アウトプットの腰が重い、時間がないのを言い訳にしたインプットしっぱなしにしてしまうという人にとっては、大学に入って論文かかなきゃ出られません状態に身を置くのが効果的なのではないかと思います。
論文を書くのいいところは、自分が何を理解できていないかが整理されるところです。インプットしただけだとなんとな~く分かったつもりになっているところが、いざ問いを立てて論を組み立てて……となると一気にわからなくなることがしばしばあります。ですが、そうした自分の「わからなさ」に向き合って、論文にまとめていくことで、思索がより深まり、自分のものになっていくのだと思います。
④じっくり時間を取って考えたいだけなら大学に行く必要はない
これは持論なのですが……、考えるための「時間」が欲しいだけなら大学に行くメリットはあまりないです。なぜなら大学は金がかかるし、授業や論文というタスクが発生するため「自由に」考えられる時間は言うほどないからです。マジで時間がとりたいだけなら、大学に行かずにふつうに休職して、独学に専念した方がコスパいいんじゃないかと私は思います。とりわけ大学院に関してはそうです。私は「じっくり哲学研究する時間が取りたい!!!」と思って大学院に行ったのですが、なんか結局家で黙々とやっている時間が多くて「おや……?」となったりしました。特に今、コロナだしね……。入ったところで、入館できないとかありそうだしね……。
上にあげた3つのメリット、特に③を重視するなら大学に行く意義は大いにあると思います。①と②は頑張れば自力で得られるものではあるのでね。論文を書いて思索を深める時にこそ、休職して時間を取るだけでは得られない経験があるのではと思います。
以上、私の考える大学・大学院のいいところでした。他にも、大学のサービスや授業の充実度によってメリット・デメリットいろいろ変わってくるかと思いますが、私の経験に照らしてみると、やっぱり論文書かねばならんところ=なんらかの成果が出るところが一番いいんじゃないかと思います。私は卒論は青春だと思っているオタク……!!学部の卒論はなんというか……「自由」なんだ……!!!(※卒論の出来はさして良くなかったが書くのはなんやかんや楽しかったためこう思い込んでいる)
いずれにしても「哲学にじっくり向き合いたい!」という姿勢はめちゃくちゃイイね~~~!!と思うので、応援しております!!大学でも独学でも、自分の考えたいことを全力で考えるという体験、ゼッテー人生を豊かにするぜと思っている哲学オタクなのでね…!!これからもがんばってください!!そして拙作が研究につかれた時のお供になってくれたらとってもうれし~~です。
そんなこんなで、マロはいつでも受付中です。拙作の感想、哲学でハッピ~になった話とか送ってくれると私もにこやかになります。私は哲学頑張っている人好きだし応援したいので、お悩み相談的なのにもできる範囲で対応していく所存です。いうて、私はいただいた話題に対して自分なりの考えをまとめているだけなので、そんなこともあるんだね~程度にお聞きいただければ幸いです。これからもよろしく~!!
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