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【毎日note382日目】熱量と努力とどっちも。

アメブロの読書ブログの方に長々と感想を書いたのですが、先日、「芸術界の東大」と名高い、「東京藝大」に潜入した大人気ノンフィクション『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社)を読みました。

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本作は、現役藝大生で、彫刻科に通う妻がとにかく面白いーー! と、上野駅近くにある「東京藝大」に取材に行った作家の二宮敦人さんのノンフィクションです。

もうね、「美校」と「音校」の2つがあるこの大学に入るのは、幼い頃からの努力や才能、また自分だけでなく、両親の多大な協力も必須で、全国各地から凄まじい猛者たちが通う大学なんだなと痛感しました。


もちろん入学してからも、壮絶な勉強やらコンクールやらレッスンやらと色々あり、厳しい日々が待ち受けています。


また、それだけではなく、普段から楽器に合わせて身体を変えたり、腫れ上がるとホルンが吹けなくなるから…という理由で、親不知を抜くのを我慢したり。

本番ではドレスにハイヒールで演奏するから…と、体を慣らすために、普段からハイヒールで移動したり…といった、練習以外の(練習は言わずもがなすごい量でした)努力も次々と明るみになっていきます。



でも、とても驚いたのは、美校の生徒も音校の生徒も、「執念と言うべきものづくりへの想い」があったことです。

芸術に対する愛がめちゃくちゃ深いように思えて仕方がなかったのです。


中でも、指揮科3年生の生徒の方のお話は印象に残りました。


指揮者って、普段何しているか私は全然知らなかったのですが、実は地味で大変な作業を、本番前にめちゃくちゃこなさなければならないのだそうです。

まずは、全部の楽器のパートを頭に入れる!(曲にもよるが、オーケストラならパート数が20を超え、交響曲ならその長さは1時間にもなるそう…:( ;´꒳`;)


楽譜を暗記して耳にも覚え込ませたら、この曲をどんな風に演奏したいかイメージを高める。



そのためには、曲の背景を知らなければならないから、当時の社会や作曲家がどんな人なのか、どんな気持ちだったのか、とにかく論文を読み込み勉強するそうです…!


それからその作曲家の他の楽譜も読み込み、曲作りの癖なども知る。


ーー何度も何度も頭の中でシミュレーションを重ねるそうで、指揮棒を振る時間より、頭の中で音楽を鳴らしている時間が多いとありました。

「楽譜どおりに演奏するだけではダメなんです。作曲家の込めたものを汲み取らないと、曲の魅力は引き出せません」


そんな言葉に、私は勝手に大いに反省しました。



私の仕事は、書評を書くことが多いのですが、決められた期間に担当する作品はひとつとはいえ、その裏側…著者の他の作品や、その分野のルール、作品を愛するファンたちの思いや、作品の時代背景などを知らないと、レビューが難しいと感じることも多いのです。


でも、全部完璧に出来ているか!? と問われれば、出来ていないことも多い( ̄▽ ̄;)


ですがそれは、締切までの期間が短いから…とか、そんな理由だけではないことも多いのです。


だって、普段から興味を持って、自分が担当しそうな作品について、あらかじめ学んでおけば良いのですから。


読んで下さる方に楽しんでもらうためには、知識や努力など、裏側の努力も絶対に必要。それが原稿ではたった1行で表されようとも、努力を怠ると、薄っぺらい文章になってしまいます。


本作を読んで、私、彼らのように努力したかな? と、何だか恥ずかしくなったし、努力と熱い思いがあってこそ、お客さんに確かに伝わるものがあるのだな…と思いました。


本当に本当に深く芸術を愛していて、中には楽しんで最前線を走っていく生徒もいて、凄まじい努力プラス、ユニークな心と芸術を愛する心を合わせ持って、お客さんに作品を届けるから、芸術に詳しくない私でも、音楽や美術で涙を流すことがあるのだなあ…と思いました。



ーーー今年は不思議と、年明け早々「学ぶ」必要性を感じさせられる作品にばかり出会います。

もう、本の方が私に「薄っぺらい文章を書くな」「世の中のことをもっと知るべき!!」と発破をかけて来ているようです💦( ̄▽ ̄;)

オードリー若林さんの『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(文春文庫)から始まり、物江潤さんの『空気が支配する国』(新潮新書)、そして本作の『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(新潮社) 。

本からしっかり吸収して、現実社会に向き合っていきたいなと思いました。

そして、圧倒的な読書量の少なさも痛感する今日この頃なので、去年よりもっとたくさんの本と向き合って行こうと思います。


さゆ

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