だから辛くなってゆく

帰りの電車で、

６つ年上の彼から貰った紙袋を開けてみた。

中には小さな箱がひとつ。

チョコレートの詰め合わせが入っていた。

フランスといえば、チョコレート。

彼から御馳走になってばかりなのに

お土産を貰うとは予想外だった。

家に着くと、彼からメールが届いていた。

無事に着いたかどうか、

楽しかったの決まり文句

そして、その後に続くメッセージ

『もしかして、

　　もう過ぎてしまったかもしれないけれど

　　　　お誕生日おめでとう』

私は誕生日を翌週に控えていた。

そういえば、

最初の公園デートの時、話の流れで

お誕生日月を聞かれたことを思い出した。

ヨーロッパのクリスマスの話から始まり、

クリスマス前週がお誕生日の彼は、

子供の頃にプレゼントを連続で貰えたのが

すごく嬉しかったって

笑顔で話していた

こんな話の流れから、

私の誕生日は何月か聞かれたんだっけ。

プレゼント慣れしている人達からしてみれば、

なんだ、チョコか。あ、そう。

その程度の小さな出来事かもしれない。

小悪魔女子は正直な感想は決して見せずに、

とびっきりの笑顔でお礼を言うのだ

でも、恋愛経験下手な私にとっては

こういうのは全く予期せぬサプライズで、

私は完全に心を掴まれてしまった。

だからこそ、

私の恋愛は辛くなってゆく。

この時点で私は完全に舞い上がっていた。