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10、輪郭を確認する服、なぜ人は服を着るのか

私たちは自分の体のほとんどの箇所を見た事がない。例えば背中。鏡ごしに見た事があってもそれを直接見た人はいないだろう。私たちは自分自身の体に対して、とても曖昧なイメージだけで生きている。

服を着るとその擦れ具合によって自分の体の輪郭を確認する事ができる。

服を着ると、身体を動かすたびに皮膚が布地に擦れる。身体の動きとともに、身体表面のそこかしこで身体と衣料との接触が起こるのだ。その接触感が、ふだんはじかに見えない身体のあやふやな輪郭を、くっきりと浮き立たせてくれるのだ。  鷲田清一「ちぐはぐな身体 ファッションって何?」より

この感覚はよくわからない自分自身の輪郭をはっきりさせ、どんなものか、自分がどんな状態であるかがわかるため、心に安心を与えてくれる。

心を温め、精神を安定させてくれるのである。

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