見出し画像

佐々木莉佳子ちゃん

2012年、SCK GIRLS(昔はSCK45だったかな)という気仙沼のローカルアイドルグループで、初めて佐々木莉佳子ちゃんを見た。身長は小さいけれどパワフルなダンスでセンターに立つ、ひときわ元気な女の子。震災の雰囲気がまだはっきりと残る街の、復興商店街の小さなステージで、彼女たちは元気よく歌って踊っていた。その姿はいつも明るくてまっすぐで、前だけを向いている感じがした。街はまだまだ暗くて瓦礫も残っていたけれど、南町のcadoccoで練習している姿も、よく見かけてた。

そんな莉佳子ちゃんは、2013年にハロープロジェクトのハロプロ研修生となり、「スマイレージ」が「アンジュルム」と改名するタイミングでグループに選出されてデビュー。加入直後のシングル曲「大器晩成」は、莉佳子ちゃんがセンターで、私は全く関係ないのに、家族のことのように嬉しかったのを覚えている。

ハロプロのルール上なのか、莉佳子ちゃんは「宮城出身」とは言っても、公に「気仙沼出身」ということはあまり語られてこなかった気がする。県境の気仙沼は、あんまり「宮城」という意識がない地域でもあるので、余計に違和感があった。

 2021年3月、震災10年のタイミングで、初めて気仙沼やSCKのことを語っている莉佳子ちゃんをテレビで見た。これまで、莉佳子ちゃんもSCKも「震災」という色眼鏡で見られてしまうことはあったと思う。はっきり言っておきたいのは、SCKGIRLSの活動はボランティアで、実際にステージ上の彼女たちから伝わってくるのは、歌や踊りが大好きな子たちが、楽しくて一生懸命やっているという熱量だけだということ。莉佳子ちゃんが長らく気仙沼のことを語らなかったのは、ハロプロのルールやプライバシー保護の面もあったかもしれないが、彼女は「被災地出身」というプロフィールなしで、自分のパフォーマンスで勝負したかったのではないだろうか。結果として、莉佳子ちゃんはハロプロ加入当初からダンスが注目されていて、今やハロプロ全体でもトップクラスのパフォーマーになった。

 震災とか、被災とか、そういうこと関係なしに、ただただ大好きな曲を歌って踊って、アイドルを全うして、客席を笑顔にしている彼女たちは本当に素晴らしいと思う。昔も今も、変わらない彼女たちから、私はずっと元気と明るさを分けてもらっている。

私は今日も、アイドルが好きでよかった。また気仙沼のことを話してくれたら嬉しいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?