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スーツ・ジャケパン考察 ロジック編


以前の記事でも書きましたが、一番機械的に服を選べるのがこのカテゴリです。リモートワークなどの影響でスーツを着る機会は激減していますから、ニーズは低いと感じますが、男性が1番かっこよく見えるのは結局スーツ姿です。

ルールを守る必要性は低い

スーツのスタイルはそれなりに制約やルールが存在は事実ですし、原理主義的にスーツを嗜む方も一定います。例えば、スーツを着るときにローファーを履くのはNGという人がいます。その方たちはファッションに対して特別な思い入れを持たれている方です。

日本のビジネスシーンでスーツやジャケパンを着る場合、トップエグゼクティブであったりアンダーステイトメントを厳しく要求される業種でない限りは、頑なにルールを守る必要は薄いと感じます。それよりも、同僚や取引先の方に「素敵な柄のネクタイですね」「靴がキレイですね」などコメントをもらえることの方が嬉しいものです。

特に靴選びに関しては、私はここ数年、スーツ姿でも内羽根の靴を履くことはほとんどありません。外羽根の靴やローファーの方がジャケパンやカジュアルにも合わせやすく汎用性が高いですし、モノ選びの選択肢も格段に増えます。

あなたが「誰」に褒められたいかによって、ある程度こだわりの方向性を調整する必要がありますが、少なくとも私はスーツや靴にうるさい玄人のオッサンに認められたいとは全く思わないので、その人たちが好むような格好はしないよう努めています。

何が重要か

スーツやジャケパンの場合、特別な思い入れがない限りは、私の経験上、他人から見て評価が変わる点は以下の3点に集約されます。

①スーツは自分に合ったサイズであるか
②Vゾーンは気が利いているか
③素材感の合わせ(ツルツル・ザラザラ)

①スーツは自分に合ったサイズであるか

①については、ファッション雑誌やネットの記事でかなり詳細に書かれているものが多いため、この記事では深く語りませんが、ここでお伝えしたいことは、『オーダー』という言葉に惑わされないということです。
オーダー、なんか良い響きですよね。自分に合ったスーツが手に入りそうな…。ですが、あまり服が詳しくない方が手頃な値段でイージーオーダーやパターンオーダーをしても「こんなもんか」で終わることが大半です。

イージーオーダーやパターンオーダーでは、生地やボタンを選択肢の中から選べる程度です。また、生地のスワッチ(10cm四方程度の布の切れ端)からスーツの全体像をイメージすることは本人が思っている以上に難しいです。肝心のフィッティングに関しては、展開しているサイズを試着して着丈や身幅を補正する程度で、やっていることは吊るし(既成)のスーツとほとんど同じです。

むしろ、既成のスーツを試着して着丈や身幅を調整する方が、身体に合うスーツを手に入れることが容易に感じます。わざわざ(イージー、パターン)オーダーしなくとも、サイズ展開の多い店でスタッフとフィッティング(補正)をおこなえば良いのです。

②Vゾーンは気が利いているか

②に関しては、いわゆるオシャレで追求するVゾーンと、ビジネスシーンの制約の中で「この人なんかシャレてるな」と思わせるベクトルは全く違うということです。手っ取り早く気が利いたVゾーンを作る方法は

①白シャツを着ない
②ネクタイ選びを工夫する

です。日本人の多くは紺無地のスーツに白無地のシャツを着ますが、白シャツに合うネクタイは実はあまり多くありません。サックスブルーの無地や、紺のロンドンストライプの方がネクタイとの色馴染みが良く、合わせやすいネクタイの色柄も格段に増えます。

スーツもシャツも靴も、基本的には選択肢はそれほど多くないですし、定番のアイテムも固定化されています。特にロジカルな方は、モノ選びにそこまでの苦労はないと思いますが、ことネクタイに関しては、店に行くと随分と色や柄の選択肢が増え、他のアイテムとモノ選びのロジックが全く異なることが苦手意識を増幅させるのだと感じます。

過去さまざまなネクタイの柄を自分で買ってみましたが、男性からも女性からも一番ウケが良く、色合わせも簡単なのは、上のツイートで着用している「段落ち」と呼ばれる、ストライプの柄が太く等間隔であるネクタイです。

若い方は特に似合いますが、30~40代の方も特に問題ないです。このカテゴリのファッションにあまり深入りしたくない方は、無地のネクタイ(紺・茶・黒のニットタイ)以外はこの柄だけ持っていれば充分ではないかと思います(自分はそうしています)

段落ちのネクタイを選ぶときは「ちょっと太いな」と思うくらいストライプの幅が太いものを選ぶのがコツです。ストライプの幅が狭い段落ちは、スーツと合わせた時に違和感があり幼さを感じさせます。色はスーツやシャツの色を拾いやすい紺、青、グレー、茶あたりを使った色めが合わせやすいです。

③素材感の合わせ(ツルツル・ザラザラ)

③に関しては、言葉にするのが難しい抽象的な部分ではありますが、避けて通れないです。ツルツルした素材感というのは、シルクをイメージすると分かりやすいですが、スベリの良い素材で艶感の強いものになります。ザラザラした素材というのは、ツイードのような素材が代表的です。

この概念は「ツルツルかザラザラか」の二極ではなく度合いの問題のため、全ての素材をどちらかに振り分けるのは難しいですが、スーツ・シャツ・ネクタイを組み合わせるときは、ツルツルなのか、ザラザラなのか、なるべくどちらかに寄せた方が全体の雰囲気がまとまりやすいということです。

このあたりは慣れの問題もありますし、ツルツルかザラザラか、あまりに偏り過ぎてもカッコよくはないため、経験で補うしかありません。最初はお店のスタッフからアドバイスを受けて、素直に着こなして体感していくのが近道かと感じます。

その他

スーツやジャケパンのスタイルを行うにあたり、注意したい点を以下にまとめます。

1,裾のクッションについて
スラックスの裾がダボダボな方はだいぶ減りましたが、いまだに多一定数いるのも事実です。靴に触れるか触れないかくらいの丈が無難でしょう。店選びを間違えなければこのようなことにはならないのですが、もう少し突っ込んでアドバイスをするならば「スーツを買いに行くときは、スーツ姿でお店に行く」に尽きます。当然、靴もスーツの時に履いている靴です。

ネクタイ選びも同様で、スーツではない格好でネクタイを見に行って選んでも失敗する確率が上がります。イメージが湧くようにとシャツとジャケットを用意してくれるお店もありますが、ネクタイはシャツの色や自分の肌との馴染みが重要です。スーツ姿でお店に行き、鏡の前でネクタイを合わせるのが一番ミスの少ない買い方です。

2,ベルトと名刺入れは買い替える機会がない
革小物でも、靴と鞄以外のモノはほとんど劣化しないため、一度買うと普通に使っていれば10年は持ちます。逆に言えば、適当に買ってしまっても経年劣化での買い替えタイミングがこないため、妥協で使い続けることになります。特にベルトは、男性が時計以外で唯一、金属面が露出するアイテムとなるので、バックルの仕上がりがコーディネート全体に与える印象は本人が思っている以上に強いです。
結論、ベルトはお金をかけましょう。また、やみくもにブランド物を買うのではなく、バックルの仕上げの美しいもの買いたいところです。クセがなく仕上げの良いバックルはホワイトハウスコックスやエッティンガーあたりです。

名刺入れも、基本的に鞄か胸ポケットに入っているため劣化がないです。こちらは、昇進のタイミングなどで名刺に記載する役職が変わった際に、名刺入れを良いものに買い替えるなどすると良いと感じます。ベルトで値段が分かる人は少ないですが、名刺入れは多少でもブランドなどが分かる情報が多いため、上位職より自分の方が良いものを使っていると嫌味に感じる上司もいますので。

3,靴は、その他のコーディネートでも履きたいものにするかどうか
ここに関しては、業種職種に大きく左右されます。例えば外回りの営業の方は、どこまでいっても消耗品としての側面が大きく、高価格帯の革靴を買うことが賢い選択ではない場合があります。その場合は無理をせず、1~2年で買い替えることを前提に選ぶことが良いと思います。お安めの価格帯で割と使いやすい靴は以下のツイートのツリーを見てみてください。

内勤が多く、カジュアルなファッションでも履ける革靴を履きたいのであれば、経験上、予算を上げて5~10万円くらいの値段のモノから選ぶ方が良いです。くどいですが、内羽根の靴を無理に選ぶ必要性は薄いです。職種業種によりますが、ジャケパンやカジュアルの時も履ける外羽根のものやローファーを選択肢に入れた方がQOLが上がります。

4,スーツのジャケットを、ジャケパンの時に流用しない
定期的に質問をいただくのですが、スーツの組上(ジャケット)をジャケパンの時に流用しない方が良いです。スーツはツルツルした素材のものが多く、同素材のパンツでないとチグハグした印象を与えるものが多いです。また、スーツの組上は着丈も少し長いため、バラして着ると若干野暮ったくなります。

紺無地のスーツは紺のブレザーにもなりうるかと言えば、ならないのです。言葉で伝えるのは難しいのですが。最初は紺無地のアウトポケットのジャケットを別途買いましょう。

5,ジャケパンの際のパンツ選び
基本的にグレーのスラックスがあれば充分です。グレーと一口に言っても濃いめから薄めまで3色くらいに分かれます。日本人の肌の色であればチャコールグレーなど少し濃いめのグレーの方が合わせやすいです。

日本の職場、特にデスクワークですと椅子に座る立つの動作が多いのもあり、あまり高価格帯のスラックスを買っても長持ちしません。また、子どもの送り迎えなどで電動自転車に乗って最寄り駅まで通勤する男性も多いですが、その生活スタイルではインコテックスやPT01など3万円以上するスラックスを履くのはもはや非現実的でしょう。

結論、ユニクロで買いましょう。シルエットは若干太いですが、ストレッチが効いて動きやすく、買い替えの際も懐が痛みません。

まとめ

最低限揃えるアイテムは以下の通りです。

スーツ:紺、グレーの無地を1着ずつ
ジャケット:紺の無地を1着
シャツ:白無地、サックスブルー無地、白×紺のロンドンストライプを1枚ずつ
スラックス:グレー無地を1本
ネクタイ:紺無地、茶無地、黒のニットタイ、段落ちを1本ずつ
靴:職種による。オフィスカジュアルの際も履くのであれば、前の記事を参照ください。

スーツやシャツ、ベルトなどでどこのブランドが良いかは、得に新社会人などお若い方は下記のツイートのツリーを参考にしてみてください。スーツやジャケパン姿に特段の思い入れがない30代の方でも、特に問題ないブランドの選択をしているつもりです。

いろいろな用語の解説や説明を省いて書いてしまったので、分からないことがあればツイッターでリプいただくか、マシュマロでご質問いただければ回答いたします。あくまでスーツのファッションに思い入れのない方向けに書いています。お好きな方が読んだら物足りなかったり言及したいこともあるかもしれませんが、ご容赦ください。

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