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この仕事やっててよかった

さよりんです。
横浜で小さなピアノ教室をやっています。

「この仕事やっててよかったなー」
って思うことありますか?唐突にすみません。

正直に言うと、私はそんなにないんです。普段は。
生徒さんが大勢いて、皆でコンクールなどにも挑戦して…みたいな、立派なお教室の先生ならば、ドラマチックなこともたくさん起こるのでしょうけれど、うちは丘の上の小さな教室で、生徒も講師もゆるゆる楽しく♪がモットーなもので。
もちろん全く無いわけじゃないけれど、いかんせん案件数が少ない。

そんな日常の中に、特大の「やっててよかった」が訪れましたよ!!
今回はそんなお話です。

我が家が住まう横浜のこの地域は、中学受験が盛んです。小学6年生の半数近くが受験をし、自分に合う私立中学へ入学していきます。
私がピアノを教えてきた、ある女の子の生徒さん(Aちゃん、とします)も、受験勉強のため、5年生の夏でもって一旦休会となりました。

幼少期から家族ぐるみで仲良くしているお宅なので、休会期間中の今も、ママとLINEで近況報告などし合っています。

中学受験は、子も親もとても大変です。
Aちゃんも、色々悩んだり、体の不調が続いたりと、心身共に苦しそうな様子をママから聞くことが増えて、ずっと心配していました。

ある日、「最近またピアノをポロポロと弾きだしてね〜気持ちが落ち着くみたいで。今度気分転換がてら単発レッスン入れさせてね!」という報告があり、あ〜よかったな♪と思いました。それがたしか夏休み前。

夏休みはあっという間に過ぎて…昨日。
ママから、ママのお父様(Aちゃんのおじいちゃん)が亡くなられたと報告がありました。

ご葬儀は、無宗教の「音楽葬」で執り行われたそうで、シンセサイザー奏者が故人の愛した演歌などを弾く中、参列者とお別れする、というスタイルだったそうです。

Aちゃんは特別に許可をもらい、おじいちゃんに捧げたいと、その場で演奏をしたのだそうです。
4年生の時の発表会で、私と一緒に頑張って仕上げた曲、休会中に自力で弾けるようになった曲。
おじいちゃんに届いたに違いありません。親戚の皆さんもとてもとても褒めて下さったそうです。

このお話を聞いて、改めて音楽の持つ力を感じました。言霊ならぬ、音霊とでもいいましょうか。空にも心にも届く言語のようなものを教えているのだという誇りと、同時に責任も感じました。

この仕事やっててよかったなー
心からそう思えた出来事でした。