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往復書簡・ゆのみのゆ 八通目

よしのちゃんへ

こんにちは、ご無沙汰しています。

ついに新年度が始まってしまいました。よしのちゃんは休学ですね、実りの多い一年となりますように。

わたしは晴れて社会人になりましたが、これから身を置く組織に10月から通ってそれなりの修羅場を通ったので澄んだ瞳で出社する新社会人にはなれませんでした。そもそもみんな自宅からオンラインですし……。

というわけで、気持ちの上では2~4月が学生から社会人への移行期間になりそうです。午前中起きるようにはなりましたが、相変わらず映画を観たり本を読んだりしています。

そう、よしのちゃんの指導教授は赤坂さんになる予定なのですね。性食考を2月に買っていました。積んでいますが、友達の指導教授の本ということで、積読消化の順位がぐいっと上がりました。読んだらご報告します。

お勉強にすごく真摯に向き合うよしのちゃんの姿勢、ほんとうに尊敬しています。お勉強した内容についてもときどき共有してくれたらうれしいです。がんばっているひとのがんばっている話を聞くのがすごく好きなので。

リクエストされた児童相談所とか死刑についての本はまだ知識が浅いのでそのうち紹介させてください。ざっくりいうと社会からこぼれおちる人に興味があって、そのあたりについてはこれからもっと向き合っていきたいし、苦しんでいるひとびとの救いになれるようななにかができないかとも考えています。というのも、わたし自身が高校を中退して高卒認定を経て慶應に入ったのですが、一度踏み外したのに元のレールに戻れた理由として生まれた家が貧しくなかったこともあって、社会からこぼれ落ちなかったのは運がよかっただけだと感じているからです。あれ、これ前にも書いたかな。書いていたらごめんなさい。強い気持ち(・強い愛)です。

代わりに最近観たアニメの紹介をひとつ。3月は映像作品強化月間として30本くらい映画を観てアニメを4作品くらい完走したのですが、湯浅政明さんの『カイバ』という作品がすごくよかったです。

湯浅政明さんはヨーロッパ企画のかたが脚本で『夜は短し歩けよ乙女』などを手がけられているのでご存じかと期待しますが、彼のごく初期の作品です。TVシリーズ2本めかな。

記憶と肉体を分離できるようになって、お金持ちだけが新しい肉体に記憶を移し替えて思うように生きられる世界で記憶を失った主人公が旅をするお話です、要約すると。

貧しいから幸せとも貧しいから不幸だとも言い切らない解釈の幅のある脚本が手塚治虫のような丸みのあるかわいらしいキャラクターに載せられて出てくるので、きれいさをたのしみつつ思考を走らせることができて好きな作品でした。音楽もよかったです。夜観ると眠ってしまうかも。

今回はこのへんで。ではまた。


香央さんへ

こんにちは、溝口健二作品は実はまだ全然観ていないのでなにもいえないのですが、大島渚作品は苦手なのですね。大島渚監督と言えば愛人の局部を切り落とした女性・阿部定を描く『愛のコリーダ』でおなじみですが、わたしは阿部定を事件発生直後に作品にした織田作之助の『妖婦』が好きです。織田作之助は戦時中の暮らしを素直に書いていて好きなんですよね。林芙美子もわりと好きなので。彼女がよくサインするときに書いていたという「花の命は短くて苦しきことのみおおかりき」の歌はなんとなくいつも頭のすこし後ろらへんにあります。女性として同意しているわけではないですが、ね。

さて、すっかり春になってしまったので春服のお話をします。

15歳くらいから17歳くらいまでは基本的にずっとサブカルの服を着ていたのですが、18歳くらいからお嬢っぽい服を着るのが好きになって、大学4年間はサブカルとお嬢の服が半々くらいでした。

最近は質のよい服を長く着たいフェーズに入ったのでミナペルホネンやritsuko karitaが憧れの的ですが、まだ買えないのでシンプルな服に明るい色を合わせたり、フリルのブラウスを着て甘さを足すことが多いです。

今季ははじめて特定のブランドの受注会で事前にオーダーしていた服を受け取りました。nagisaというまだローンチされて1年くらいのブランドのアイテムなのですが、明るい黄色の透け感のあるニットで、たっぷりの袖をギャザーで絞ってギャザーの縫い目にバングルのように同じ布の帯を重ねたデザインがほんのり甘くてかわいいです。

花柄のレースの上にヒマワリをプリントした同色のサーキュラースカートに合わせてお出かけ用にもできますし、紺色のベイカーパンツとスニーカーを合わせて普段にさらっと着ることもできます。

あと、去年の夏に買った服ですが、インテリアのIDEEがやっているPOOL いろいろの服というレーベルのミントグリーンのアトリエコートもお気に入りです。IDEEは数年前に無印の傘下に入ったので、POOLは無印の服を作る際に余った布を再利用して服を作っています。ミナペルホネンのデザイナーの皆川明さんがクリエイティブディレクターとして関わっていらっしゃるので、ジェンダーや年齢を問わず着られる丈やデザインなのがいいです。

薄手のリネンなので春と秋に羽織るのがメインですが、明るい色なので夏に冷房対策で持っていても暑苦しくならなくて好きです。

去年のアーカイブセールで買いましたが、発表当時のルックでおじいさんが着ていた写真がすごく素敵なので引用します(写真にリンクを貼っています、略式で失礼)。

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お洋服、無限にほしくなって困っちゃいますね。すてきなお洋服を着こなせるすてきなおとなになりたいものです。


今回はこのあたりで、みなさんごきげんよう。


雨季

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