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5.リハーサルに関して

そして3日目、遂に修太と美鈴のリハ日。
私は一番、実は悩んでいた。美鈴の持つ母性と光をどこまで
放出させるかを悩んでいた。
リハが進んでも悩んでいた、はっきりとさせたくない反面
はっきりとさせないといけない存在の美鈴。
リハを続けながら徐々に答えが見えてきた、それは向き。
向かい方だ。人と人は必ずしも正面を向いてずっと話さない。
その表現をしてみようと思った。
横並び、もしくわ斜め、あるいわ後ろ向きとあらゆる向きで
2人の関係地を作った。その事は映画を見てもらって答え合わせしてもらう
事にする、何故ならまだ正解なのかが分かってないからだ。
相当な拘りだが、一方で危険な手法かもしれないからだ。
そこは観てくれた皆さんに答えを聞きたいと思う。

倉庫のシーン

最終日、最後は修太と倉庫の面々、修太の本当の家族、そして中学時代の面々が揃った。
大きな難関は倉庫でのアクションシーンと母・麻由美とのシーンだった。
アクションは危険を伴うし、私は数えるほどの演出経験しかないので
川連さんに頼った、いつも川連さんは演出側に寄り添ってくれるので
信用している。そしてここでも川連さんに助けられた。
脚本にある一つのアクションが修太はしないんじゃないか?そう川連さんは
私に投げかけた、正解だった。これもネタにとっておくとする。
こんなに赤裸々に語ってもいいのかドキドキするからこの辺でこのくだりは止めておく。
アクションシーンを演出していると池津さんと
細山田さんが入られた
まず細山田さんは何度かオーディションにも来てもらっていて
いつか絶対に一緒に作品を作りたいと思っていた俳優さんだった。
そして池津さんは前にも触れたが、ドラマなどを多数見ていて
候補で名前が挙がった瞬間に返事していた俳優
さんだった。
その2人が姉弟とは贅沢の極み。
そしてそれはリハでも溢れ出ていた。池津さんの圧倒的な存在感、
細山田さんの安心感。どちらもこの映画の核になる部分なので
演出しながらどんどん高まっていった。
池津さんの祥子は個人的にどはまりだった、あんなにも少ないシーンでこんなにも豊かに演じ分けられるなんて
さすが池津さんだなと演出しながら勉強になった。

明生と修太

修太のカタチを作った二人なので細かいディテールに拘った。
覚えているのは明生が言う「早く抜け出せよ、こんなとこ」というセリフの
言い方。非常に難しいセリフなので細山田さんに
何度も注文をつけてしまった。
割と私の場合、イントネーションはお任せで空気感のみを演出していくタイプなので
あそこまで拘ったのは稀だったかもしれない。
なぜなら、この映画のテーマになる言葉だからだ。
この言葉こそがスタートであり、幼いころから
修太を見てきた
明生にしか言えない言葉だからだ。

そしてリハーサルは終わりを迎える。

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