キャラクター分解録③:ナルトの持つ人間観こそ彼の魅力
NARUTOの主人公、うずまきナルトの最大の魅力の多い人間ですが、彼の持つ人間観こそ大きな魅力だと個人的には思っています。
ナルトの人間観
ナルトの人間観は「人間には善の心も、悪の心も備わっている。そして縁次第で悪から善、善から悪への変化が可能である」といったものではないかと私は考えます。
当たり前のことのように思えますが、意外と現実世界でこの人間観は根差していないように感じます。すなわち、この人は「善人」、あの人は「悪人」といった態度で他者を評価し、決別することが一般的ではないでしょうか。
そのことは、作中でも表現されています。
サスケに対する登場人物の態度です。
木の葉の同期含め、作中の登場人物全員がサスケを反社会的な危険人物とみなし殺そうと動きます。
自分たちは「善」、サスケは「悪」と決別つけているからです。
そんな中、ナルトはただ一人サスケを救おうとします。
そして、心の中でサスケにこう語りかけます。
このセリフの根底には
1)サスケみたいに世の中への憎しみに囚われた人生を歩んでいたかもしれないという共感の気持ち
2)サスケのようにならなかったのは、運に恵まれただけだという意識
が存在していると考えます。
サスケのように闇落ちしなかったのは、自分が全うな人間だからでもなく、たまたま運よくアカデミー時代にイルカ先生に出会い、孤独な気持ちを愛情で埋めてもらえたから。もしイルカ先生に出会ってなければ、自分も憎しみに囚われていたかもしれない。だから、自分がサスケにとってのイルカ先生になれれば、サスケを救うこともできる。
そう考えていたのだと思います。
NARUTOと勧善懲悪
少し話を飛躍させます。
物語には善が悪を懲らしめるという「勧善懲悪」的なものが多々ありますが、NARUTOの単純な勧善懲悪型のストーリーではないと感じています。
なぜなら、悪人のラベルを背負ったまま作中から去る人物は少ないからです。最初の敵であるサブザ&白から始まり、我愛羅、カブト、オビト……みな縁によって一度は悪に染まるも、最終的には縁によって善の心を取り戻す。
悪とされている人、行為にも背景や事情がある。だからといって悪を肯定している訳では決してないですが、そこを理解することこそが悪を減らしていくことに繋がっていくと信じています。
「罪と罰」等の名著で知られるロシアの大文豪ドストエフスキーは、著書「死の家の記録」でこのように考察しています。
世の中の不幸な人が、また不幸な人によって不幸になる人が1人でも少なくなるように私も行動していきたいです。
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