それでも間違いは残る

ぼくの最近の本は、調べものが多い。なんだか知らないが、そうなってしまった。ま、漠然と思っていたことの根拠がハッキリするのは楽しいし、断片的な知識がつながる快感は面白いから、いいけど。
だが当然、書いたことのチェックが大変になる。もちろんぼくだって慎重に各種の資料を見比べ、吟味して書くんだけど、それでもあいまいな所が出てくる。

そこでお世話になるのが校閲だ。作者はもちろん自分が書くものに思い入れがあるので、どうしても判断が甘くなる。編集者はややクールな見方でそれをチェックしてくれるが、校閲の方はもっと外から冷静に内容を見てくれる。こういう立ち位置の方は、絶対に必要なのだ。
この手の本の時、ぼくはいつも、
「厳しめにチェックしてください」
とお願いをする。……と、こうなる。

初校ゲラ

う~ん、なかなか厳しめだ!

とはいえ、内容は事実確認が多いので、表記や数字に関する疑問点、単純な書き間違いがほとんどだ。なので、上記の初校は、再校でこうなる。

再校ゲラ

ちょっと拍子抜けするくらい、劇的に改善された!
(この程度のこと、最初の原稿でちゃんと書いておけよ)
と指摘されれば、その通りなんですが……。

通常、紙の本はこういう作業を数回繰り返す。ということは、複数の目で複数回チェックをする、ということだ。
で、「もう大丈夫だ」と納得して出版する……のだけど、それでも出版後、
「あ、ここが間違ってた!」
という箇所が、たいていある。それでも間違いは残る、のだ。
なんだか「人生」というものを感じさせる………とうまいことまとめようと思って書き始めたのだけど、あんまりうまくいかなかった。

実は、この手の調べ物系ではなく、久しぶりに藤井青銅チックな面白本も並行してやってます。いまは自分の中のバランス感覚で、早くこっちを書きたくてしょうがない!(この場合、校閲の方の活躍はあまりなさそうですが)


お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。