18年を一週間で

演出陣は勇気あるなあ…と思いました。
だって、リーダー(渡辺正行さん)やTAIGAさんなどは表方だけど、私は裏方ですからね。
ドラマ『だが、情熱はある』の話です。

ドラマのプロデューサーから、
「第8話に藤井さんがモデルの役があります。ここをご本人に」
と声をかけられた時は驚きました。
「そりゃ作家としてドラマはいっぱい書いてきたけど、出る側は素人ですよ。そんな私でいいんですか?」
何度も確かめると、「それでもいい」と言ってくれる。演出に勇気とアソビ心があるんだなあ、と理解して引き受けることにしました。

「ロケ場所は、当時と同じラジオ日本です」
と言われ、こだわってるスタッフなんだなあと感心。当日、行ってみてさらに驚きました。
18年前に「フリートーカー・ジャック」という番組を収録していたのと同じスタジオだったのです。懐かしい!

今となってはレトロなスタジオ!

不遇時代の若林さんを演じる髙橋海人さんにトークのアドバイスをする作家の藤井青銅役が藤井青銅。
髙橋さんとは初めてお会いしました。が、実は相方・春日さん役をつとめる戸塚純貴さんとは2年前にお仕事をしています。NHKFMの青春アドベンチャーという番組で、私は『ピーチ・ガイ~ハリウッド・リメイク桃太郎』という連続ドラマ(15分×10本)を書いて、その主役をやってもらったのです。

その時は収録の合い間に雑談をして、オードリーのファンだという話も聞いていました。まさか2年後、彼が出演するドラマに私もチョイ役で出ることになるとは(同じシーンではありませんが)!

さて、その『だが、情熱はある』。
ドラマをご覧になった方はおわかりでしょうが、髙橋海人さんの長ゼリフが素晴らしかったです! 最初は躊躇しながら、やがて感情が乗っていく。淀みなく、それでいてちょっと甘噛みもいい味になっている。私の下手な芝居のせいでストップさせてはいけない…とそれだけを考えてました。

私は現在『オードリーのオールナイトニッポン』を担当していて、毎週オードリーに会っていますが、このドラマに出ることは言っていません。
ドラマのプロデューサーと相談して、
「オードリーの二人がドラマのオンエアで知った方が面白いですね」
「あ、いいですね。そうしましょう!」
ということになりました。

それから数週間。二人には毎週会うし、当然ドラマの話にもなるけど、私は知らん顔。一度だけ、若林さんが、
「ドラマに青銅さん役の出番があって、もう撮ったらしいですよ」
と言ったので、
(ドキッ! バレたか?)
「なんでも、青銅さん役の人の前で、海人クンが長ゼリフでトークをやったとか」
どうやら、私が出たことは伝わっていない様子。
「ふ~ん、そうなんですか」
と私は下手な芝居でごまかしました(ドラマでもリアルでも、下手なのは同じ)。
しめしめ。このままうまくいくぞと思っていたのですが……

『オードリーのオールナイトニッポン』は現在、来年2月18日の東京ドーム・イベントという前代未聞の目標に向かって、あの手この手で頑張っています。そのYouTubeチームから、
「YouTubeで、若林さんと青銅さんのサシの対談を撮りたい」
と言ってきたのです。もちろん断る理由はありません。しかし…
(きっとすぐUPしたいに違いない。そうしたら、ドラマで「18年前の髙橋海人・若林と藤井青銅」のシーンがオンエアされるより前に、「現在のリアル若林と藤井青銅」の対談動画が先に出てしまう。マズいな)
そこで、YouTubeスタッフに、
「あのう…UPは6月に入ってからにしてもらえないかなあ」
とお願い。理由を聞かれたらどうごまかそうか…と考えながら。
「あ、そうですか。いいですよ」
とアッサリ了解してくれました。
しかし本当はたぶん困ったようで、急遽「Tシャツのバックプリントが見たい若林VS絶対に見せたくない春日」という動画をその場で撮ってました。これが実にオードリーらしい企画で人気に。思わぬ、怪我の功名!

結果的に、ドラマオンエアが先にあり、オードリーもラジオ好きな方も驚いてくれました。やった! 
藤井青銅が出たことへの反応としては、「ウッチャンナンチャンのANN」「NHKFM青春アドベンチャー」だけでなく、「アニメージュ」「死人にシナチク」「サンバイマン」「超日本史」…なんて言葉まで思い出してくれた方々がいて、私はとても嬉しかった!(もちろん「このジジイ誰?」という反応が大多数。うん、私もそう思う。だって当時から18歳老けてるんだから、まあ、しょうがない)

その翌週、YouTube動画がUPされました。
はからずも、
【若き若林(髙橋海人)&当時の藤井青銅】(2005年)
からの18年間を一週間で飛び越え、答え合わせのように、
【現在の若林正恭&現在の藤井青銅】(2023年)
が続くことになったのでした。

最後に宣伝。
オードリーとの出会いや、むつみ荘での「小声トーク」については、この本に書いてます。

ドラマ「ピーチガイ」の原作はこちら。

ご興味あれば、ぜひ!

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。