野暮を承知で(ドラマのセリフ)

野暮を承知で書きますね。ひょっとしたら、誤解される可能性があるかもしれないと思って。

先日放送された『だが、情熱はある』というテレビドラマ。どういうわけか私は、放送作家・藤井青銅役としてチョコっと本人出演しました。
これまでドラマはけっこう書いてきましたが、書くと出るとは大違い。演出陣には下手な芝居をゆるしてもらい、少しだけ話題作りのお手伝いができたかも?

そこにあった私のセリフ、
「人がね、本気で悔しかったり惨めだったりする話はおもしろいんだよ」
という言葉が多くの方に印象深かったようです。
それは嬉しいのですが、このセリフについて、実はずっと小さく気になっていたことが二つあります。

一つ目。
SNSでは「青銅さんのあの言葉がよかった」と言って下さる方が多く、ありがたく照れくさいのですが、
「いや、ドラマのセリフなんだから、褒めるならセリフを書いた脚本家の今井太郎さんを誉めてあげて」
と思うのです。同業者としてはね(今井さんと面識はありませんが)。

ドラマ全話の放送が終了したあと、プロデューサーと上記のようなメールのやりとりをしたら、
「あの台詞は青銅さんの台詞ですから 笑」
という返事がきました。
そりゃまあ、事実を元にしたドラマだし、たしかに当時私は若林さんにああいう内容を伝えました。ですから私の考えではあるのですが、それをあのセリフに整えてあのシーンに配置したのは、脚本家の仕事です。

最初、脚本を渡されてザっと読んだ時、「こりゃ責任重大だな」と思いました。あの回(#8)の脚本はあのセリフに向かって進んでいく構造になっているのです。私は役者としては素人ですが、脚本は読めるのですよ(笑)。
ドラマ脚本が発売されているので、買った方は読んでみてください。ドラマを録画していた方、Blu-ray/DVDを買う方はもう一度ご覧ください。
簡単に解説すると、あの回は途中に以下のようなシーンが仕込まれています。

ここから先は

2,628字

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。