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ビジネス会話改造論5~「国会話法」をパクる

「月刊機械技術」に連載しているコラム。雑誌では、ページの都合で元原稿が少し短く加工されています。そこで、雑誌の了解を得た上で元原稿をUPします。今回は2月号(第5回「国会話法」をパクる)分です。
途中までなら無料で読めます(定期購読マガジンの方は全部読めます)。

現在出ている3月号には、次のコラム(第6回「アンコールと無礼講」)が載っています。コンサートでの「アンコール」と会社の宴会での「無礼講」には共通点がある……という発見について書いています。
書店で手に入ります。読んでいただけると嬉しい!


では、2月号掲載【「国会話法」をパクる】の元原稿をどうぞ。
ちなみに、「国会話法」という言葉は先日私が出した「国会話法の正体」という本から。

これ、私がネタの使いまわしをしているわけではありませんよ。
元々、この本をキッカケに当コラム「ビジネス会話改造論」が始まったのです。とくに最近、国会議員の、
「記憶にございません」
「お答えは差し控えさせていただきます」
などのごまかし発言が目に余る。そこで編集者から、
「今回のビジネス会話は、国会話法にからめて書いてください」
という提案があって、書いたのです。

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ビジネス会話改造論 
5(国会話法をパクる)

ビジネス会話は相手に気をつかう。当然、敬語を使う。ところがこれが慣れないものだから、失礼のないように…、相手を上げて…、自分を下げて…、言葉を選んで…と意識しはじめると、
「この言葉に「ご」とか「お」をつけるべきか?」
「御社だっけ、弊社だっけ?」
とか基本的なことすら混乱してくる。

「えぇい、とりあえず相手を持ち上げときゃいいだろう!」
と、どんどん敬語が過剰になっていくのだ。
「日程を変更させていただきたく、ご連絡をさしあげさせていただきます。なお当日の進行は私がつとめさせていただきます」
と、うっかりすると「させていただくの嵐」になってしまう。

国会答弁で「お答えは差し控えさせていただきます」という発言をよく聞く。あれにイライラ・モヤモヤする方は多いだろう。これに関しては、すでに拙著(「国会話法の正体」/柏書房)で分析している。ポイントは2つある。

1)させていただく

文化審議会の「敬語の指針」によると、「させていただく」という表現は、
ア・相手側の許可を得て
イ・自分が恩恵を受ける
…という場合に使うとされている。

つまり、相手が「控えろ」と言ったなら「控えさせていただきます」で問題はない。しかし国会の場合は
「このお金の流れはどうなってるんだ? 答えなさい」
なんて言われているのだ。誰も「控えろ」とは言っていない。
なのに、さも相手側の許可を得ているかのような表現で勝手に控えて、自分は答えないという恩恵を受けている。これは「許可偽装」なのだ。

たいへん便利な手法だが、この国会話法をそのままビジネス会話に使うと相手側がイライラ・モヤモヤするので、要注意だ。
しかし、もう一つの手法は使える。

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