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「日本の伝統」の正体 文庫版について

新潮文庫版『「日本の伝統」の正体』は、柏書房版の単行本とどこが違っているのか、簡単にご紹介しておきましょう。

もちろん単行本での細かなミスなどは修正しています(幸いなことに、あまり数はありませんでした。ホッ…)。
そして、単行本発刊以降に加わった事実も追加しました。「元号」の項では、新元号・令和に至る経緯を。「正座」の項では、大河ドラマ「麒麟がくる」でのSNSでの反応を。「桜」の項では、「桜を見る会」について。3年経てばいろいろ追加すべきことが生まれてくるもんですねえ。
実は内心(変更するかな?)と思っていた「夫婦同姓は伝統か?」の項は、まったく変わらずでしたが……。

他にも「肉じゃが」「旧国名」「神社」などで、やや分量の多い追加を行っています。
まったく新しく追加された項目は、「ハイカラな洗濯板」「土下座は謝罪なのか?」「民謡と万葉集」「医食同源と薬膳」「目から鱗が落ちる「ことわざ」」。最後の項目の中にはことわざが8つあります。

カバー帯付き

帯にもある「土下座」は、ドラマ半沢直樹がらみ。新項目の「目から鱗が落ちる」は、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」がらみ。ふふふ、このへん、ミーハー的に流行にのっかってます。

実は、「意外に新しい伝統ネタ」を並べるだけなら、もっとじゃんじゃん増やせるのです。けれど、すでにお読みになった方はわかるように、この本は「この伝統は新しいからケシカラン!」ということを言いたいわけではありません。
「誰が、いつ、どういう意図でこの伝統を作ったのだろう?」
「我々はどうしてそれを、古くからある伝統だと思っているのだろう?(思いたいのだろう?)」
ということを考えたいのです。だから、やたらと項目を増やそうとは思いませんでした。

ご興味がある方は、ぜひ、本屋さんでどうぞ。今ならドーン! と並んでいます。
(↓都内の某書店にて。隣に、他社文庫であるオードリー若林さんの本をわざわざ並べているのは、書店員さんがなんらかの事情通だと思われます)

書店

あ、今回は電子書籍版もありますよ。

なお、前述の、
「誰が、いつ、どういう意図でこの伝統を作ったのだろう?」
「我々はどうしてそれを、古くからある伝統だと思っているのだろう?(思いたいのだろう?)」
についてもう一歩深く考えてみたのが、柏書房の第二弾本『「日本の伝統」という幻想』です。これも評判がよかった! こっちの方は(今のところ)単行本のみです。ご興味あれば、ぜひ!

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。