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ポルトガル・モンサント

NHKBSの「異世界ホテル旅」という番組で、2016年に行ったポルトガルのモンサントという村が紹介されていた。


モンサントは1938年に、「最もポルトガルらしい村」に選ばれたそうだ。1938年は昭和13年、80年以上も前のことだ。その間ポルトガルは長期独裁政権の時代があり、経済は停滞していた。

イギリスのコッツウォルズも、イタリアのチヴィタ・ディ・バーニョレッジョも発展から取り残され、過疎の村になっていた場所だ。偶然のきっかけで脚光を浴びて人気観光地になった。

昔から変わらない風景に惹かれて、世界中から観光客が訪れる。新たに移住する人もいる。
経済力がなく、新しく作ることもできなかったことが、観光資源になるとは、古くから住む人には考えつかなかったかもしれない。

モンサントは公共交通機関を使って行くには、とても不便な場所だった。行くまでは陸の孤島のイメージが強くあった。
しかし車を使えば買い物も通勤も、それほどの不便はないように思えた。免許を持たないお年寄りや、学生にとっては大変だろうが。

車で来た観光客は、短時間観光して移動していく。

最寄りの駅からモンサント行きのバスは、1日往復朝夕の2便しかない。1日目の到着は夕方6時過ぎだったと記憶している。

モンサントでは2泊した。観光して2日目に帰るには夜のバスしかない。それならもう1泊して、早朝のバスに乗ろうと計画した。
モンサントは本当に小さな村で、午前中には村の中も山の上の城も観てしまい、やることがなくなった。麓の村の食料品店まで1時間歩いて買い物に行ったりもした。

だいぶのんびりと過ごしたことは確かだ。宿の屋上で洗濯物を干して、ワインを飲みながら、大平原に沈む夕日を見るのは最高の気分だった。


モンサントの洞窟には、旧石器時代から人が住んでいたといわれている。村の中には湧水の井戸があり、畑や家畜小屋の遺跡も残っていた。

スペインとの国境が近いため、中世から砦が築かれた。360度の景色を見渡せるモンサントモンサント城。確かにこの場所なら外敵から身を守るのに適していただろう。
村は案外安心して暮らせる場所だったのかも知れない。

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