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ともだち①


出会いは同じクラス。
いつも前の席に座っていたあの子。

周りを盛り上げたり、楽しませたり、いわゆるパリピな雰囲気はない。
いつも落ち着いて冷静に周りを見てそう。
なにを考えているんだろう。イマイチつかめない。

でも華があった。青が似合う。

たった一輪の花が花瓶に凛と立っているように、彼女には圧倒的な存在感がある。
でもそこにはやわらかくて、親しみやすくて、絶対周りに敵を作らなさそうな、ふしぎな空気感をまとっている。

清楚で可愛くて美人。まさに高嶺の花だった。


あー、仲良くなりたいな。
と同時に直感で自分と似たものをもってる気がして、ちょっと怖くなる。

みんなに見せない裏の一面がありそう。
同族嫌悪ってやつ、いい意味で。
話しかけるのを一瞬ためらう。観察する。

確実に仲良くなったなって感じたきっかけはあまり覚えてない。
気づいたら自然と仲良くなっていた。


でもあるとしたら多分お好み焼きを食べたあの日。雨の日。窓側の席。

私は人と会話する時に会話のテンポや食べるスピードを意識的に合わせてることが多い。
相手に自分と話していて楽しい、居心地がいいって思われたいからだ。

だけど彼女といる時はそれをあまり深く考えることがなくて、これに気づいたとき内心焦った。
どうしよう、素を出しすぎてしまったって。


>>

「どれ食べる?食べ放題みたいなのもあるよ」
「うーん、迷うなあ。あ、食べ放題は時間制限あるのか」
「やっぱり王道のやつにする?」
「そうだね。あとゆっくり食べれるほうにしよ」

>>


初めの会話はなんだかぎこちなかった。
歯車が合いそうで合わない感じ。
ちょっとお互いだまる。
でもふしぎとだまることには歯車が合う。

なんだろう、やっぱり空気感が似てるな。
お好み焼きをじゅわじゅわ焼き始める。
そこでテンションが上がるタイミングも一緒なんだからふしぎだ。


そこからは早かった。

初めて出会った時に感じたいい意味での同族嫌悪。
やっぱり私の直感は間違ってなかった。
お好み焼きをどんどん焼いていくのと同時に、お互いに持ってる裏の一面をどんどんさらけ出す。

でも別に嫌な気はしない。
むしろ二人の間にあった一線がなくなっていくのを感じて、じわじわと嬉しさが込み上げてくる。お好み焼きはとてもおいしかった。


好きなアーティスト、ドラマ、映画、洋服、趣味、本。
後にこれらの価値観も合うことを知る。
なんでこんなに似てるんだろうね、って話して笑い合うふたり。幼なじみ感があるふたり。

でもね、決して全部似てるわけではない。
似てるようで似てない。
表向きの性格は多分ちがうし、きっと周りからは似てるなんて思われてない。
でも裏向きの、もっと根本的なものが似てるんだろうな。

お互い意識し合って、刺激受けあって、惹かれ合う関係。
なんだか彼氏彼女みたいだ。
どっちが彼氏かって言われたら"彼女"なんだろうな、わかりづら!


彼女はどう思ってるんだろう。

こんなこと私だけ思ってたら恥ずかしいなあ。
でもどこかでそんなことはないだろうなっていうやんわりとした確信があるからおもしろい。


彼女の好きなところ。

周りに細やかな気遣いができるところ。
例えばお世話になった人に小さなことでも贈り物をサラッと渡せたりする。

ちゃんと自分の芯をもっていて、それを人に伝えたり言葉にできる賢さと優しさを持ってるところ。

意外とサバサバしていたり毒舌だったりするところ。
なのにたまに見える天然ぽいギャップがずるいんだなあ。(人のこと言えないって言われそう)


最近気づいたこと。

表舞台で活躍する人なんだろうけど、コツコツとひたむきに理想の自分を作り上げる姿に職人気質も見えてきた。
しかもそれを白々しく周りにアピールせず、強かにこなしていくからカッコイイんだ。


まだまだあるけど、周りに彼女の好きなところをどれか1つ挙げるとするならば、やっぱり"言葉"を大切にするところなんだと思う。

身近な人でここまで自分の思いを飾らず、やさしく、愛をもった言葉で何か表現できる人は見たことがない。それが何よりも好きだ。


凛とした女性って言葉が一番似合う彼女。
とてもとても尊敬しています。
そして頼りにしています。

きっとこれから彼女はどんどん素敵で"オモシロイ"大人になっていく。
そしてもしかしたら今より遠い存在になるかもしれない。
もちろんそれは嬉しいし、誇らしいし、応援していきたい。

でもね、何年経っても私はあなたとお好み焼きを焼きながら、くだらなくて、真面目で、やっぱりくだらないことをダラダラと話していきたい。

これは最近私の中で芽生えた、忘れたくない小さな想い。
そのうちちゃんと"言葉"にして伝えなきゃね。





#エッセイ #シリーズ #手紙 #友達






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