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木野

これまた、村上春樹さん著の「女のいない男たち」の短編集の中の一編を読んだので、とりあえず感想を残しておきたいと思う。

それまでの3編に比べて、断トツでスピリチュアル要素が強かったように思う。はっきり言ってしまえば、私の読解力不足で結末が繋がらなかった。途中から意外な展開へ行ってしまったことも事実だが、それは心地よく受け入れる事ができた。

叔母から譲り受けた店で働く木野という男が、常連客のカミタという男から急に不吉な忠告を受ける。

妻の不倫を受けてショックを受けていたが、その傷を素直に受け止められず心の奥深くに閉まっていた事が彼を知らぬ間に追い詰めていたのでは、と推測はしてみたが、最後に訪れる謎の訪問者について、それが霊的な存在なのか、本人が創り出した幻想なのか、はたまた一体なんなのか、その謎がただ残された。

途中、客の女と行きずりで関係を持ってしまい、それを心のどこかで求めている生々しい感情も関係しているのか。

たった数十ページの中に渦巻く木野の感情が、終始静かなようで蠢いているように私は受け取った。

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